ベランダ喫煙の法律での制限は? “規約で禁止でなくても、他者への受動喫煙は禁止です”

 いまだにある、近隣へ多大な被害を及ぼしている、ベランダ喫煙。
 今どきこんなことする人間は、非常識この上なく、社会生活というものがわかっていない人格破綻者ですが、まだ多くはびこっているのが現実です。

 ネット記事の法律相談で、“法的に制限できないのか?”との質問と、回答がありました。
 回答者は、日ごろから受動喫煙を問題視しているという弁護士だそうです。

 隣人がベランダで喫煙 法的に制限できる?
  =『日本經濟新聞』2024年6月13日 4:00= ※同紙ネット記事は無料登録で全文が読めます。

 以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。(いちおう読む制限のある記事なので、引用は最小限にしています)

“改正健康増進法が施行……ところが、飲食店における原則禁煙もいまや骨抜きにされている……厚生労働省では、毎年5月31日の「世界禁煙デー」から6月6日までの1週間を「禁煙週間」と定めていますが、今年もたいして周知されることなく終わってしまった気がします”

“ベランダ喫煙は周辺の居住者への受動喫煙や洗濯物へ付着する臭いなど、被害を訴える声が次第に出始め……健康被害が強く意識されるようになり、訴訟に発展するケースも出てきた”

“2012年の名古屋地裁判決……70歳代の女性が、下の階に住む60歳代の男性に対し、ベランダで吸うたばこの煙が原因で体調が悪化したなどとして損害賠償を求め……5万円の賠償が認められました”

“他のコラムなどを読むと、この判決は「ベランダ喫煙は損害賠償が認められる」というように要約されることが多いのですが、判決内容を具体的に見ると、それほど単純ではありません。この件は、女性が男性に対し、再三ベランダ喫煙をやめるよう要請していたにもかかわらず、男性がベランダ喫煙を継続していたという事情があります。一方で、マンションの使用細則においてベランダ喫煙はとくに禁止されていませんでした。男性は、「喫煙しているのは、被告所有の建物内であって、私生活における自由が尊重されるべきだ」などと反論しました”

“ベランダ(バルコニー)は区分所有権(専有部分)の対象ではなく、共用部分ではありますが専用使用権があり……管理規約や使用細則に抵触しない限り通常使用方法の範囲内で自由な使い方が認められているのが一般です。
判決では、「自己の所有物内でも、いかなる行為も許されるというものではなく、行為が第三者に著しい不利益を及ぼす場合には、制限が加えられるのはやむを得ない」とし……使用細則がベランダでの喫煙を禁じていない場合でも、他の居住者に著しい不利益を与えていることを知りながら喫煙を続け、喫煙行為を防止する措置をとらない場合には、喫煙行為が不法行為を構成することがあり得ると判断”

“注目すべきは、専用使用部分(ベランダ)のみならず、専有部分すなわち自室内での喫煙も制限される場合があることを示唆している点です”

“改正健康増進法……27条1項は「何人も……喫煙をする際、望まない受動喫煙を生じさせることがないよう周囲の状況に配慮しなければならない」と規定し、喫煙が禁止されていない場所での喫煙についても、周囲への配慮を義務付けています。この規定に罰則はありませんが、改正法施行後に喫煙に関する紛争が法廷に持ち込まれた場合、この規定が解釈指針になり……今まで以上に厳しい判決になることを、希望を込めて予想します”

“とはいえ、これまでの判例を見る限り、裁判において高額の損害賠償が認められるということはなかなか考えにくいところであり、分譲マンションの場合であれば、実際には管理組合に相談して問題を共有し、住民全体の理解を得ていくのが現実的な解決策かと思われます”

“管理組合規約細則を改訂し、喫煙禁止の場所をバルコニー(ベランダ)を含む共用部分全体に拡大し、室内での喫煙も念頭に「近隣に受動喫煙被害を与えること」を全般的に禁止したマンションも現れてきています”

 最後にあげられている規約の例は、明石市の当機構会員が進めたもので、それにならって滋賀県のマンションではもっと進んだ規約が作られています。以下の過去記事をご参照ください。

 

 

[当サイト関連既報] ※他にもありますので、検索窓やカテゴリーで引いてみてください。
 マンションで受動喫煙撲滅の規約が新たに! 自室も「近隣に受動喫煙被害を与えること」は禁止に ~ 兵庫県明石市 ’23年5月

 マンション“近隣に受動喫煙の被害を与えない”規約改訂が、再度大手紙で取り上げられました ’23年6月

 43号=’23年・夏号=発行 「マンションの受動喫煙を禁止とする規約成立」など役立つ情報を多数掲載 ~ 唯一の“受動喫煙問題”定期刊行紙『STOP受動喫煙 新聞』 ’23年7月

 “受動喫煙の可能性がある喫煙は禁止” マンション規約が新たに “喫煙者側が証明すべき” ’23年12月

 住宅の受動喫煙撲滅、条例化に向け、議員が質問 = 兵庫県明石市 ’23年9月

 ベランダ喫煙は「マンション使用細則モデル」で禁止されています ’20年1月

 ベランダ喫煙での洗濯物被害に、クリーニング代の請求は ’23年8月

 受動喫煙は25m先まで発生、ベランダ喫煙が大問題なワケ ’22年5月

 アイドル“コメットさん”がマンション受動喫煙被害で発症! 救急搬送も! 家族と離れホテル住まいに…! 大場久美子さんを襲った理不尽な悲劇! ’24年4月

 =46号=発行・『STOP受動喫煙 新聞』’24年春号 ~ 市営住宅で後遺障害、裁判に!/駅前喫煙所を撤去せよ!(大和浩教授連載)/喫煙所で路上喫煙は減ったのか? 鎌倉市回答/完全禁煙マンション建設中……等々、他にはない情報いっぱいの専門紙です! ’24年4月

 住宅の受動喫煙問題が英語紙『ジャパンタイムズ』で掲載されました 改正法・飲食店の加熱式タバコ問題も言及 ’24年6月

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