マンション管理士コラム「ベランダ喫煙は許されるのか?」
今年5月の、興味深い論説を見つけました。
マンション管理士のかたが、法的な面と、時代背景、またタバコ促進派(禁煙運動の反対派)がよくいう “不寛容” 論もきびしく否定しています。
【コラム】マンション管理士のつぶやき(2) ベランダ喫煙は許されるか?
=『NetIB News』2021年05月18日 13:57=
以下抜粋、「…」は文省略・太字化は引用者によります。
“「ほんっとに嫌」「ゲホンってせき払いして窓をピシャっと閉めます」「それでもやめないから腹立つよなあ」……。マンションの近隣トラブルで必ず上位にランクされるのがこれ、ベランダたばこの煙害…在宅ワークが広がり苦情も増えていると聞く”
“ 30代半ばのころ、初めてのハワイ旅行の際、たばこで嫌な思いをした。ワイキキビーチをのぞむテラス席が素敵なレストランに入ったときのこと。ウエイトレスが「たばこは吸う?」と聞く。「吸う」と言うと、「こっちへ来て」と手招きして店の奥へどんどん進む。テラス席がいいということを身振り手振りで伝えようとするが、彼女は「ノー」と言ってトイレ前の通路脇の席へ案内し、「スモーカーの席はここよ」とあごをしゃくった…怒る気力は私にはなかった…日ごろから「たばこはそろそろやめなきゃな」と思っていたところ…「もう本当にやめるぞ」と決意した”
“当時、米国での嫌煙運動はすさまじかった。やがて日本にも伝播してくると思えたし、実際にそうなった。喫煙者は脇へ追いやられる時代の流れを考えれば、やめてよかったと思う”
閑話休題し、ベランダ喫煙の問題に言及。
“私も当然、ベランダでたばこを吸ったことがある。勝手なものだが、禁煙してからは他人の煙に怒り、管理会社に苦情を言い「喫煙の際は気配りを」と掲示板に貼り紙をしてもらったこともある。逆に苦情を言われたこともあったのかもしれない。この問題の扱いはなかなか難しい”
“住人相互の権利関係などを規定した区分所有法(通称マンション法)によると、ベランダ(バルコニー)は区分所有者の専有部分ではなく共用部分に属する。…しかし、ベランダは共用部分ではあっても区分所有者が基本的に自由に使用できる専用使用権が認められている。原則、喫煙も自由だろう。だが、規約や使用細則で「ベランダ禁煙」と規定してあれば、たばこは吸えないということになる”
規約で「禁煙」となっていなければ喫煙自由…? 被害を訴える住人に対し、これをいって逃れようとするマンション管理会社の話もよく聞きますが、実際は “全く自由” ではない、ということの解説が続きます。
“規定がなければベランダたばこOKが結論か? いや、そう単純ではない。区分所有法は「区分所有者は建物の保存に有害な行為その他建物の管理または使用に関し共同の利益に反する行為をしてはならない」とも規定している。たばこが共同の利益に反するほどであれば、責任を問うことができよう。同法により行為停止、使用禁止などの請求が可能。民法の不法行為の規定により損害賠償請求もできる”
“2012年12月の名古屋地裁…近隣住民に配慮しない喫煙行為は「違法」と判断し、慰謝料として男性に5万円を支払うよう求める判決を言い渡した。規約や使用細則に「ベランダ禁煙」の規定はなかった”
あの有名な、受動喫煙被害者の権利を認め、喫煙者に慰謝料を命じた判決のマンションも、禁煙の規約などなかったのです。
論説は、正しい提言でしめくくっています。
“ 愛煙家の皆さん、状況は不利と言わざるを得ない。たばこに対する風あたりは当時と同等か、それ以上に強い。裁判では、たばこを吸う側が無傷でいられる可能性は低い”
“マンション管理士として、ベランダたばこに関する相談を受けたら、たばこ農家だろうが、たばこ会社の社長だろうが、やめさせる方向に動くだろう”
“嫌煙権を認めないことこそが不寛容となる時代なのだと思う”
“喫煙者はもはや、ホタルどころかゴキブリのように嫌われる存在となり果てた。元スモーカーとして、哀感を込めてこう言おう。グッドバイ、ホタル族!”
禁煙化の当然の流れに、タバコ販促側・タバコ会社御用論者らは、よく、
“禁煙化は、何にでも不寛容、何でも規制する風潮であり、ファシズムだ”
というバカ屁理屈を述べますが(それくらいしか言える言葉がないため)、このかたがおっしゃるように、
“「不寛容」という名のバケモノがのし歩いているが、この問題では嫌煙権を認めないことこそが不寛容”
なのです。
昔から、我慢を強いられ、“肩身が狭い思い” をしてきたのは、受動喫煙の被害者のほうなのです。
あらゆる場所からの受動喫煙発生、どこでも管理者が対処すべき
もちろん、住宅受動喫煙被害は、ベランダ喫煙だけが原因ではありませんので念のため。
近年は、当方への相談でも、ベランダ喫煙は管理会社に言えばすぐやめさせられたが、室内で窓を開けて吸っている、また、厄介なのはどこで・誰が吸っているかわからない、という声が多くなっています。
それらも管理側が調査、解決をすべきことなのです。
☆当機構発行『STOP受動喫煙 新聞』でも、住宅受動喫煙問題を連載、過去の号にも関連記事、申し入れの書面や解決事例などを多く掲載していますので、被害者や、マンション管理側の方はお読みください。
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