大阪の受動喫煙防止条例、「注目すべき点」?
先日から、当サイトでも紹介しました、大阪市の全域が路上喫煙禁止となる条例(→末尾に関連リンクを記載)に関連して、ビジネス誌での論説が出ました。市の条例強化から、さらに府全体の条例について、禁煙化した飲食店に話を進めています。
大阪でも受動喫煙防止条例、注目すべき点は?
=『Newsweek(ニューズウィーク)日本版』2022年04月04日(月)11時00分=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“3月2日、大阪市の松井一郎市長は市内全域を路上喫煙禁止地区とする方針を明言。2025年4月から開催される大阪・関西万博を見据えたもので、施行時期は明らかにしなかったが「受動喫煙をやめるのが世界の潮流。世界中から認められる都市を目指していきたい」と語った”
“東京都では……改正健康増進法に「従業員がいる店は原則禁煙」という条件を”上乗せ”した、国より厳しい受動喫煙防止条例を施行……大阪府でも東京都と同様、……”上乗せ”強化策を講じている。これは松井市長による大阪市の「路上禁煙」方針とは別の動き……大阪府受動喫煙防止条例は2019年3月に制定され、以降、段階的に施行されてきた。この4月1日からは――これまた東京都と同様――従業員を雇用する飲食店が原則屋内禁煙(努力義務)となる。全面施行(罰則あり)は2025年4月の予定”
“昨年夏に業界団体が実施した、原則禁煙の対象となる府内飲食店(従業員のいる店、もしくは客席面積30~100平方メートルで喫煙可能な店)の調査では、8割が条例を「厳しい」と評価……昨年10月の「受動喫煙防止対策における飲食店の実態調査」でも……最も多い回答は「経営面での不安」だった(54.3%)”
この調査を知りませんので、「厳しい」は、“厳しい条例で、良い”ということか、“厳しすぎる”という悪い意味なのか、はっきりわかりません。「評価」というので良い意味でしょうか。
とうに禁煙にしている店なら、「やっと厳しくなって良い」という意味でしょう。以前の神奈川や全国の調査でも、同じような意見があったと思います。
しかしこの論説はおそらく、「禁煙にしたら経営が厳しい」という観点のようです。大阪府では禁煙化の条例の制定に対して、「附帯決議」(法令が決まるさいに、意向や要望を付記したもの)があったと続けています。
“実は2019年に条例が制定された際、「府民や事業者等の権利を制限する」ことから、以下の附帯決議が府議会で承認されていたことも忘れてはならない。
<附帯決議>
【1】規制対象となる飲食店に対して十分な財政的・技術的支援を行うこと
【2】……支援策が有効に活用されるよう事業者へ広く周知……必要に応じて制度の見直し等を検討すること
【3】従業員を雇用する飲食店に対する規制の施行(2022年4月~)にあたっては、施行の1年前を目処に……進捗状況を把握すること、府民や事業者等の意見を十分に聞いたうえで必要な措置を検討すること
【4】2025年の大阪・関西万博の開催を見据え、公衆喫煙所や屋外喫煙場所等の整備を積極的に行うこと飲食店経営者の不安に寄り添うこうした決議は、江戸の時代から商いの街として栄え、義理人情にも厚い大阪らしく、全国でも珍しい取り組みと言えそうだ”
「忘れてはならない」と重要事項のように書いていますが、しかし「付帯決議」は、「その法律、条約を拘束することはできない」(『コトバンク』「精選版 日本国語大辞典」)であることもお忘れなく。
続いて、禁煙化で成功したお店を紹介しています。
“分煙の推進は喫煙者であれ大いに納得するところだろう。ただし、……コーヒーや酒とたばこはセットで楽しむ習慣、いや文化が根付き、長らく続いてきた……しかも、2年以上にわたるコロナ禍で飲食店が大きなダメージを負い、疲弊している”
“そんななか、「コロナ以前と同様ではないが、売り上げは好調だ」と気を吐く喫茶店の店主がいる。……JR茨木駅前で43年にわたり経営を続ける喫茶店「ぶいえいと」……2019年の受動喫煙防止条例制定を機に、店内をそれまでの分煙から完全禁煙へと転換……「私にとって条例は、渡りに船でした」”
“「ぶいえいと」は早くから分煙にしていた。だが非喫煙者のお客が増え、近年では禁煙室は満員なのに喫煙室はガラガラという状況もあったという。「ならばと2019年の条例を機に、店内完全禁煙へと舵を切ったのです」……「時代や環境の変化にいかに対応するか。それが生き残れるか否かの分かれ道になると思います」”
“喫煙専用室を設ける場合、厚労省の「受動喫煙防止対策助成金制度」を活用することで、設置費用の3分の2(上限100万円)を助成してもらうことも可能だ。しかし、店舗の規模など適用条件に適さない店舗も多く、また、それまで同様の助成金を実地していた東京都が昨年5月で受付を終了するなど、助成金を停止や減額した自治体も少なくない”
“なお、改正健康増進法による「店舗面積100平方メートル以上」の条件を超え、大阪府が「30平方メートル以上」の飲食店を原則屋内禁煙とするのは2025年4月から。違反店舗には5万円以下の罰則が課される可能性もある”
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