“喫煙者「採用不可」”、75年前から禁煙推進、16年前からサイトで告知 ~ 「岐阜セラツク製造所」
喫煙者を採用しないという企業は今では多くありますが、2006年からそれを明記、しかも禁煙をすすめたのは75年前、つまり1947年から、という筋金入りの企業がありました。
「社のDNA」喫煙者入社お断り 健康経営75年、岐阜の企業
=『中日新聞』2022年2月2日 16時00分=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“ 「たばこを吸う人は採用しない」と宣言している会社がある。岐阜市の天然樹脂・化学品メーカー「岐阜セラツク製造所」だ。七十五年前、病弱だった創業者が社員の健康を気遣い、禁煙を呼び掛けたのがきっかけ”
“孫で現社長の尾木大(まさる)さん(49)は「健康へのこだわりは会社のDNA。価値観を共有できる人に出会いたい」”
“ 「あなたはタバコを吸いますか?」。同社ホームページ(HP)の「採用情報」をクリックすると、こんなメッセージが現れる。
「YES」と回答すると「喫煙者は採用しておりません」とのメッセージ。「NO」を選ぶと、採用試験の応募条件や入社後の待遇などが分かる仕組み”“HP上で明文化したのは二〇〇六年ごろ。「『差別では』との批判は懸念したが、健康にこだわる社風は今に始まった話ではないので」”
サイトで「明文化」したのが2006年ということは、もっと以前から喫煙者は雇わない方針だったということでしょうか。
「YES」とすると、以下の文が現れます。(太字化は引用者)
喫煙者の方へ
大変申し訳御座いませんが、岐阜セラツクグループでは喫煙者は採用致しておりません。
健康管理
当社は創業直ぐに「飲め飲め牛乳、止め止めタバコ」のスローガンを掲げ、それ以来タバコを吸わない社員に対して「禁煙手当」を支給し、そして牛乳を飲む社員に対して「牛乳手当」を長年支給して参りました。
私たちが今、毎日仕事が出来るのも健康な身体があるからです。肺ガンの約90%は喫煙が直接的な原因であり、また禁煙後約10年で肺ガンのリスクが約30%低下すると言われています。しかもタバコは副流煙の問題もあり、タバコを吸っている本人よりも副流煙を吸っている他人の方が健康を害するとも言われます。
当社は社員と家族も含めたみんなが健康で幸せな毎日を送れる事を願っています。
安全管理
当社は危険物である有機溶剤などの化学品を大量に扱っております。よって火事などの事故防止の為に全ての工場は火気厳禁としております。当然タバコも同様で工場構内では一切吸う事は出来ません。ですからたとえ大事なお客様が会社にいらっしゃって、タバコを吸いたいと言われても、当社では灰皿をお出しする事は一切御座いません。
作業効率
喫煙者は血液中のニコチン含有量の減少により集中力を維持する事が出来なくなります。そして喫煙者は集中力を維持させる為に勤務時間中に定期的に喫煙する事になります。
喫煙者には頻繁に喫煙の為の休憩が認められると言う事は、非喫煙習者の社員から見ると非常に不公平に感じる問題です。当社では出来るだけ社員間の不公平を無くそうと努力しています。
以上の理由より、岐阜セラツクグループでは喫煙者は採用致しておりません。
大変申し訳御座いませんがご理解戴けます様、お願い致します。
牛乳を飲め、というのは、今どきは疑問ですが……。
製造・加工業で、長年、成功しているのですから、タクシーや店舗など接客業、医師や教員は、すべて非喫煙者専用にしてもらいたいですね。
[当サイト関連既報] ※他にもありますので、検索窓で引いてみてください。
「喫煙者は採用しない」は法的にも問題なし(弁護士見解) ’18年10月
建設会社も勤務中「完全禁煙」、約100事業所の喫煙所を撤去 = 清水建設 ’21年10月
全トラックを車内「完全禁煙」に=日東物流株式会社 ’21年6月
喫煙者を不採用にしたら劇的に良くなった企業=社長の独白の動画 ’19年11月
職場の受動喫煙撲滅が一般化しつつあります=来社も「1時間前から吸って来てはいけない」サードハンドスモーク(三次喫煙)対策も ’19年9月
〈続報〉イオンの就業中・就業前45分からの喫煙禁止 ~ “人権侵害” 論を弁護士が否定 ’21年2月
タバコ休憩はやはり問題 違反には懲戒処分もありえます ’19年4月
単なるサボリの喫煙室、廃止・社内完全禁煙化は正当 = 社労士「“労働条件の不利益変更”に当たらない」 ’21年6月