街の喫煙所から受動喫煙　被害を発生させる本末転倒

　タバコ問題を追及するジャーナリストの石田さん、以前からも街の喫煙所が問題であることをくりかえし述べ、当サイトでも少し前に’23年の論説を紹介しましたが(→末尾に過去の関連記事リンク、’24年記事紹介はこちら→屋外喫煙所からの受動喫煙｢ひどい有害物質｣　東京2医師会が実測調査(’23年11月))、あらためて、喫煙所からの煙の漏れ、受動喫煙･三次喫煙がどれだけひどいかを検証した論説を発表しています。

　「喫煙所」を作っても「受動喫煙を防げない」これだけの理由
　　＝石田雅彦 科学ジャーナリスト(’25)2/12(水) 12:00＝

　以下抜粋、｢……｣は文省略･太字化は引用者によります。

“タバコ煙による他者危害として受動喫煙がある。受動喫煙には、主に喫煙者が吐き出すタバコ煙が含まれた息(呼出煙)、火がついたタバコから出る副流煙、そして喫煙者の衣服に付着したり過去の喫煙によるタバコ煙が室内などに残った三次喫煙(サードハンドスモーク)によるものがある”

“路上や公園などでタバコを吸うことで吸い殻のポイ捨てや受動喫煙の害などの苦情が行政へ多く持ち込まれるようになった。そのため、行政が喫煙所を設置したり、JT(日本たばこ産業)やフィリップモリスなどのタバコ会社が自治体などへ喫煙所を無償で寄贈し(維持費や撤去費は行政持ちが多い)、タバコを吸える場所を提供する動きをみせている”

“禁煙区域内に定められた喫煙場所の周辺では25メートル離れても……PM2.5が測定されたり、ホテル内でフロア分煙をしていてもタバコ由来のPM2.5が漏れ出てくること、屋外の開放型の喫煙所の周辺でも環境省が定めるPM2.5の基準値を大きく上まわり、近くを通る児童らへ受動喫煙の危険性がおよぶことなどが示されている”

“　では、閉鎖型の喫煙所なら大丈夫なのだろうか。日本の閉鎖型喫煙所の周辺で受動喫煙の状況を調べた調査研究があるが、5メートル離れた場所でも環境省の定めるPM2.5の1日平均値の上限を上回った……喫煙者が出入りする際に開閉するドアからタバコ煙が外へ出てくることによる”

“　東京都の2医師会……のタバコ対策委員会による合同調査によれば、自由が丘駅南口……指定喫煙場所と三軒茶屋……指定喫煙場所の2カ所において受動喫煙の被害の実態調査を行ったところ、喫煙所からの距離が近づくほどPM2.5の数値が上がった。また、距離が離れていても、喫煙者が測定地点の近くを通過すると数値が跳ね上がることがわかった”

“喫煙所から出た喫煙者が身にまとったタバコ煙による三次喫煙(サードハンドスモーク)による受動喫煙の害は無視できないが、喫煙所を清掃する人が受動喫煙にさらされる危険性もある。喫煙所から喫煙者を出してから清掃しても、三次喫煙による受動喫煙のリスクがある”

“スコットランドの調査によれば、在宅介護の従事者で喫煙者のいる住居を訪れた際に受動喫煙の害を受けている人が3/4もいた……喫煙者のいる在宅介護の従事者と似たような状況と言えるだろう”

“　2020年4月1日に全面施行された改正健康増進法は主に受動喫煙防止のために作られた法律であり、これまで述べてきたように喫煙所を作っても受動喫煙の害を減らすことはできない。日本では受動喫煙によって年間1万5000人が死亡しているという推計……これには喫煙所からの受動喫煙による被害も確実に含まれている”

引用にある、受動喫煙が25m届く大和教授の実験データ(『STOP受動喫煙 新聞』４９号掲載)

　
[当サイト関連既報] ※他にもありますので、検索窓やカテゴリーで引いてみてください。
　喫煙所を増やして良いことはありません ～ 低レベルな『アエラ』報道の誤謬　石田記者｢喫煙者を減らすことにはつながらない｣ ’21年4月

　喫煙所があっても｢ポイ捨て｣｢路上喫煙｣の解決にはなりません ～ 論説･ジャーナリスト石田雅彦氏 ’22年5月

　｢サードハンドスモーク＝三次喫煙＝残留タバコ煙｣は｢毒物｣　最新研究から考察 ’25年1月

　受動喫煙を多くの人に強いる公共喫煙所に、社会学者が苦言　新大阪駅前 ’25年3月

　各地の自治体(県や市)が「ＪＴから多額の寄付」を受けています＝国際条約違反＝日本禁煙学会･『赤旗』紙が追及 ’20年8月

　公園の無法喫煙、規制せず･対策をとらない自治体　JTからの寄付を受けるところも ’22年1月

　｢世界遺産の町｣の、加熱式タバコ会社と癒着した喫煙所設置｢協定｣に、｢日本禁煙学会｣が破棄を要請 ’21年8月

　タバコ会社が喫煙所を寄付！ ｢煙ない社会を｣？　知事が感謝状…？！ ’20年10月

　≪49号≫発行します『STOP受動喫煙 新聞』＝唯一の受動喫煙問題の定期刊行紙＝’25年1月21日(火)完成･送付開始 ～ 松沢議員が国会で数々の受動喫煙･タバコ問題を追及／禁煙マンション募集開始……などなど、役立つ情報が満載です ’25年1月

　大阪市｢路上喫煙｣全面禁止化への“批判”報道がまた、飲食店禁煙の厳格化についても ～ 喫煙者･喫煙店の低レベル屁理屈 ’24年10月

　禁煙ホテルは喫煙者も必要としています ’23年12月

　ホテルの清掃員が受動喫煙！ ストレスを感じる人が多数　健康被害も ’24年11月

　屋外喫煙所、閉鎖型の喫煙室をすすめる議員　東京都世田谷区 ’24年3月

　「受動喫煙死15000人」の根拠 ’18年5月

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