「サードハンドスモーク=三次喫煙=残留タバコ煙」は「毒物」 最新研究から考察

 あらゆるタバコ問題を追及する石田氏の論説です。

 「サードハンドスモーク(残留タバコ煙)」部屋や衣服に染み付いた「毒物」、最新研究からエビデンスを探る
  =石田雅彦 科学ジャーナリスト(’24年)12/23(月) 11:36=

 以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。

“ タバコの(加熱式タバコを含む)はしつこく残る。部屋の壁や絨毯、衣服、頭髪などに付着したタバコ煙由来の毒物は、当然ながら子どもを含むタバコを吸わない人の健康へ悪影響をおよぼし、それはサードハンドスモーク(三次喫煙)といわれる。最新の研究からサードハンドスモークの害悪について考える”

“ ホテルなどで禁煙ルームが増えてきたが、禁止されているのにもかかわらず、室内でタバコを吸う人もいる。室内に残ったタバコ臭はなかなか消えないし、タバコを吸わない人にとってとても不快なものだ”

“不快というだけでない……1980年代から研究され始めたサードハンドスモークは、その健康への害が少しずつ明らかになり、タバコを吸わない人にとって切実な問題だということが次第にわかってきた”

“特に小さな子どものいる家庭内で問題……たとえ子どもの前ではタバコを吸わなくても、そのタバコ煙(加熱式タバコのエアロゾルを含む)はカーテンや壁、床などに確実に付着……乳幼児は、床を這い回るが、絨毯などの床にタバコ煙が染みこんでいることもあり、乳幼児は這い回った手指を口にくわえたりしゃぶったりする”

“公共の場でも換気が悪かったり狭い空間だったりする場合、サードハンドスモークによる化学物質が多く検出される”

“ サードハンドスモークの化学物質は、ニコチン、アセトアルデヒド、芳香性化合物、アクロレイン、ニトロソアミン類などの発がん性物質を含むタバコ由来の成分が主に……だが、環境中で化学反応を起こすこともあり、最近の分析ではこれまでタバコ由来では見つかっていなかった物質がハウスダストから確認されてもいる”

“非喫煙者の多くは直接的な受動喫煙(セカンドハンドスモーク)とサードハンドスモークの両方を受けていることもあり、サードハンドスモークのみの影響を評価するのは難しい……それでもサードハンドスモーク由来の物質がおよぼす健康への有害性については、これまで多くの研究が出され……マウスの肺がん発症率を高め、DNAを傷つけ、小児のがんリスクを増加させるなどすることがわかっている”

“ 非喫煙者がサードハンドスモークに曝露すると、血液中のバイオマーカーが喫煙者と同じように変化する……非喫煙者に喫煙者の衣服を3時間着せ、その後の尿と血液を調べたところ、喫煙者と同じような炎症反応や血中タンパク質の変化などが起きた……研究グループは、サードハンドスモークは受動喫煙者の酸化ストレスを増加させ、特に皮膚疾患に関する炎症系のバイオマーカーを上昇させたのではないかと考えている”

“サードハンドスモークにさらされたマウスで発がんに関する遺伝子の腫瘍感受性が高くなることがわかった。同研究グループは、特に幼少期にサードハンドスモークにさらされると、がんの発症リスクが上がる危険性があると警告”

“最近になって、サードハンドスモークの健康へ悪影響を示す研究が増えてきてもいる……皮膚疾患の炎症や増悪へ影響……短期間の曝露でも心血管疾患の発症リスクを上げる……胃がんの発症リスクを上げるという……ミトコンドリアの機能不全や酸化ストレスによる老化を加速させる……などだ”

“ このようにサードハンドスモークは、健康へ悪影響をおよぼす受動喫煙の一つであり、世界的な公衆衛生上の問題になっている。屋外でタバコを吸ったり喫煙所へ行くために離席し、戻ってくるまで45分間は間をおくという45分ルールをもうける企業や組織も増えてきた”


 
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