「コロナウイルスに思う公益の在り方」公益社団法人 受動喫煙撲滅機構 理事長 田中 潤
コロナウイルスに思う公益の在り方
公益社団法人 受動喫煙撲滅機構
理事長 田中 潤
不特定多数の人々の公益を考え続ける身として、今回のコロナウイルス問題で心配していることがあります。
日本におけるコロナウイルスの検査体制が極めて脆弱な現在、散発的な感染者の発生に応じ、その感染者が立ち寄った施設などは徹底的に除染され休業も余儀なくされています。それは、当然必要なことではあるのですが、どれだけ隠れた感染者がいるのか分からなくなっている現状で、感染が見つかるとそこだけが強く危険地域とクローズアップされることに異和感を覚えます。
感染者が出た施設、更にその地域は、特別な場所として注目されることで経済的活動においても大きなダメージを受けます。こうしたことに遭遇した方々が今後どのような補償を受けられるのか全く分かりません。
施設を運営する企業が立ちいかなくなった時、そこで従事する人々の生活にも重大なリスクが生じます。これについて政府が目配りしてくれるのだろうか、大変心配です。
また、全国的に外出が激減する中で、3月の繁忙期を迎えた飲食店やイベント会社は大幅な売上減少が予測されます。その多くが零細企業であるだけに、1カ月の収入減が事業の存続にも直結し倒産を余儀なくされることも充分考えられます。経営者のみならず、そこで雇用されている方々は一瞬にして明日からの生活の糧を失ってしまうのです。公益的な観点からこうした弱者への目配りがなされるのか、私たちは、政策をしっかり見守っていかねばなりません。
そもそも今回の事態の主因は、感染者が生じた場合のリスクについて何ら具体的な検証もせず、政府が安易に海外からの入国を認め続けたことにあります。初期段階で政府が最優先に国民全体の幸福のためにどうすべきかを具体的に講じることが求められていたわけです。結果的に、感染者の検査もままならず、感染者の発生に伴なう2次災害を放置してきた今までの政府の対応を鑑みると、公益を担うという責任意識を持つことの重要性を改めて感じてしまいます。