受動喫煙・加熱式タバコも、PM2.5で感染・重症の危険性が ~ 石田雅彦記者が解説
先日紹介しました、タバコの煙=PM2.5=で、感染しやすくなります の研究発表について、おなじみ石田記者の解説・論説です。
とくに後半・結論で、受動喫煙の害について力説されています。
新型コロナ:受動喫煙も危険、加熱式タバコを含むタバコ煙の「PM2.5」に感染・重症化リスクが
=石田雅彦 | ライター、編集者 2/12(金) 10:00=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“感染や重症化リスクには大気汚染が関係している。このことは大気中に漂う2.5マイクロメートル以下の粒子、PM2.5の影響を調べた研究でわかっているが、加熱式タバコを含むタバコ煙のPM2.5には同じようなリスクはないのだろうか”
“PM2.5は、大気中に浮遊する2.5マイクロメートル以下(1マイクロメートルは1ミリメートルの1/1000)の粒子のことで、PM2.5の量は大気汚染の度合いを測る指標の一つにもなっている。大気汚染が深刻な中国では、PM2.5を吸い込むなどの結果、年に約17万人が死んでいると推計……日本にも黄砂などに混じったPM2.5が偏西風に乗って飛んできているのはご承知のとおり”
“ PM2.5のPMは単なる微小粒子……のことなので、その粒子がどんな物質なのかは問わない。マイクロプラスチックの小片かもしれないし、毒性の強い炭化水素や有機化合物、重金属かもしれない”
“大気汚染のひどい地域で、新型コロナの感染・重症化リスクが高まるのではないかという疫学的な研究はパンデミックの初期の頃から出ている。”
“研究グループは、パンデミックが終わっても積極的な対策をして大気汚染の軽減を続けるべきと警告している”
“研究が進むにつれ、微小粒子と新型コロナの関係に新たな仮説が出てくる……空中を漂う微小粒子に新型コロナのウイルスが付着し、それによって感染が拡大するのではないかという仮説だ”
“空気の汚染は当然、室内環境でも起きる。外出自粛やテレワークなどで、むしろ我々は屋内や室内で長い時間を過ごすようになった”
“タバコの煙からも無視できない量のPM2.5が出ている……タバコ煙からPM2.5が出ていれば喫煙所やその近くで前述したようなリスクがあるだろう”
“ タバコ煙から出る微小粒子についてはこれまでも多くの研究があり、その有害性が確かめられてきたし、住居や飲食店、車の中など密閉された空間での受動喫煙についても同様に多くの研究がある”
“受動喫煙をおよぼす副流煙にも、1マイクロメートル以下の微粒子が含まれ、その微粒子の実態はタールや発がん性物質が多い多環芳香族炭化水素、ニトロソアミン、放射性物質であるポロニウムなどだ。また、普通の紙巻きタバコの場合、1本吸うと28〜36ミリグラムのタールを含んだエアロゾルが発生……タバコ煙の粒子サイズは、その毒性に影響しているようだ”
“喫煙室などの数百マイクログラム/立方メートルという濃度は、WHOの基準値からみるとかなり危険な数値”
“加熱式タバコのPM2.5はどうだろうか。アイコス……と紙巻きタバコ、電子タバコを比較した研究によれば……アイコスは他のタバコ製品に比べて最も小さいPM1の割合が最も多かった……アイコスからは、非常に小さな微小粒子が出ているようだ。自家用車内でアイコスを吸った際の微小粒子を調べた研究によると……濃度が平均9%から232%に上昇したという”
“ PM2.5でさえ、いくら換気施設を設置してもドアの隙間や人の出入りなどによって喫煙室の外へ流出してしまう。極微小粒子では、それがもっと顕著になるはずだ”
“喫煙者の呼気にもタバコ由来のガスや微小粒子が含まれ、衣服にもタバコの有害物質が付着して外へ持ち出される。つまり、喫煙場所からの微小粒子を完全になくすことは不可能であり、受動喫煙を完全に防ぐことはできないのだ”
“タバコは……感染や重症化のリスクを高める。……患者、高齢者など脆弱な人も危険にさらし、社会全体で取り組んでいる新型コロナの感染防止を妨害しているともいえるだろう”
画像は、『STOP受動喫煙 新聞』第31号(’20年7月)の大和教授の記事の一部 ※データから印刷したもので画質が低くなっています。
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