家賃に差をつけた「禁煙特約」物件
1年前の記事を、最近、フェイスブックの禁煙運動グループで知りました。(「Smoke Free 2020 Tokyo Olympics」 ※のちに「Smoke Free Japan」に改称https://www.facebook.com/groups/smokefreetokyo2020/?sorting_setting=CHRONOLOGICAL)
既存の集合住宅で、「敷地内禁煙」や「喫煙者入居不可」ではなく、喫煙者は家賃を1000円高くしたというアイデアで、その運営者の談です。
ヤニ部屋はもう勘弁…。アパートに「禁煙特約」をつけて5年経過した今の感想
=『健美家(けんびや)』2019/12/8=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“私の物件は5年前から「禁煙特約」をつけて募集しています……特約入居者は家賃を月1,000円値引きするというもの”
“入居前に室内のヤニが蓄積しやすい部分を予め撮影しておき、入居者には、「入居前画像を撮影してあります」(場所は秘密♪)と伝え、禁煙ルールを破ったらペナルティーを課すことを伝えます”
“訪問客が室内で吸うのも一切禁止です。スタートから5年以上が経過し、徐々に効果が表れてきました”
“北海道は、喫煙天国です……都道府県別喫煙率が最も高いのは北海道!過去6回連続ダントツの1位……「どうりで退去立会をすると、ヤニ部屋が多いわけだわ・・・」”
“毎度毎度、ヤニに蝕まれた自分のアパートを見ることに辟易し、「もう喫煙者に部屋を貸すのは止めよう!」と決断……現在は常に、募集する時は「非喫煙者」を対象としています”
“前から入居されている方とは「禁煙特約」を交わしていないため、現段階で完全に禁煙物件とは謳えないのが辛い所ではありますが、この5年間に入居されるお客様は全て非喫煙者。「禁煙物件を探していた」と言う方もいらっしゃいました”
被害の具体例をあげています。近隣への受動喫煙もやはり。
“日々室内で喫煙すれば、ヤニ汚れが蓄積し、原状回復費がかさむ……照明、インターフォン、火災警報器、ガス警報器などのプラスチック・樹脂部分にもヤニが染み込みます。電気系設備のコンセントコードなども徐々に薄汚れて見苦しくなるのですが、こうした部分は気軽に交換もできず、とても厄介”
“換気扇を長時間回している部屋では、居室の煙を常に吸い込むため、どんどんいぶされて、ユニットバス壁、パッキン部分までもが汚染されます”
“副流煙問題も無視できません。喫煙住人が窓辺で喫煙した場合、煙が隣の部屋や上の階に流れ込む事で、表だって苦情を入れなかったとしても、嫌気がさしたお客様が退去してしまう可能性も”
不安もあったものの、正しい決断をしました。
“デメリットがまったくないわけではありません。新規申し込みの段階で、「喫煙者は入居お断り」とすれば、募集段階でフィルタリングされ、集客力の低下……仲介スタッフに禁煙特約の説明をしてもらう必要があるため、手間が増え……「この部屋は面倒だから紹介を止めよう」「後々クレームになると面倒だ」と仲介スタッフから敬遠されて、紹介され難くなる事も考えられます”
“しかし! 私はこの禁煙特約を取り入れたことを、後悔したことはありません。禁煙特約を入れてから、物件の原状回復費は大幅に減っています。ヤニの臭気被害は解消し、ヤニによるプラ・樹脂汚染もなくなり……ユニットバスのリメイクや塗装など、高コストな工事は皆無、清掃だけで次のお客様へお貸しできるように……壁紙の貼り替えも少なくなりました”
“煙のダメージはある日突然汚れるのではなく、日々徐々に目に見えない形で進行して行くので表面化し難く、オーナーとお客様との間でトラブルが生じる要因にも……適切に換気をしないで喫煙した事により、酷いヤニ汚れを出した場合などは、善管注意義務違反に該当します。しかし、色素沈着したヤニ汚れなのか、経年劣化なのか、判断が付かない汚れもあります”
“そういう時に、「元々こうだった」「前の入居者の痕でしょう」と、退去精算でもめる事も多かったのですが、禁煙ルールを設けて以降、そんなこともなくなり、非常に運用が楽になりました”
なるほど、タイトルから一見、消極的な方法に思えましたが、被害の実態を知ってからの新築であれば禁煙にしたでしょうが、普通に運営してしまったため、新規募集を非喫煙者にして、既存入居者にも差をつけたというわけで、前向きだったのです。
喫煙部屋のヤニ染み付きがピンとこない方は、以下の記事・写真をご覧ください。
三次喫煙を起こす“ヤニ”“染み”の実例写真集 ’19年7月
屋外であるベランダでも、天井に差が出ます。これは被害者が自宅のベランダから、隣の喫煙者宅のベランダを撮ったもの。なおこの例は『STOP受動喫煙 新聞』第28号(’19年10月)で、解決した手記として掲載しています。
運営者は最後にまとめています。
“実感ですが、喫煙率日本1位の北海道でも、確実に禁煙物件は支持されていますし、今後もますますニーズは強まると思われます。現に非喫煙者からの問合せは増えています”
“当時は、管理担当にも仲介スタッフにも、「それは難しいんじゃないですかぁ~」と言われ弱気になった時期もあったのですが、禁煙物件を作って良かったです♪”
“以前からお住まいの方々と新しい方とで新陳代謝が進み、私のアパ―トが完全禁煙物件になるのが楽しみです”
なるほど、「完全禁煙」を目指してのことなのですね。こういった経営を応援しましょう。
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