職場の「受動喫煙」と「不当解雇」に、地裁へ「労働審判」申し立て

 今どき信じられないほどのひどい職場を、訴えたかたの記事です。
 「労働審判」とは、一般の訴訟よりも早く低額で解決できるので、証拠が確かな職場の被害では有効な手段です。(→末尾に過去の関連リンクがあります。)

 職場の受動喫煙、対策せず…休職のまま退職「咳ひどい」IT企業社員、地位確認求める
  =『弁護士ドットコムNEWS』2020年11月17日 17時21分=

 以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。

“職場での受動喫煙によって、体調を崩し休職したところ、そのまま退職扱いになったとして……労働審判を申し立てた。会社員としての地位を確認するとともに、100万円の慰謝料などを求める”

“「代表者らは屋外にある徒歩10分の喫煙所にも行ってくれなかった」”

“代表者の自宅を兼ねる本社オフィスで勤務を開始。代表者や、一部の社員らが、リビングにある台所の換気扇下でタバコを吸うため、咳が止まらない状態になった”

“在宅勤務や客先常駐での働き方を要望するとともに、室内禁煙などを求め、それらが実現するまでは有給消化することを申し入れた。また、受動喫煙症との診断書を提出している。
しかし、具体的な受動喫煙対策がとられることないまま……休職期間満了として、自動的に退職となっていることが通知された”

 やはり、法的に問題があることを、担当弁護士=下記、機構サイト既報の、以前の労働審判と同じ弁護士=の解説が続きます。

“代理人の増田崇弁護士は「就労困難であり、復職のための改善がなされず、事実上の解雇をされた」とする。
台所とリビングには区切りがなく法令で定められた「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」が守られていないと主張”

“会社側は、ガイドラインは、健康増進法の施行された2020年3月1日からのものであると主張しているそうだ。しかし、申立人側は、それでも、受動喫煙から労働者を保護することを定めた労働安全衛生法にのっとり、それ以前から受動喫煙対策が実施されるべきだとする”

“「受動喫煙をうけると、咳やめまいがします。(煙が)多ければ多いほど、咳が多くなります」……睡眠不足など、軽い体調不良が重なることで、その症状はひどくなるそうだ。
「対応すると半年待たされ、それで解雇されました。体が苦しいだけでなく、精神的にしんどい思いをしたので、なんとかしたい」”

 同日遅れての『朝日』の報道。こちらは上記より簡潔で、「退職を余儀なくされた」と、まるで自分から辞めたと取られそうな表現。不当解雇の問題が抜け落ちています。

 自宅兼職場で受動喫煙→退職 元社員が労働審判申し立て
  =『朝日新聞DIGITAL』2020年11月17日 22時04分=

“職場は経営者の自宅兼マンションの一室で、昨年7月に育児休業から復職して出社したところ、壁などで区切られていない台所が喫煙場所となっており、激しいせきが止まらなくなった。元社員は医師の診断を受けて休職。会社側は壁で区切った喫煙場所を作るなどの対策も拒否したため、退職を余儀なくされたという”

“元社員は記者会見で「対応を放置されて出勤できなくなった。法律上、必要な対応すらなされず大変苦しい思い」と話した。”

“会社側は朝日新聞の取材に「内容を把握しておらずコメントを差し控える」としている”

 「労働審判」は、一般の裁判より早く結果が出ます。今後の展開はおってお知らせします。

[当サイト関連既報]※他にもありますので、検索窓で引いてみてください。
 職場受動喫煙で和解勝利! 「労働審判」440万円支払い確定 ’18年7月

 職場の受動喫煙は「安全配慮義務違反」、損害賠償の可能性あり ’18年12月

 “スモハラ”=「スモーク・ハラスメント」、知っていますか? ’18年10月

 “分煙”では受動喫煙が発生! 職場のこれからの対策は/“喫煙の自由”は? ’19年7月

 受動喫煙を放置する職場の「そこにある危機」 ~ 第一人者・岡本光樹弁護士へのロングインタビュー ’19年8月

 求人票に、“職場の受動喫煙への対策の有無”が明記されるようになりました ’20年2月

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