社内の受動喫煙「スモハラ」撲滅はどうするか? 「根の深い問題」コンプライアンス専門家が解説
スモーク・ハラスメント、つまり受動喫煙による迷惑行為ですが、ハラスメントと言う場合、職場など組織において使われることが多い語句です。
あらゆるハラスメントの撲滅を進めるコンプライアンス(企業や団体が規律や法令を守ること)専門者の連載記事で、スモハラの一項がありました。
「根の深い問題」と言及しています。
ただ、最後の結論的なところには多少疑問があります。
不公平感が高まる根の深い問題! 「スモーク・ハラスメント」
=『マイベストプロ北海道』2022年11月2日 公開 / 2022年11月8日更新=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“スモークハラスメント=健康被害
スモークハラスメントと聞くと「吸い殻が山のようになった灰皿」「副流煙による健康被害やニオイ」などを想像する方が多いと思います……しかし、多くの会社で、オフィス内禁煙や敷地内禁煙(オフィスビル、商業施設、医療機関)が一般的になった近年で「スモークハラスメント」は今までと違った問題を生み出しています”“私の会社員時代終盤に通っていたオフィスビルは最新の高層ビルの高層階……自席から喫煙室に行くにはエレベーターを乗り継ぎ……着いても狭い部屋のため満員で、順番待ちすることも……自席と喫煙室の往復だけで20分以上かかることも……それにタバコを吸う時間が加わりますので、喫煙者は長時間オフィスを離れるということが頻繁に起きます”
“高層ビルでなくても、駐車場の自分の車までタバコを吸いに行く人もいるでしょう”
“タバコを吸うのは個人の嗜好なので、禁止された場所以外での喫煙は自由です。
しかしながら、オフィスに出勤しての業務遂行を考えた時に問題が発生します。仮に1回15分を1日5回で合計75分間自席にいない・・・となると
・1日の勤務時間の問題
・残業の問題(75分少ないのに残業つけるの!?)
・外部から当事者への電話の対応
・当事者への来客対応
・当事者への報連相や決済事項が滞る などつまり、本人の勤務時間の問題以外に……他の従業員に必要のない業務を負わせることに……同じ部署内スタッフの時間を奪っている”
“これがハラスメント(不快感や精神的な苦痛を与えること)となります”
“他にも、非喫煙者との不公平感や残業時間の正当性、ニオイなど違った形で社内・部署内の歪みを広げていき、職員間の対立や人事評価、部署内での離職などの大きな問題に繋がることも珍しくありません”
“対策として「全面禁煙」を打ち出す企業もありますが・・・
中には
・勤務中は全面禁煙にすると発表したら離職者が急増した
・禁煙チャレンジに手当支給すると発表したら逆に喫煙者が増えた
・タバコが吸えないことでメンタルダウンの訴えが発生した
などという、残念な事例も発生しています”“充分に話し合い、喫煙者・非喫煙者ともに納得できる社内のルールを設けることが解決への近道”
結論にやや違和感。
「全面禁煙にすると……離職者が急増した」→そんなことで会社を辞める喫煙者が、社の運営を危うくさせるほど大勢いるのでしょうか?! 喫煙者が多数で、魅力のない、皆が転職を考えていたような会社ではないでしょうか。
「禁煙に手当……喫煙者が増えた」→手当をもらうために、吸ったことがない人が喫煙を始めたということ?! これちょっと信じられません。手当はよっぽど高額だったのですか?
「吸えないことでメンタルダウン」→これはただ依存症の症状です。峠を越せば精神状態は喫煙していた時より良くなります。
現にうつ病や精神疾患なども喫煙者のほうが多いという統計もあるそうです。
「喫煙者・非喫煙者ともに納得できるルールを」→全面禁煙でも、いまどき、まともな喫煙者なら納得します。
10年ほど前のタバコ問題の講演で、演題の一つに従業員室を禁煙化した横浜市のホテルの人の話がありましたが(ホテル業界は喫煙者が多いと言っていました)、喫煙可能場所がかなり遠くなり、実質、勤務中は吸えなくなり、演者は退職も頭によぎったそうですが、結果、卒煙につながり、今では会社の決断に感謝しているということでした。
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