加熱式タバコはマシなのか? 呼吸器内科医論説「とにかく異物を肺に吸わせないのが正解」
増えてきた加熱式タバコについて、呼吸器内科医師が、冷静・客観的に論じています。
加熱式たばこにスイッチする人が増加 「紙巻きたばこより体にやさしい」って本当? 呼吸器内科医が解説
=『ヤフー!ニュース』倉原優 呼吸器内科医 5/31(火) 7:16=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“年齢別に見ると、20~40代で加熱式たばこのシェアが大きく、約4割……高齢者では、加熱式たばこの占める割合は低い”
“始める理由としては、「ニオイが少ないから」が63.1%で最多で、続いて「周囲の人への害が少ないから」(50.5%)、「紙巻たばこより害が少ないから」(42.1%)、「煙が少ないから」(41.9%)”
“当院にも、「紙巻きたばこから加熱式たばこへスイッチした」と言う患者さんがいますが、確かにニオイは減っている印象です。服などに染み付いたニオイが目立たなくなるからでしょう。
しかし、「周囲の人への害が少ない」と「紙巻きたばこより害が少ない」については、まだよく分かっていません”
「ニオイが少ない」は、「紙巻タバコと同量・同時間の喫煙であれば」確かですが、それも屋外など広いところでのこと。狭いところで充満したら、加熱式タバコでも同様にひどいニオイになり、健康被害が出る場合もあります。
「害が少ない」は本当かについて、続きます。
“加熱式たばこを吸うと、体や肺の中で炎症が起こります(5,6)。異物が入ってくると、身体もそれを排除しようと頑張るわけですから、当然です”
“6か月吸うと、紙巻きたばこと同様に肺胞が壊れて肺気腫になっていく現象が、マウスの研究で示されています”
“実は加熱式たばこが「あの病気のリスクだった」と後に判明する可能性もあります”
“成分を比較して、加熱式たばこで低減している化学物質があるのも事実です。ただ、それが過大解釈されて、「加熱式たばこのほうがやさしい」という謳い文句で広く喫煙がすすめられることは、リスクコミュニケーションの観点から看過できません”
“「ケーキを食べると太るから大福にしよう」というダイエットのロジックとあまり変わらず、紙巻きたばこから移行する案には賛成しがたいです”
“「害の少ないもののほうがまだマシ」と……スイッチする人が多いですが、これについては残念ながらまだ十分なデータがありません。
現時点で言えることは、呼吸器内科医としては、「そもそも余計なものをデリケートな肺に吸わせないでほしい」ということです”
“肺は、粘膜むき出しの繊細な臓器なのです。紙巻きたばこであろうと加熱式たばこであろうと、とにかく異物を肺に吸わせないのが正解です”
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