スポーツ選手の喫煙率 / 屋外から禁煙が進んだのも「奇異」「日本的」?
受動喫煙が主題ではないですが、興味深い話なので。新コロ感染騒動時に名前をよく目にした医師が書いています。
各種目の喫煙率もおどろきですが、先のオリンピックで喫煙という法律違反で出場できなくなった選手の話から、屋外での禁煙が進んだ日本は「奇異」で、“日本的”だと言っています。
はたしてその考察は正しいものか?
アスリートとたばこ 喫煙率6割強という競技も…「行動規範」と日本の受動喫煙対策 共通点は「体裁」
=『ヨミドクター(読売新聞)』2024年7月31日=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“ サッカーファンなら誰でも知っている名選手……クライフですが、非常に大きな欠点がありました。喫煙習慣です。現役時代からヘビースモーカー……引退後も喫煙の習慣をやめようとはしません……監督だった91年には心臓発作に苦しめられ、冠動脈のバイパス手術を受け……ようやく喫煙という悪習を断ち切った……しかし、禁煙したあとになっても、若いときの喫煙の影響は完全には消えませんでした……肺がんを発症……68歳という若さで世を去りました”
“高い身体能力を必要とする現代サッカーにおいて、喫煙者はさすがにいなくなっただろう……ところが、事実はそうではなかった……12年から20年に行われたアスリートに対するドーピング検査……22.7%のサンプルからニコチンが検出……ドーピング検査をしているのですから、トップレベルのアスリートたちです。男性では24.1%、女性では18.5%でニコチン検査陽性でした。相当数のトップアスリートたちは喫煙をしていた”
“ 競技別で見ると、野球が非常に高くて12年は74.7%、19年は66.7%の陽性率……重量挙げでは12年が47.4%、19年は39.4%……体操競技では12年は22.4%、20年は28.1%でした。サッカーはというと、12年が31.3%、20年は26.1%……持久力をあまり要しない野球や重量挙げ、体操競技の喫煙率の高さも驚きでしたが、トップレベルのサッカー選手も結構、たばこを吸っている”
“ 多くのスポーツ団体はアスリートの喫煙を奨励しません。が、禁止もしていません……国際オリンピック委員会(IOC)も、オリンピック開催地での禁煙を奨励するなど、喫煙対策に力を入れている一方、アスリートに禁煙を義務付けているわけではありません”
“たばこはドーピングの対象ではありません。そもそも喫煙はアスリートのパフォーマンスを下げることから、その使用が推奨されていないわけで、「不当な薬物的パフォーマンスの向上 」を監視するドーピングの本来の理念とはまったく異なる物質”
“一方で日本体操協会は役員・選手の行動規範のなかで、「20歳以上であっても原則的に喫煙は禁止する」とあり……体操選手の喫煙率は高く、他の競技関係者から注意されたり、「日の丸を背負っているアスリートがたばこを吸うのはおかしいのではないか」というスポンサー企業の関係者から指摘があったりして、こうした規範になったのだという報道も……他人様の目から見て、体裁が悪いというのが規定の拠なのだそうです。一意的にアスリートのパフォーマンスや健康への配慮が最重要課題ではなかったのかもしれません”
あげているなかで、体操選手だけは2012年より’20年のほうが多くなっているのですね? なぜでしょう?
さて、次にその“ひと様の目を気にする”ことが“日本的”で、他の禁煙運動もそうだという論を展開しています。
“ 他者の目や評判を気にして対策を取る。これ、いかにも日本的だなぁと思います。というのは、一般的な喫煙対策も、日本は海外とは異なる方向性を持っていたから”
“多くの国の喫煙対策は、喫煙者自身の健康もさることながら、周囲にいる人への受動喫煙対策を重んじます。よって、慢性的、長期に喫煙の影響を受けやすい屋内での禁煙を徹底した”
“ ところが、日本では屋内での喫煙よりも屋外での喫煙対策のほうが先んじました。「路上喫煙対策」が先で、そのあとに屋内の対策が続いたのです。市民の健康という観点からは、これは奇異な判断です。奇異ではありますが、実に日本的”
“海外では屋外での喫煙対策は日本よりもゆるいことが多いです。喫煙対策で世界をリードしているスペインは、欧州でもっともたばこの煙の曝露が少ない国の一つです。しかし、スペインの街を歩くと、街角で喫煙する人たちの姿を見ます。路上には、たばこの吸い殻が落ちていたり、煙の臭いがしたりします。それでも、屋内の喫煙対策は非常に厳しいため、全体としては受動喫煙のリスクは日本よりも小さいのです”
“ 日本では健康への影響が小さい路上での喫煙規制は厳しく、街を歩いてもたばこの臭いはほとんどしません(場所にもよりますが)。しかし、路上でのたばこの煙はすぐに希釈され、心疾患やがんといった深刻な病気に影響を及ぼすリスクは非常に小さいです。これは、屋外でマスクを着用しなくても新型コロナの感染リスクは非常に小さい、という事実とも同様のメカニズムでそうなのです”
“ 日本では実より見た目。真のアウトカムよりも体裁、形式を優先します。社会のあらゆるところで見出すことのできる傾向”
飲食店などは選ぶことができますが、路上は逃げられないことが多くあります。以下の過去の記事にも被害例が多々あるように、他人の目を気にして禁止となったわけではないとおもいますが。
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