喫煙室の設置は撤回となります ~ 長崎市
無茶苦茶な理屈で、法律違反になる喫煙室を屋内に設置しようとした、とんでもない自治体については、各メディアが批判的に報道していましたが、
当サイトまとめ→新庁舎に違法のはずの喫煙室を2カ所も設置!? 非公開の場で決める、市民無視の自治体 = 長崎市
「日本禁煙学会」や地元医師会、市民の抗議を受け、喫煙室設置は中止となるようです。
各マスコミで多く報道されました。以下、引用が多くなりますが、まずは地元紙から、その検討の会を開く前の、座長の意向の発表です。
議会フロアの「喫煙室」設置、撤回提案へ 長崎市新庁舎 検討会座長が意向
=『長崎新聞』2022/7/23 12:30=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“議会フロア(5階)への喫煙室設置を内部の検討会で決定し、批判の声が上がっている問題で、座長を務める毎熊政直議員は……撤回を提案する意向を明らかに……「市民の理解が得られないと判断した。『喫煙室はもう造らん』と賛同してもらうよう提案したい」”
“議長の諮問機関「新市庁舎建設に係る議会機能整備検討会」(市議11人)は6月17日、賛否の声が出る中、工期が差し迫っていることなどを理由に喫煙室設置の方針を決めた”
“改正健康増進法は受動喫煙対策を強化。このため、市は新庁舎で、同法が認める特定屋外喫煙場所も含め設置しない方針。ただ、議会フロアは「他の行政フロアと機能が異なる」などとして……”
“ 検討会の6月の決定を受け、「5階のみ喫煙可は市民の理解が得られない」などとして、市医師会や県保険医協会、日本禁煙学会が撤回や中止を求める要望書を市と市議会にそれぞれ提出した”
そしてその検討会後、結果を、前回も報じた全国紙が報道。
新庁舎の議会喫煙室設置撤回 長崎市議会 提案座長が一転
=『毎日新聞』2022/7/25 16:30=
“喫煙室設置を市議会が非公開の検討会会合で決めた問題で、市議会は25日、検討会を開き設置撤回を決めた”
“非公開会合で設置を提案した座長の毎熊政直市議が一転して「市民から多くの批判をいただき、理解が得られていない」として設置の見送りを提案。出席した6会派の市議がいずれも賛成した”
“設置決定以降、議会事務局に約40件、市大型事業推進室に約50件の意見が電話や電子メールなどで寄せられ、ほとんどが設置に批判的な内容だったという。日本禁煙学会、市医師会、県保険医協会も相次いで撤回を要望していた”
“「議会に来られている市民にも喫煙者が一定数いる現状を鑑み、設置した方が喫煙者、非喫煙者の双方にメリットがあるのではないかと考えた」と前回の提案理由を説明。そのうえで「法的に設置が可能としても、同一の建物内にあることを考えると市庁舎と市議会を訪れる市民を区別できない」”
“「元々反対の意思を示していた」(令和長崎)、「慎重に議論を尽くす必要があった。(前回)その場で方向性を定めたやり方に率直な反省が必要だ」(共産党)などの意見が”
“市長は記者会見で「議会の考えを尊重したい。改めて受動喫煙に対するさまざまな市民の考えが示される機会になった」”
地元テレビ報道。
長崎市新庁舎に市議会が「喫煙室」設置問題 25日の検討委は「喫煙室を設置しない」決定
=『KTN テレビ長崎』2022年07月25日 18:52=
“市議会が喫煙室の設置を非公開で決めたことに批判が上がっている問題で……改めて協議し設置しないことを決めました”
“議会側は「議会フロアは他のフロアと位置づけが異なる」としていましたが、市の医師会などから撤回を求める声に加え、市民からも批判が高まっていました”
“出席した議員から、市民からの理解を得られない、議員特権と取られかねないなどの意見が出て、設置を見直す方向で一致しました”
“毎熊 政直 市議 「喫煙室は設置しないということで、結論ということにいたします」”
“市長 「(今回の新庁舎は)敷地内にも喫煙の場所は置かない」”
“市は受動喫煙を防ぐため、新庁舎以外の公共施設を含めて喫煙所などの設置について協議したいとしています”
【長崎】新市庁舎議会棟「喫煙室」の設置案を撤回
=『ncc長崎文化放送』2022年07月25日=
“多くの市民から批判の声が上がり市の医師会や県保険医協会、日本禁煙学会も「市議会関連施設は公費で運営され、公共性の高いもの」などとして撤回や中止を求める要望書を市と市議会に提出していました”
“座長は「議会フロアだけに喫煙室を設けるということは議員特権であるということで市民の皆さんから理解が得られないということを改めて確認したものですから見直し案を皆さんに提出してご決定を頂いた」と話しました”
“新市庁舎は来年1月開庁予定”
長崎市役所新庁舎 議会フロアの喫煙室 要望を撤回
=『NHK NEWS WEB(長崎 NEWS WEB)』07月25日 14時38分=
“先月、議会フロアに喫煙室の設置を要望する方針を決めましたが、25日、「市民の理解が得られない」として、一転、方針を撤回しました”
“2018年に成立した改正健康増進法では、行政機関の庁舎内での喫煙は禁止されていますが、検討会は、「議会フロアは機能が限定され、完全な分煙が可能」だとしていました”
“この方針が明らかになると日本禁煙学会や長崎市医師会などが……要望書を相次いで提出……これを受けて、25日再び検討会が開かれ、「市民の理解が得られないならば設置は不可能だ」などとして、全会一致で方針の撤回を決めました”
“座長、毎熊政直市議は、「『議員特権だ』という市民の声を改めて確認したので、見直すことを提案し、決定した」”
“田上市長は……「議会の考えを尊重したい」としたうえで、「改めて喫煙に対する、あるいは受動喫煙に対する市民の考えが示された。市の庁舎や敷地内は喫煙ルームは設けないことにしているが、一方で、市民に喫煙者はいるので、他都市でも行われているような市内の様々な場所に喫煙所を置くようにしたい。そういった場所の必要性についても協議していく必要がある」”
議員の「本音」アンケート
さらに、先の地元紙が深く追及。議員へのアンケートも。
議会フロア「喫煙室」設置を撤回 長崎市議会 “お手盛り”に市民の目厳しく
=『長崎新聞』2022/7/26 10:30=
“市議会は25日、新市庁舎議会フロアへの喫煙室設置方針を撤回した。外部から猛烈な批判を浴び、6月に内部の検討会で決定して1カ月で方針転換に追い込まれた”
“長崎新聞が全議員を対象に実施したアンケートでも反対が6割超”
“初めは「消極的容認派」だったが、世間の空気を察知し、反対へと態度を変えた議員もいたとみられる”
“ 発端は、6月17日の「新市庁舎建設に係る議会機能整備検討会」。議長の諮問機関で、一人会派を除く各会派の市議11人が出席……賛否の声が出る中……工期が差し迫っていることなどを理由に喫煙室設置の方針を決めた。これに対し、市民の批判が殺到。市医師会などから撤回や中止を求める要望書提出も相次いだ。ある議員には「たばこをやめるか、議員を辞めるか」と迫る電話も”
“ 長崎新聞は今月中旬、喫煙室設置への“本音”を探るため、「諮問する立場。議員の意見を尊重する」とした深堀義昭議長を除く全議員39人に、設置の賛否と理由を尋ねるアンケートを実施……全員から回答……賛成4人、反対25人、「その他」が10人”
“ 主な反対の理由は「議会フロアだけ税金を使って喫煙室を造るのは市民の理解が得られない」「議員特権との批判を受ける」「市庁舎を訪れた市民も利用できる場所に設置すべき」。「完璧な分煙対策は不可能」を挙げる議員も多かった”
“6月の検討会では「持ち帰って検討したい」との声もあったのに設置を決定したプロセスを巡り「十分な議論が尽くされなかったのは遺憾」との意見も”
“賛成と答えた議員は「喫煙者の権利」「たばこ税を負担している」と主張”
“2021年度の市たばこ税収入は26億7700万円……市民サービスに活用されている。近年は人口減や喫煙率低下で税収は減少傾向。16年度と比べ3億3600万円減った”
“25日、検討会を開催し座長の毎熊政直議員が設置撤回を提案。全会一致で了承された。「議論を尽くす必要があった。反省が必要」との発言も出た”
“市議の4分の1は喫煙者。非喫煙議員は当初から反対したが、喫煙容認派がいる主要会派に押し切られた。だが「お手盛り喫煙室」(関係者)への社会の視線は厳しく、早々に火消しに走ったとみられる。「来年春には選挙(市議選)もあるけんね」とある議員はぼやく”
「お手盛り」の意味→Weblio 辞書
お手盛り
読み方:おてもり
別名:御手盛り、御手盛「権力者がその地位などを利用して、利己的な操作を加えること。自らに利益があるように物事を決定すること」
「もともとは、偉い人が自分で食べ物を器に装うことを意味する。遠慮なく、好きなだけ盛るが、周囲はそれを諌めることができない」
「マスメディアにおいては、行政機関による、第三者的観点が欠落した行いといった意味合いで……たとえば、事業仕分けが各省庁自身の判断・分析で行われ、仕分けが骨抜きになっている、といった批判がお手盛りの語で言い表される」
各団体の抗議活動
日が戻りますが、禁煙学会や医師会が反対していたことも報道されていました。
日本禁煙学会が長崎市議会フロアへの喫煙室設置“撤回”を要望「健康を受動喫煙から守るため全面禁煙を」
=『KTN テレビ長崎』2022年07月14日 18:05=
“全国の医療スタッフなど約4700人でつくる「日本禁煙学会」は12日、喫煙室を設置しないよう求める要望書を深堀 義昭 議長や田上 市長などに送付……要望書では、非公開の場で設置が決まったことに「とても驚いている」とした上で、「喫煙室からは煙が漏れざるを得ない」「市民の健康を受動喫煙の危害から守るために全面禁煙を」と訴えています”
“日本禁煙学会によりますと、屋内に喫煙室がある全国の市・区議会は全体の2.5パーセント=20カ所にとどまっているということです”
禁煙学会の申し入れ書面を、同会理事長からいただきました。
(同会サイトでは公開していませんが、公開の許可をいただきました。クリックで拡大します。)
医師会の要望の報道。
長崎市役所新庁舎の喫煙室設置「撤回を」 市医師会が要望書提出
=『毎日新聞』2022/7/20 17:57=
“喫煙室を設置することを市議の検討会が非公開会合で決めた問題で、市医師会……は20日、田上富久市長と深堀義昭議長宛てに撤回を求める要望書を提出した。「議会フロアは市民が行政に参加し、市民に開かれた公共の場。市民の理解は到底得られない」と訴えた”
“議会フロアは「機能が異なる」として喫煙室が設置できると説明している”
“医師950人でつくる市医師会は「多くの市民が訪れる新庁舎の中に喫煙室を設置するのは、市民の禁煙や健康増進を推進する立場の市としていかがなものか」と指摘。「市政に関わる人たちが、率先して禁煙に取り組む姿勢をわかりやすく示すことが求められている。時代に逆行すべきではない」と訴えた”
“日本禁煙学会も市議会と市に撤回を要望している”
長崎市新庁舎 議会フロアにだけ「喫煙室」 医師会から反対受け再検討へ
=『長崎新聞』2022/7/21 11:30=
“市議会が5階議会フロア内への喫煙室設置を内部の検討会で決めたことに、反対の声が上がっている。市医師会……県保険医協会……は20日、市と市議会に撤回や中止を求める要望書をそれぞれ提出。こうした声を受け、議会内で再検討が始まった”
“改正健康増進法は、行政機関の庁舎は敷地内禁煙の「第1種施設」と規定。それ以外の多数の人が利用する施設は「第2種施設」として原則屋内禁煙だが、喫煙専用室を設置できるとする……議会フロアについて市は「他の行政フロアと機能が異なる」などとして「技術的な課題や費用の問題が解決できる場合は基本的に市議会の意向を尊重する」との立場だ”
“ 市医師会は「市庁舎内での禁煙を求める中で5階のみ喫煙可という計画自体、市民の理解は到底得られない」と撤回を要望。県保険医協会は「市民の健康を受動喫煙の危害から守ることを最優先に考え、行動すべき」と建物内全面禁煙を求めている。日本禁煙学会も7月12日に再考を求める要望書を提出している”
議事録を残さず?
また、その設置案が出た段階について、大手紙が追及していました。
長崎市議会喫煙室 「議員にも喫煙者」提案、議事録作成せず
=『毎日新聞』2022/7/21 12:10=
“喫煙室設置は市議が「議員にも一定の喫煙者がいる」などの理由で提案していたことが、毎日新聞が公文書開示請求で入手した市議会の協議結果報告書で判明した”
“ただ、議会側は「議会内部の協議」として議事録を作成しておらず、意思決定までの詳しい議論のプロセスを記録から知ることはできない”
“座長の毎熊政直市議が「議員にも一定の喫煙者がおり、また、議会にご用のある喫煙者もいることから、受動喫煙の防止を図るために喫煙室を設置してはどうか」と提案。「一部会派から反対意見もあった」というが、法的に議会フロアに設置可能▽喫煙者にも喫煙する権利がある▽今回決定しないと今後の工期に影響を及ぼす――などの理由で、喫煙室2カ所を設置することを決めた”
“「内部の協議で、議事録作成のルールがない」として議事録を作成しておらず、出席市議の賛否の意思表示やその理由などの具体的な発言内容を記録で確かめることはできない”
“日本禁煙学会や市医師会が撤回を要望。県内の医師と歯科医師計1890人でつくる県保険医協会も20日、「市議会の施設は公費で運営され、公共性が極めて高い」として、田上富久市長と深堀義昭議長宛てに設置中止を要望した”
画像は「改正健康増進法の体系」。→厚労省サイト「受動喫煙対策」より。
上段に「第一種施設」としての役所の位置づけがあります。
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