タバコ生産がもう無い地域で続く“タバコの祭” タバコ葉や資料の展示も
神奈川県の秦野市(よく間違って「はたの」と読まれますが、「はだの」と濁るのが正しい)で、かなり前から行われている、タバコに関する全国でも珍しい祭りがあります。
同市で昔、タバコの葉を生産していたことに由来するようですが、タバコ農家は同市ではもうとうになくなっています。いったい何をやっているのか、『神奈川新聞』などで少し取り上げられる程度で、よくわからないでいましたが(興味もなかったので)、詳しい取材ルポがありましたので、ホンの話のネタに。
まさか皆で吸ってるの…? 謎のイベント「秦野たばこ祭」の実態を、現地で調査してきた件
=『Jタウンネット』2022.10.03 13:00=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“神奈川県中西部・秦野市で行われる催し……こんな謎すぎるイベント……記者は9月24日と25日に行われた秦野たばこ祭に参加することにした”
“市のウェブサイトによると「たばこ祭」は1948年に初めて行われた。昨年、一昨年はコロナ禍の影響で通常開催が見送られたため、第75回となる今回は3年ぶりの開催”
“道が人々で溢れ、祭り屋台がズラリと並ぶ。子供たちもたくさんで、祭りは大盛況”
“喫煙所はあるものの、その辺でたばこを吸いまくっている人がいるわけではない。安心した”
“24日は台風15号の影響で一部のイベントが中止に。しかし、この日のメインとも言えるイベントはしっかり行われた。
秦野市立本町小学校で開催される「ジャンボ火起こし綱引きコンテスト」……約5メートルの高さの超巨大火起こし器に回しかけた綱を引き合い、火をおこす……ここで生まれた種火でたばこを吸う――わけではなく、大きな松明にともされたあと、誰もが楽しめる豪華絢爛なファイヤーパフォーマンスの炎に”
“2日目の午後からは、「たばこ音頭パレード」が……「♪秦野葉たばこ 畑つくり ハーみてくれ秦野のはたらき手」と独特過ぎる歌詞が印象的な「秦野煙草音頭」に合わせて、踊り子たちが祭りの会場である通りを優雅に進む”
“夕方からは、手作りのらんたんとフロート車のパレード「らんたん巡業」が……19時からはフィナーレの幕開けとなる「弘法の火祭」が……火祭りが終わると、フィナーレの打ち上げ花火へ”
“それぞれのイベントを見る限りでは、「火」が非常に重視されていたり、「たばこ音頭」が存在していたりするものの、たばこどう関係しているのかはわからない。老若男女が楽しめる、ごく一般的なお祭りだった”
やたらと「火」をたてまつるようなイベントなのですね。子どもたちに悪影響があると思うのですが。
そして、タバコに関する展示も。
“しかし、祭りで盛り上がる街の中で、ちゃんと「たばこ」に関する催しも行われていた……そのうちの1つが、本町公民館で開催されていた「秦野たばこ資料展」。葉タバコ耕作の写真や工作に使われた道具が展示され……明治時代には葉タバコの収納所、試験場、製造工場が開設……ここで働く人々が秦野に住み始めることで市の人口が増え、葉タバコの収納に訪れた人々で商店街はにぎわい、秦野の発展を前進させたそうだ”
“第二次世界大戦の戦中、秦野のタバコ耕作は落ち込んだのだ。さらに戦後の不況期とあいまって、町からは活力が失われ……不況期を官民一体となって乗り越えるために様々な企画が行われた。その1つが「たばこ祭」だったのだ”
“タバコ耕作を再び発展させ、秦野を復興させよう――。そんな思いで開催されたイベントだったが、葉タバコ農家は減少していき……タバコ耕作自体も84年に終焉を迎えた”
もう40年近く前にタバコの葉っぱ栽培は終わっているのです。
しかし、祭りが続いているだけでなく、小学校がタバコをシンボルに……?!
“本町小学校と上小学校の校章には葉タバコがデザインされている。市役所の入り口は「秦野煙草の碑」が設置……祭りの前後には市役所や公民館、秦野駅や「グランドホテル神奈中 秦野」などで葉タバコの実物展示が行われる”
“禁煙時代と言われる現代になっても、祭りは「たばこ祭」という名のままだ”