アパートを完全禁煙にするには? ヤニ汚れに困った大家さんが10年かけて禁煙達成! 「本当に良かった」
アパート経営者が、“ヤニ”に困って、段階を経て、「完全禁煙」にした話を不動産のサイトに書いています。素晴らしいですね。
以前にも当サイトで紹介した記事 家賃に差をつけた「禁煙特約」物件(’20年11月)の、続報となっています。(当時は、いずれ絶対に完全禁煙にするという“野望”に気づかず、簡単な紹介記事にしてしまっていました。失礼しました)
10年かけて禁煙アパートができるまで。予想されたリスクとやってみてわかった事
=『健美家(けんびや)』2024/8/3=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“大家になって8年目くらいまで、「非喫煙者/喫煙者」の区分をせず……ところが、喫煙者が退去した部屋のダメージが、まぁまぁ酷い……北国なので……真夏以外は窓を開けることがありません。給気口もテープで塞いで換気せずに生活する人も多く……ヘビースモーカーですと入居から数年で室内は茶色くヤニまみれに”
“悪質な退去者には消臭や特殊清掃費なども請求します。しかし、微妙なダメージの場合は、委託管理会社側も強く請求しない(できない)ので、泣き寝入りする事も多かった”
“クロスや建具は張替えや清掃で簡単に復旧できますが、樹脂製の設備などの表面に色素が沈着して黄ばんでしまうと、清掃では取れません……部屋がくたびれた感じに”
そこで一念発起!
“その後の客付けに影響するために、「もう喫煙者は入居させない!」「俺の物件は禁煙者専用にする!」と決めました。
喫煙率の多い北海道で受け入れられるか?やっぱり無理かな?と不安もありましたが、約10年掛けて「禁煙専用物件」を作ることができました”“まず、急に「禁煙物件」にはできません……以前からの入居者の中にも喫煙者はいる……なのに、新規入居者に「喫煙禁止」と伝えると、同じ物件に喫煙者と禁煙者が混在することに……クレームの元になります。
「禁煙って聞いて入居したのに、隣の部屋からタバコの臭いがする!」
「廊下が臭い!」”“不動産会社のスタッフはクレームを避けたいもの。そんなことになれば、“面倒くさい物件は案内したくない”という心理が働き、客付けに不利に……私は次の対策を講じました”
“■初期段階は禁煙特約物件にした
将来的に全面禁煙にすることを前提に、2014年から、このアパートを「禁煙特約物件」に設定……「この物件は禁煙者の入居を求めている」という旨を示し、「契約者は完全非喫煙者で、友人知人ゲストも喫煙しない」代わりに、家賃を他の部屋より1,000~2,000円値引きする、と記載”“「もしも喫煙が発覚した場合は、契約違約金100,000円 入居年数に関わらず原状回復費用・消臭・特殊清掃代・ヤニ取り等の費用を満額実費請求する」というルールも”
“特約の名称ですが、「非喫煙特約」ではなく、「禁煙特約」としました。非喫煙より禁煙の方が、厳格なイメージを与えられると考えたため”
“親しい仲介スタッフさんに聞いた話では、こんな内容を盛り込んだ契約書は、札幌で過去に見たことがなかったそう……仲介スタッフさんに、「面倒な大家だな~」と思われ、「よくわからないから紹介をしないでおこう」と避けられたらどうしよう、紹介率が下がるのではないかと、とても心配した”
“それでも、大切なアパートがヤニ部屋にならないように、どうしても成功させたいという気持ちもありました”
しかしフタを開けると……。
“実際に始めてみると、心配していたことは起こりませんでした”
“禁煙物件に住めて、更に他の部屋より1,000円安いことを喜んでくれるお客様から順調に申し込みが入りました”
“最初のうちは完全禁煙ではなかったため、事前に「共用部や窓越しにタバコの臭いを感じる可能性がある」と説明し、了承を得ることで問題は生じませんでした。(1,000円の家賃値引きがこの分のカバーになりました)”
“非喫煙者が退去した部屋は、ほとんどの場合、かなりキレイです!ヤニ汚れの蓄積がないことで、室内寿命が大幅に伸びています”
“この10年で入居者の新陳代謝が進み、このアパートは今では「完全禁煙物件」になりました……「禁煙物件にして本当に良かった。」に尽きます”
“写真のようなヤニ汚れのダメージがなくなるので、原状回復費用が大幅に減ります。美装だけで次の募集を開始できることが増え、機会損失を最小限に留める事ができます”
“喫煙部屋の場合、ヤニで汚れた壁を壁紙交換して、天井のジプトンを塗装して、カーテンレールを清掃してと、細々とした清掃や漂白などめちゃめちゃ大変です”
“目に見えない被害である「タバコの臭い」も酷く、消臭作業も必要になります。つまり、喫煙者が住むことで、原状回復のコストと時間が余計に掛かってしまうのです”
“吸い殻を窓から捨てる人もいました。マナーというより、人間として問題ですよね。ちょっと信じられませんが、タバコを吸う⇒アウトロー⇒無敵とでも思っているのでしょうか?……マナー違反は、親元を離れて一人暮らしデビューを果たした若年層や、中高年の独身男性の入居者さんに多い印象です”
“敷地内をくわえタバコで歩き、吸い殻を玄関前に落とす人もいました。これは非喫煙者側からみると完全に煙害です。他入居者様への迷惑は図りしれません……ダストボックス周辺に、タバコのフィルターゴミがちらばっていることもよくありました”
“現在は、入居審査時には必ず喫煙の有無をヒアリング&フィルタリングしますので、非喫煙者だけが住まう物件になっています。
煙害はゼロ、吸い殻の散乱もゼロ、原状回復はラクちんです♪”“10年掛けて禁煙特約⇒完全禁煙物件にして本当に良かったです。
入居付けも、「禁煙物件に住みたい!」とわざわざ選んでくださる方が多く、良い事尽くめで賃貸経営が出来ています”
社会的なことにも言及しています。
なかなか見識のある方と思います。
“空室が長引いて……「誰でもいいから住んでくれ」と審査を緩める大家の気持ちもわかります。でも、それって本当にメリットがあるのでしょうか?
「禁煙物件に住みたい!」という強いニーズを持つユーザー向けの条件で募集をして、それを物件の強みにすることを検討してみるのもアリかもしれません”
“ホテルと同じように、今後、賃貸物件でも確実に増えて行くでしょう”
その通りと思います。喫煙率が最高(ワースト)レベルの北海道でそうなのですから、喫煙者が少ない都市でどうして禁煙物件が増えないのでしょう。
その辺の多くの集合住宅経営者は、頭が固いのではと思います。
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〈『STOP受動喫煙 新聞』関連掲載号〉※ほかにも多数あります。
第11号 – 2015年7月
最新号(通算28号・’19年最終号)は10月30日完成、発送いたします=受動喫煙専門の情報紙『STOP受動喫煙 新聞』
最新31号が校了~ ’20年7月28日(火)完成・発送します~『STOP受動喫煙 新聞』
35号(’21年・夏号)は8月12日(木)完成・発送の予定です(遅れてすみません)=「受動喫煙」専門紙『STOP受動喫煙 新聞』
43号=’23年・夏号=発行 「マンションの受動喫煙を禁止とする規約成立」など役立つ情報を多数掲載 ~ 唯一の“受動喫煙問題”定期刊行紙『STOP受動喫煙 新聞』