「加熱式タバコからの受動喫煙」1割の人が被害に 世界初の調査結果を東北大学が発表
電気式でタバコの葉を加熱し、揮発したエアロゾルという霧状の粒子を吸い込む、「加熱式タバコ」。 ※注:加熱式タバコの揮発成分「エアロゾル」は、肉眼視できるので、よくいわれる“蒸気”や“水蒸気”ではありません(蒸気と強調するのは安全なものと思わせるためか)。
紙巻タバコと同じくタバコの葉を使用しているので、ニコチンはじめ紙巻タバコと同じ有害成分があり、使用者の吐く息などからの受動喫煙もとうぜんあります。じっさい、体調を崩した例の報告も、報道や、何人もの知人の話でよくあります。(→末尾に関連リンクを記載。)
そんな加熱式タバコの、いうなれば“新型・受動喫煙”が、かなりの件数にのぼっているとの調査発表がありました。
「加熱式タバコ」による受動喫煙は新たな社会問題に 10%の人がほぼ毎日曝露 急激に増加
=『保健指導リソースガイド』2022年04月19日=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“ 東北大学は世界ではじめて、加熱式タバコによる一般住民の受動喫煙への曝露状況の実態を明らかにした”
“ 加熱式タバコによる受動喫煙への曝露は2.5倍と急速に増加しており、2020年には10.8%に”
“2019年時点で日本の全人口の11.3%が、加熱式タバコを使用していると推定”
“ 加熱式タバコは、タバコ葉を加熱して蒸気を発生させる製品であり、副流煙(火がついたタバコの先端から出る煙)はない。しかし、受動喫煙は吐き出された主流煙と副流煙が混ざったものと定義されており、「副流煙がない」ことは「受動喫煙がない」ことと同じではない……加熱式タバコによる受動喫煙への曝露が、喉の痛みや気分不良を引き起こすことが報告されている”
そして、つらい現実として、受動喫煙には教育レベルによる差もあることが。
“加熱式タバコによる受動喫煙への曝露割合の推移と、その曝露リスクの社会経済的状況(教育歴)による違いを調べ……結果、加熱式タバコによる受動喫煙への曝露は急増傾向にあることが明らかに……曝露リスクには、教育歴に応じた格差があることが確認された”
“受動喫煙への曝露割合は、2017年~2020年に、一貫して増加傾向を示した(2017年:4.5%、2018年:8.0%、2019年:9.2%、2020年:10.8%)。2020年には、10人に1人以上が、加熱式タバコによる受動喫煙への曝露を体験”
“女性、高教育歴群(大学/大学院卒)で、一貫して曝露割合が低い傾向が認められた。さらに低教育歴群(中学/高校卒)は、高教育歴群(大学/大学院卒)と比べて、加熱式タバコによる受動喫煙への曝露リスクが60%高いことが明らかになった”
加熱式タバコについては、規制も、研究も遅れていると指摘。
“ 日本では、MPOWER(世界保健機関が定めるタバコ対策で重要な6つの政策)のPにあたる「受動喫煙からの保護」を強化するために、健康増進法が改正させ、2020年4月から全面施行……一方で、加熱式タバコは、加熱式タバコ専用喫煙室内では飲食が可能となるなど、紙巻タバコとは異なる特別扱いとされた”
“研究では、日本を代表する一般住民を対象に実施した調査(2016年国民生活基礎調査)データを併合し、統計学的な手法(逆確率重みづけ)を用いることで、インターネット調査であることによるデータの偏りを補正……一般住民で、加熱式タバコによる受動喫煙への曝露割合の推移を明らかにした世界初の研究となる”
“「20~69歳の全人口の10%が、加熱式タバコによる受動喫煙へ毎日曝露されているという結果から、加熱式タバコによる受動喫煙が、新たな社会問題として台頭し始めていることが示唆されました」”
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