社説:被害を広げる“抜け穴”をふさげ! ゆるすぎの改正健康増進法、喫緊の見直しを正しくすべき!
「改正健康増進法」の不備を指摘、施行の5年後(つまり今年)に見直されるとしていることでの問題提起をする、良い論説がありました。 ※同紙リンク記事は早く非公開となることが多かったので、保留していました。ひと月以上たって残っていたので紹介します。
引用したい、強調すべき点が多く、いつものような部分抜粋というより、ほとんど全内容紹介となりました。
社説:禁煙店の頭打ち 法見直しで実効性を高めよ
=『京都新聞DIGITAL』2025年3月21日 16:00=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“ 健康被害を広げる「抜け穴」をふさぐ手だてが不可欠だ”
“受動喫煙対策を強めた改正健康増進法の施行から5年を迎えるが、飲食店の全面禁煙化が停滞している……一昨年末調査で、禁煙店は全国で約6割にとどまった。法施行後に開店した新規店では約8割、既存店では約6割……特に居酒屋・ダイニングバーの新規店は半数にとどまっている”
“ 受動喫煙が防止されていない実態が浮かび上がる”
“ 2020年4月に全面施行された改正法で、飲食店は原則禁煙となった。だが例外として、経過措置で客席面積が狭い既存の小規模店や、主食を提供しない「喫煙目的施設」として登録された店は吸ってよいとした。
喫煙目的施設とは本来、シガーバーなどを想定するが、線引きがあいまいだ。電子レンジの加熱なら主食に該当せず、規制外としている居酒屋などもある”
“国は当初、飲食店に例外なしの禁煙を検討したが、たばこ産業や飲食業界への影響を考慮した自民党内の反発を受け、大幅に後退した”
“飲食店は禁煙が増えた。メデタシメデタシ”……と楽観的に思っている一般の人(被害者や運動者でない人)は多いと思いますが、ここに書かれているように、ただでさえ当初より規制が後退した法に、完全に違反している店が多く(新規店は禁煙にしなくてはいけないのに、書かれているように2割が違反)、大半はそのまま放置されているわけです。
続き、具体的な問題の指摘を見てみましょう。
“ 受動喫煙の影響を軽視してはならない。肺がんのリスクが約1・3倍に増え……年間約1万5千人が受動喫煙で亡くなっている”
“ がん対策基本法は、喫煙が健康被害を及ぼす要因の一つとして位置づけており、国や自治体が予防策に取り組むことを明記している。だが日本の取り組みは海外と比べて遅れ、世界保健機関(WHO)の評価は4段階のうち下から2番目”
“自治体では国の基準を上回る規制が進む……東京都は……従業員がいる店は店舗面積にかかわらず原則として禁煙……大阪府も……例外措置となる小規模店の客席面積の要件をさらに限定……
課題や成果を共有し、参考とすべきだろう”
改正法ではさらにユルく許された「加熱式」や、水タバコの問題、世間の勝手な誤解にも言及。
“ 近年、普及している加熱式たばこの問題も看過できない。改正法では専用の喫煙室で飲食しながらの喫煙が認められ、通常のたばこより規制が緩い。周囲の人が有害物質を吸い込む危険性が高い”
“急速に広がっている水たばこ(シーシャ)も、一酸化炭素中毒を起こす恐れがあると専門家から指摘”
“ いずれも依存性があり、「紙巻きたばこより安全」「無害」などといった誤解が広がる”
“ 正しい知識を広く普及するとともに、法規制を徹底し、実効性を高めなくてはならない”
“ 改正法は施行後5年で見直しを検討することになっている。規制強化に向けた議論を深めていくべきだ”
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