公園の無法喫煙、規制せず・対策をとらない自治体 JTからの寄付を受けるところも

 また、“屋内が禁煙化したために、路上喫煙が増えた” 論に?
 本文の厚労省の弁にもあるように、屋外でも、人に吸わせたら法律違反です。(→末尾にも関連リンクを記載。)

 だれもが入れる、子どもの遊び場である公園でのひどい受動喫煙発生に、何もできないでいる自治体があるという、受動喫煙についてよくとりあげている九州の新聞の報道です。

 「屋内禁煙」で公園にひしめく喫煙者 対応は自治体任せ…どう思う?
  =『西日本新聞me』2022/1/4 6:00 (2022/1/4 9:11 更新)=

 以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。

“ 「子どもが遊ぶ公園が事実上、喫煙所になっています」。福岡市の複数の住民から……投稿が寄せられた。……市民の憩いの場である中心部の公園に喫煙者が集中しているという。灰皿を置けば喫煙者が押し寄せ、置かなければポイ捨てされる”

“公園に喫煙所が設置されるケースが目立っている。日本たばこ産業(JT)は自治体が公園に喫煙所を設置する際に灰皿を寄付し”

“ 福岡県や福岡市は20年度から……灰皿を順次整備した。一方で……利用者のマナーが悪かったとして、同区の他の公園2カ所では灰皿を撤去した”

“ 取材班は昨年12月……意見を募り、120件を超える回答やコメントが寄せられ……喫煙者は「喫煙所が減り、吸うところがない」「地方たばこ税を支払っている。活用して喫煙所を整備してほしい」と不満を漏らす。ただ医療費などたばこが原因の社会的コストは数兆円規模で、約2兆円とされるたばこ税の税収の数倍に上るとの指摘もある。

 非喫煙者の間では「公共の場にふさわしくない」と、灰皿設置に反対する意見が大半だった

“ 厚生労働省は公園内での喫煙について「屋外一般と同様に、周囲への配慮義務がある」と説明するものの、政府として公園内喫煙の規制強化は「考えていない」としており、自治体任せとなっている”

“ 福岡市の公園管理担当者は「原則、新設はしないが、喫煙者が多い場合は自治会など近隣の意向を聞いて設置の有無を決めている」……市のたばこ税による税収は年間100億円程度に及ぶが、「一般財源に繰り入れており、受動喫煙対策に特化して支出してはいない」”

 このようにタバコの税は、「タバコ被害をなくすことには使われないもの」なのです。
 なので、税収をあてこんで“タバコが売れれば自治体が潤う”となっている「たばこ税」など廃止して、代わりに「課徴金」という制度にするか、せめて「目的税」という形式にして、収入はタバコ問題の撲滅だけに使うようにすべきなのです。

 記事は、もっと大都市ではどうなのかの言及が続きます。

“ 東京都港区は14年、住民の苦情を受け、条例改正によって道路や公園など屋外の公共の場所を喫煙禁止とし……コンビニなどの屋内で不特定多数の人が接しない喫煙所の整備には助成制度を設けている”

世田谷区兵庫県は条例で公園を禁煙化している。大阪市などは「公園は自由使用の原則があり、喫煙の一律規制は難しい」としている”

 大学教授2名の談話とアンケート結果について。

公園は「原則禁煙」に
 宮崎大の板井孝壱郎教授(生命・医療倫理学)の話 公園は子どもも含めて誰もが利用する場所で、原則禁煙にするべきだ。政府や自治体は実現に向けて対応を急いでほしい……経過措置として事業者による喫煙所整備への助成充実や禁煙を後押しする医療支援策が必要だろう

“ アンケートは昨年12月に実施し、52人が回答。公園内の喫煙所の「必要性」については賛否が割れた”

“非喫煙者の大半は「必要ではない」と答え、喫煙者のマナー違反を指摘する人も多かった。さいたま市の男性公務員(56)は「子どもや妊婦など誰もが立ち寄る公園での設置は望ましくない」。福岡県太宰府市の女性会社員(31)は「公園近隣の歩きたばこも誘発しており、周辺への影響が大きい」と懸念した”

税収より社会的コスト大きい

九州大の真崎(まさき)義憲准教授(呼吸器内科)の話 日本も批准している世界保健機関(WHO)の「たばこ規制枠組み条約」は、発効5年後の2010年までに受動喫煙防止措置を各国に求め……日本は10年遅れの20年4月に改正健康増進法を全面施行し、ようやく多くの人が利用する施設の屋内は原則、全面禁煙とした”

“厚生労働省が条約を受けて10年に出した健康局長通知は、公園を念頭に対策の必要性を打ち出したが、改正法には必要性に関する記述がなく、トーンダウンした印象だ”

“ 現状では、公園は喫煙者のモラルに訴えるしかない”

“喫煙者は「たばこ税を払っている」と……しかし、年間の税収約2兆円に対し、たばこが原因の医療費や労働力損失などの社会的コストは4兆~7兆円とされ、社会的損失の方が大きい”

 なぜ、他者に受動喫煙という被害を与える「公共の場での喫煙」に対し、喫煙者の勝手な言い分を同列に論じるのか。その時点で見識が間違っています。

 喫煙可能な飲食店はまだ多くあるので、それらへ行けば済むこと、「タダで、人前でも吸わせろ」という発想は論外、“喫煙の権利”のような考えに合わせたらダメであり、第一、喫煙などしなくてもよい行為、吸うところがないというなら、多くの目覚めた元喫煙者のように、卒煙すればいいだけではないですか。

 

画像は宮城県の問題になった公園のようす(既出)

[当サイト関連既報] ※他にもありますので、検索窓で引いてみてください。
 “受動喫煙が無いよう配慮”は法で義務づけられています / 「加熱式タバコ専用室」の問題 ’19年3月

 “〈私有地でも〉公共に受動喫煙をさせないこと” ~ 前進した受動喫煙防止の啓発 ~ 東京都港区 ’20年12月

 ’21年元日から区立公園が禁煙に。「区内全域」で歩きタバコ・ポイ捨て禁止……しかし“立ち止まり”路上喫煙はOK??! ~ 東京都江東区 ’21年11月

 公園に勝手に置かれる灰皿? 喫煙者が密集する無法地帯に ~ 大阪 ’20年12月

 有名な公園で子どもへの虐待・受動喫煙が…!・・・ 喫煙者は加害を「許して」? ’21年6月

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