「全面禁煙が3球団しかない不思議」 野球界の喫煙・受動喫煙撲滅に貢献した名選手 ~ 「異端扱い」された桑田真澄氏、若い選手に良い影響を与え続ける大谷翔平氏

 先日の、プロ野球団やっと3例目の禁煙化の記事タイガースも禁煙に (’24年11月より) プロ野球ではたった3球団目? セリーグ初?の続報です。

 阪神・藤川球児監督の「全面禁煙」導入でわかった いまどき「愛煙家」が多い野球界の特殊事情
  =『AERA dot.』2024/11/02/ 11:00=

 以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。

“ 阪神が高知県安芸市で開催している秋季キャンプ初日の11月1日から、チームで活動している時の「全面禁煙」を導入して話題に……来季は甲子園のクラブハウスなどから喫煙スペースがなくなり、ビジター球場でも同様のルールが適用される。ただ、遠征の際の宿舎滞在時やプライベートの時間に関しては、適用されない”

ロッテ2020年から両リーグを通じて初めて全面禁煙を導入し、日本ハムも全面禁煙を徹底している”

“医学的には、喫煙することで呼吸機能、筋力、瞬発力、持久力が低下し、筋力トレーニングの効果が落ちるというデメリットはすでに常識だ”

“ ただ、プロ野球界では、いまだに「喫煙文化」が浸透している現実が……スポーツ紙デスクは「名前は出せませんが、球界を代表する選手たちの多くは吸っています。投手より野手のほうが多いです。打席が回ってこないイニングの合間に吸ったり、試合後は一服してから取材に応じたり。我々マスコミも、喫煙所が選手やコーチから情報を得られる貴重な空間でした」”

“ 他球団でプレーする30代の選手は苦笑いを浮かべ……「ウチの球団で『全面禁煙』は絶対に無理だと思います。球団フロント、首脳陣に愛煙家が多いですから。一昔前は選手もみんな吸っていましたね。なぜタバコを吸うのか? うーん、精神安定剤に近い感覚ですかね。数年前に禁煙していた時期があったんですけど、続きませんでした。手持ち無沙汰で落ち着かなくて。成績も良くなかったのでまた吸い始めました。生活のスペースに全面禁煙の場所が増えて不便になっていますが、やめるきっかけが見つからないですね」”

“ 2000本安打をマークし、日本代表としても活躍した球界OBも、現役時代は喫煙者だったと話す。
「プロに入団した当時、先輩たちがみんな吸っていたし、喫煙が自然な流れでしたね。野手は全力疾走する距離は長くて三塁打までで、走り続ける持久力がなくても大丈夫だという考えがありました。科学トレーニングが全盛になって、タバコが身体に及ぼす悪影響を勉強したら、完全に間違った解釈だったと気づいたんですけど、やめられなかった。打率が毎試合上下動する世界で、現役時代はすごくストレスを感じていました。タバコを一服することで心を落ち着かせていた部分はあったと思います。現役を退いた今は完全にやめましたよ。ご飯もおいしく食べられますし、疲れからの回復力も上がった感覚があります」”

“ パ・リーグの関係者……「私も昔はヘビースモーカーだったので、タバコを吸う選手の気持ちは分かるんですよ。タバコを手放せない選手は健康面のリスクは理解しつつも、精神面でストレスを抱えるのが嫌なんだと思います。1軍で結果を出している選手に禁煙の重要性を力説しても、なかなか耳を傾けてもらえない。入団した時から禁煙が当たり前の環境を作らないと難しいと思います」”

 そして、“当たり前”を主張して、“異端”扱いされながらも日本の球界のために貢献した人物も。

禁煙を訴えて異端扱いされた桑田真澄
 過去に、喫煙が健康に及ぼす害を訴える選手がいなかったわけではない。その先駆者と言えるのが、巨人でプレーしていた桑田真澄氏(現巨人2軍監督)だ。1985年の入団当時は球団の移動バスが1台のみで、喫煙者も一緒に同乗していたため、タバコの煙が車内に充満していた。桑田氏は禁煙や分煙の重要性を訴え続け、95年からは移動バスが喫煙車と禁煙車の2台になり、ロッカールームも分煙となった”

“当時巨人を取材していたスポーツ紙の記者は振り返る。
「今でこそアスリートの健康増進のために当たり前の提案ですが、当時は桑田さんが異端児とみなされていた。受動喫煙という言葉も知られていない時代だったので、一部のベテランは『おれたちが勝手に吸ってるだけで、迷惑を掛けているわけないだろ』と不満をあらわにしていた。でも、桑田さんに影響を受けて禁煙車に乗る選手が徐々に増えました。あれから何十年も経っているのに、全面禁煙を導入しているチームが3球団しかない。世間の感覚からすれば不思議かもしれません」”

“ 巨人の原辰徳前監督も「禁煙推進派」で知られた。過去には坂本勇人、岡本和真ら主力選手にパフォーマンス向上のために禁煙を呼び掛けた”

 桑田氏は、自分への受動喫煙をまず問題にしていたのです。移動バスやロッカー室の喫煙禁止を進めたころ、その理由として、吸っていないのに健康診断で医師から「禁煙しなさい」と言われた、と憤っている声を当時読みました。(桑田さんは受動喫煙でタバコの症状が出ていたのでは、と思いました)
 「勝手に吸ってるだけで、迷惑を掛けているわけないだろ」というやつは受動喫煙がわかっていないバカですね。(いまもたまにいますが)

 そして、その“文化”に変化が。それには、日本では大騒ぎされているアメリカの選手の影響が。

“ 近年は野球界独特の「喫煙文化」にも変化が芽生えているという。NPB球団のトレーナー……「30代以上は喫煙の選手が多いですが、20代は禁煙の選手が一気に増えた感覚があります。やはり、大谷翔平(ドジャース)の影響が大きいと思います。世界のトップで活躍している選手がタバコを吸わず、お酒も飲まない。睡眠や食事を大事にしてコンディション管理を徹底している姿を見たら、『自分たちも見習わないとダメだ』と若い選手たちは感じる。ヘビースモーカーだったのにタバコを断った選手もいます。全面禁煙を導入する球団は増えると思いますよ」”

“ タバコが生活の上で欠かせないものになっている選手は、球界で依然として少なくない。喫煙の習慣がある選手はつらいかもしれないが、今後の野球人生を考えた時、禁煙にメリットが多いことは間違いない”

“全面禁煙を導入したロッテ、日本ハムは今年CSに進出している”


 
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