感染の危険(報道その4)“新型コロナ”「喫煙所」と「喫煙者」
喫煙所・喫煙者の感染・発症増悪問題の報道、続きです。(→いままでの記事は末尾にリンク、例によって記事名下の囲みは抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者)
コロナ&法改正で悲鳴を上げる喫煙者に警鐘、喫煙可でもタバコを控えるべき“危険エリア”
=『BCN+R』2020/04/10 18:30=
“コロナと法改正が重なったことは思わぬ事態を引き起こしている。それが屋内にある公衆喫煙所の閉鎖だ。……助成金によって公衆喫煙所が増え始めている矢先だった。記者も2月に設置された公衆喫煙所を憩いの場としていたが……行き場を失った”
“ここで「本当に危険」と訴えておきたいのが、屋外の公衆喫煙所の利用だ。屋外ということで閉鎖していないところが多いが、実際はかなり危険なエリアと化している”
“閉鎖の流れになるとは思うが、喫煙者にはできるだけ避けることを薦めたい”
“平時から喫煙者と非喫煙者の間には分かり合えない深い溝があり、お互いを敵視しがちだ。しかし、外出自粛でストレスが溜まりがちの今だからこそ、お互いを気遣い……”
しかし、ベランダで吸うことをすすめているのは噴飯ものですね。全体いいことを書いていますが、やはり喫煙者だから、被害を知らないのでしょう。
再度、石田記者が注意を呼びかけています。
新型コロナ感染症:「喫煙室」こそ「3密」の典型
=石田雅彦 | ライター、編集者 4/11(土) 15:26=
“政府・行政は以前から、感染拡大を防ぐために「3密」空間を避けるように求めてきた”
“新型コロナウイルスはエアロゾルとして空気中に漂うことも多く……つまり、手洗いの励行と「3密」回避、そして換気が重要”
“札幌にある北海道庁で換気のために喫煙室の窓が開けられていたという記事(2020年4月10日、毎日新聞)が出ていたが、おそらく喫煙者は自分たちが「3密」の環境にいることを知り、窓を開けたのだろう”
“改正健康増進法では……屋内喫煙室からタバコ煙が漏れ出ないよう、出入り口から毎秒0.2メートル以上の風速で空気を取り入れる設備が必要と規定……浮遊粉じん濃度……一酸化炭素濃度……という取り決めもある。
……大和浩教授は、喫煙室からはタバコ煙が周囲へかなり漏れ出ているという。「……喫煙室からどれだけタバコの煙が漏れ出ているか調べたことがあります。その喫煙室は2階にありますが、喫煙室から排気されたタバコ煙が壁面に沿って風下方向へ拡散し、周辺にいわゆる『望まない受動喫煙』が発生していました」(大和教授)
ただでさえ、喫煙室からはタバコ煙が漏れ出ていて、周辺に受動喫煙の害が生じていることになる。もちろん、喫煙室の中もかなり劣悪な環境だ”“福井県の会社では、感染が起きたかもしれない喫煙所に換気設備を設置し、一人ずつ順番に喫煙することで「3密」にならないようにしたという”
“感染リスクを避けるためには、喫煙室や喫煙所の使用を避けたほうがいいだろう。もちろん、換気のために喫煙室の窓を開ければ、周囲に受動喫煙の害が生じかねない”
次は、熊本で禁煙活動を展開される医師へのインタビューです。
禁煙でコロナ重症化のリスク低減 呼吸器専門の医師
=『熊本日日新聞』2020/4/12 14:00=
“「喫煙者の重症化リスクは非喫煙者の2・4~14倍、死亡リスクは3倍と報告されている。新型コロナウイルスを含めた呼吸器感染症はたばこの影響を大きく受け、禁煙すればその影響を低減できるだろう。ほかの疾患の治療や予防でも禁煙は重要だ」
「喫煙所はまさに密閉、密集、密接の『3密』。そこにいるだけでも感染リスクは高まる」”
今度は、パチンコ店の話。禁煙化はしましたが……。
パチンコ業界の苦境、新型コロナと禁煙化のダブルパンチに耐えられるか
=『マネーポストWEB』2020年4月13日 15:00=
“非喫煙者であるAさんはこう話す。
「パチンコ店の禁煙化は歓迎していました。お店がタバコ臭くなくなれば、快適になって、もっとパチスロを楽しめるんじゃないかと期待していたんです。でも、禁煙になってホールの空気がきれいになるメリットよりも、新型コロナウイルス感染の恐怖のほうが大きい。今回の騒動をきっかけに、パチスロからは足を洗うことになりそうです」”
そしてとうとう、都内の喫煙所が閉鎖、テレビ報道に。
「3密」防止で屋外喫煙所を撤去
=『TBS NEWS』14日11時19分=
喫煙中はマスクできないから…屋外喫煙所を閉鎖
=『テレ朝news』2020/04/14 15:39=
“区内に48カ所設置されている屋外の指定喫煙所のうち新橋駅前など区が管理する28カ所が14日から一時閉鎖となります。閉鎖については来月6日までを予定しているということです”
“喫煙所は人が密集、密接する空間で喫煙中はマスクができないこと、また、外出自粛で通りから人が減るなかで喫煙所にだけ人が集まっている状況などを考慮して閉鎖を決めたということです”
港区のサイト広報→ 屋外指定喫煙場所の一時閉鎖について
スポーツ紙が、さらに詳しく。
新型コロナ拡大で都内の喫煙所消える!?港区がJR新橋駅前SL広場など28か所閉鎖
=『スポーツ報知』2020年4月15日 6時0分=
“区の担当者は「屋外であっても、限られたスペースに人が集まり、密接する機会が見られた」と説明。区民の要望や、自粛ムードが高まる中で人が集まる状況をかんがみ、決断したという”
“喫煙所を訪れ……た会社員の50代男性……「喫煙所はかなりの人が密集しますから。このご時世では閉鎖は仕方ないのかなと思います」と理解を示し……一方で、我慢しきれずに喫煙所周辺の目立たぬところで煙をくゆらせる人もいた”
“渋谷区が緊急事態宣言が発出された翌日の8日から、すでにスクランブル交差点を含めた6か所の喫煙所を当面の間、立ち入り禁止に。葛飾区も全て閉鎖したが、半数以上の区では、従来通りとなっている”
“日本禁煙学会は……「……喫煙者のリスクは重症化が1・66倍、人工呼吸器装着または死亡が3・24倍だった」との中国での研究結果を紹介。受動喫煙を含め、喫煙が肺や免疫力にダメージを与えるとしている。同学会の作田学理事長は「国民は協力して、まん延を抑えていかなければならない」と危機感をのぞかせた”
閉鎖されても、違反者が
しかし、こんなことが。やはり、というか……。
新型コロナ対策で閉鎖の喫煙所周辺に吸い殻散乱 我慢できずに吸ってポイ?
=『まいどなニュース』2020.04.15(Wed)=
“「緊急閉鎖 新型コロナウイルス感染症対策の一環として当喫煙場所を当面の間、一時閉鎖します」
……張り紙が掲示され、入り口にはテープが×印に貼られていた。市が3月27日、……管理する喫煙所18カ所の閉鎖を決めたことを受けた措置……不特定多数の人が集まり、密接する空間であることから判断したという。期間は定めていない”“喫煙所には入れないはずなのに、内部には吸い殻が一つ落ちていた……近くを歩くと、たばこの空き箱も放置されていた……写真を撮っていると、若い男性2人組が近づいてきた。ここでたばこを吸いたいようだ”
“足を運んだ京都駅周辺の公設喫煙所8カ所の大半で吸い殻やごみが落ちていた”
“市くらし安全推進課は……吸い殻が散乱している現状を「把握している」というが、現時点では喫煙所の閉鎖の見直しを含め、特段の対策は考えていないとしている”
最後に、三たび石田記者の最新論説を。今回は他の報道に取り上げられたものです。
喫煙室でタバコ吸う人があまりに危なすぎる訳
=『東洋経済ONLINE』2020/04/16 6:00=
“緊急事態宣言を発令した政府は、さらなる感染拡大を防ぐため、換気が悪く人が密集する空間に行くことを避けるよう、国民に求めている。
ところが4月に改正健康増進法が全面施行されたことにより、タバコを吸える場所が少なくなった喫煙者が、喫煙室や喫煙所に集まっている。喫煙室や喫煙所に感染者がいれば、そこから感染が広がっていく危険性がある”“大和浩教授に喫煙室での感染リスクについて話を聞いた。……
──喫煙室には、新型コロナウイルスの感染を広げる危険性があるのでしょうか。
大和教授:もちろんです。換気が悪く密集する喫煙室は、新型コロナウイルスを感染させ、集団発生の原因となる危険性があります。会話や咳、くしゃみが届く距離に喫煙者が密集し、タバコを吸うためにマスクを外すため、新型コロナウイルスの粘膜感染、吸入感染のリスクが上がります。3密になる喫煙室は閉鎖したほうがよい
また、新型コロナウイルスは無機物の表面で最大9日間、生存すると考えられていますから、密閉された喫煙室はドアがあり、そのドアノブや手すりなどを触った手でタバコを扱い、口にくわえるという接触感染の危険性も大きいのです。いわゆる「3密」になる喫煙室は、すぐに閉鎖したほうがいいでしょう”
[当サイト関連記事]
〈前回までの報道〉
やはり喫煙所は感染の危険大・喫煙者には要注意を~報道その1 ’20年4月13日
感染危険性の「喫煙所」と「喫煙者」~報道続々(報道その2) ’20年4月15日
感染の危険、「喫煙所」と「喫煙者」~報道その3 ’20年4月16日
〈要請活動〉
≪緊急要請≫ 最も感染の危険性が高い「『喫煙所』の休・廃止を」受動喫煙撲滅機構は神奈川県・県知事に要望を送付しました ’20年3月23日
感染防止のための「喫煙所」休・廃止の要望、県から回答がありました ’20年4月6日
「喫煙室閉鎖の要請」を松沢成文理事が首相と厚労相に提出 ’20年4月11日
狭い「喫煙室」は感染・蔓延の原因に! 閉鎖・撤去を各団体が呼びかけています ’20年3月4日
各地で喫煙室が休・廃止に~まだある喫煙所には申し入れを~禁煙学会も緊急要請、文面を公開 ’20年3月16日
〈論説〉
「コロナウイルスに思う公益の在り方」公益社団法人 受動喫煙撲滅機構 理事長 田中 潤 ’20年3月3日
「マスクと受動喫煙撲滅」論説:公益社団法人 受動喫煙撲滅機構 田中 潤 理事長 ’20年3月17日
〈過去の報道〉
受動喫煙で「感染症」増大の危険 ’20年2月17日
病原菌が受動喫煙で“進化”?! 薬も効かなくなる?! 黄色ブドウ球菌の変質についての研究発表 ’19年11月