加熱式タバコにもPM2.5! 紙巻タバコより毒性が強い!
“加熱式タバコは害がない”と勝手にカン違い・思い込みをしている単純・軽薄な人がときどきいますが、有害であることは少し調べればわかることです。よく知らないのに決めつけている人は“情報弱者”で、ダマされやすい人です。
加熱式の多くの害のうちの一つ、PM2.5に言及した論説が、おなじみの研究者・記者から出ました。
「加熱式タバコ」に「PM2.5」って含まれてるの?
=石田雅彦 科学ジャーナリスト(’24年)7/15(月) 9:01=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“ 大気中の汚染物質であるPM2.5は、タバコ製品にも含まれ、能動喫煙、受動喫煙で健康被害をおよぼす原因の一つ……微小粒子状物質(以下、微小粒子)、いわゆるPM2.5は、大気中に浮遊する2.5マイクロメートル以下(1マイクロメートルは1ミリメートルの1/1000)の粒子のことで、PM2.5の量は大気汚染の度合いを測る指標の一つ”
“ 日本の環境基本法によると、PM2.5についての望ましい環境基準は……年平均値を15マイクログラム以下でかつ1日平均値が35マイクログラム以下……世界保健機関(WHO)の基準値によれば、PM2.5が37.5マイクログラムで住民の死亡率が1.2%上昇するとしている(全て1平方メートルあたり)”
“微小粒子は、それ自体が健康へ害を及ぼす。PM10以下の微小粒子は、喘息や肺炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)といった呼吸器疾患や心血管疾患の原因になったり悪化させたりする”
“物が燃える際に出たり、硫黄酸化物や窒素酸化物、揮発性有機化合物といったエアロゾルの化学反応などによって粒子になったりして生じることも多い。工場の煤煙や車の排気ガスなどからも出るが、タバコの煙からも無視できない量のPM2.5が出ている”
“主流煙も受動喫煙をおよぼす副流煙にも、1マイクロメートル以下の微粒子が含まれ……タールや発がん性物質が多い多環芳香族炭化水素、ニトロソアミン、放射性物質であるポロニウムなど……紙巻きタバコの場合、1本吸うと28〜36ミリグラムのタールを含んだエアロゾルが発生”
“ 米国の研究によれば、受動喫煙によるPM2.5などの微小粒子の曝露によって、心血管疾患の発症や死亡リスクが増えることがわかっている……受動喫煙によるPM2.5の曝露量は少なくても、心血管疾患のリスクはそれほど下がらない。これは喫煙量の健康リスクと同じで、加熱式タバコのリスクとも関係する知見”
では、加熱式タバコのPM2.5は。
“ アイコス……紙巻きタバコ、電子タバコを比較した研究……アイコスの微小粒子の割合はPM1が92.1%、PM1〜PM2.5が1.1%、PM2.5からPM10が6.8%でアイコスは他のタバコ製品に比べて最も小さいPM1の割合が最も多かった”
“ アイコスとグロー……電子タバコのJULLの微小粒子を比較した研究によれば、やはりこれらの新型タバコからPM1の超微小粒子が多く出ており、屋内での濃度も11.0マイクログラムから337.5マイクログラムと幅があったものの屋外の濃度(14〜21マイクログラム)に比べてかなり高い”
“ 自家用車内でアイコスを吸った際……吸い始めると0.025マイクロメートルから0.3マイクロメートルサイズの粒子の濃度が急速に高くなり、吸わない場合の車室内に比べ、このサイズの微小粒子の濃度が平均9%から232%に”
“紙巻きタバコと比べると量は少ないものの、加熱式タバコからはどうやら非常に小さな微小粒子が出ているよう……加熱式タバコから出ているPM2.5以下の微小粒子の濃度は数十から数百マイクロメートルという高い値……PM2.5でもPM1やそれ以下のサイズの粒子が出ている”
“ 数字に幅があるのは、研究によって測定する基準や対象とする製品が異なったりしているからだ。加熱式タバコの喫煙研究では、多種多様なデバイス、スティックが市場へ投入され、その影響を見極めることがますます難しくなっている”
“従来の紙巻きタバコの分析ではみられなかった粒子状物質が加熱式タバコから検出され、従来の毒性評価ではわからないという限界も指摘されている……加熱式タバコについては、紙巻きタバコと比較した相対評価ではなく、加熱式タバコ自体の健康影響を単独で評価することが必要だろう”
“ 重要なことは、加熱式タバコのPM2.5などの超微小粒子のサイズが従来の紙巻きタバコのそれよりも小さいということ……粒子サイズは、毒性に影響……つまり、加熱式タバコの微小粒子の毒性は、より強い危険性がある”
“粒子が小さければ小さいほど、粒子は空気中に長く浮遊する。また、吸い込んだ空気に乗って肺の奥へ入り込み、体内へ取り込まれる”
“いくら換気施設を設置してもドアの隙間や人の出入りなどによって喫煙室の外へ流出……喫煙所などへ出入りする喫煙者の呼気にもタバコ由来のガスや微小粒子が含まれ、衣服にもタバコからの物質が付着して外へ持ち出される”
“ 喫煙場所からの微小粒子を完全になくすことは不可能であり、受動喫煙を完全に防ぐことはできない。喫煙所周辺のPM2.5の濃度は、バックグラウンドよりもかなり高い”
“まとめると、PM2.5などの微小粒子はそれ自体に毒性があるが、タバコ、加熱式タバコ、受動喫煙では環境中の濃度よりもかなり濃いPM2.5の曝露があり、それによる健康への悪影響は大きい。また、微小粒子には病原性微生物が混じることがあり、感染症のリスクも高くなる。さらに、加熱式タバコからもPM2.5による受動喫煙の害があり、それを防ぐことは難しいということになる”
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