狭い車内での受動喫煙は危険! 自家用車での禁止の法令あるも、まだ企業など各所で続く被害 ~ 石田記者が解説

 タバコ問題を追及する石田さんが、車のなかでの受動喫煙に、多角的な検証から警鐘を鳴らしました。

 危険「車の中」の「受動喫煙」に要注意
  =石田雅彦 科学ジャーナリスト (’25)4/27(日) 13:02=

 以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。

“ 受動喫煙の害が広く知られるようになり、タバコ煙にさらされる機会はかなり減ってきた。だが、まだ受動喫煙で他者を苦しませる場所は多い。車の中もその一つだ”

公共交通機関の中は禁煙
 2015年、英国イングランドは、世界で初めて子どもが同乗する自家用車内での喫煙を禁止する罰金付きの法律を施行した。また、2018年には東京都子どもを受動喫煙から守るための条例を施行し、その中で努力義務ながら子どもが同乗する自動車内での喫煙を禁じている

“ 2004年にタクシー乗務員や利用者がタクシー内の禁煙化を求めた裁判(禁煙タクシー訴訟)の判決(2005年)では損害賠償は棄却されたものの、タクシー内での乗務員への受動喫煙の健康への害は看過しがたく、乗務員を守るために禁煙タクシーの導入・普及が望ましいことから国による対応を期待するとした”

“ 2020年4月1日から旅客運送事業の車内などが禁煙となった。公共交通機関の車内、旅客船舶などが原則禁煙となった。新幹線にも喫煙室があったが、すでに全線で廃止されている。もちろん、タクシー内も禁煙になっている”

 しかしそれはまだ “公共” に限られていて、「車内被害」はまだまだ各所で続いていると指摘。

危険な業務車両や自家用車内での受動喫煙
 ただ、全ての車両の中が禁煙になったわけではない。例えば、事業者が用意する乗り合いバスや作業現場へ同乗する車両の中などでは依然としてタバコが吸え、同乗する非喫煙者に受動喫煙の害をおよぼしている

“ 筆者もある建設会社から相談を受けたことがあるが、作業員が工事現場へ向かうワゴン車の中が禁煙ではないため、非喫煙者から禁煙化して欲しいという要望が出るようなことが起きている”

“ 自動車の中でタバコを吸った場合、同乗者へ受動喫煙がおよぶのは明らかだ。特に、業務車内で上司がタバコを吸い、部下がやめて欲しいと言いにくい場合や保護者が運転する自家用車内で同乗する家族の場合、受動喫煙による健康への害が起きがちになる”

基準値をはるかに超えている

 受動喫煙の有害性は、基準値で示されており、車内の値が大問題であることも実験で証明されています。

“ 事業所衛生基準規則では事務室内の空気環境について浮遊粉塵濃度を150マイクログラム以下にすることが、また環境省の大気環境基準ではPM2.5(微小粒子物質)について年平均15マイクログラム以下24時間35マイクログラム以下、70マイクログラムを超える場合には不要不急の外出を控えるよう推奨……産業医科大学などの研究グループが、5人乗りの普通乗用車を使い、運転者が紙巻きタバコを吸った場合、窓の開閉状態をいろいろ試してPM2.5を計測する実験をしたところ、全ての窓全開にしてもPM2.5の濃度は数百マイクログラムから1500マイクログラム……この濃度は前述した基準濃度をはるかに超える値だ”

“ 米国アラバマ大学の研究グループ……車内で受動喫煙にさらされた非喫煙者は、受動喫煙直後にニコチンや代謝物であるコチニンなどのタバコ特有のバイオマーカーが増加し、それが24時間持続することがわかった……住居や職場などの室内より、車内での受動喫煙のほうが有害度が高く、同乗者の健康に重大なリスクをおよぼすと強調している”

“ 前出の産業医科大学などの実験の通り、全ての窓を全開にし、換気を十分にしたとしても車内のPM2.5の濃度が安全基準をはるかに超える値になったのは、いくつかの先行研究でも明らかだ。また、車内での受動喫煙は、特に若年層、社会的な弱者でリスクが高くなり、同研究グループは車内での受動喫煙防止や規制強化の必要性を指摘している”

“ 運転中にタバコを吸うと注意が散漫になり、事故を起こしやすくなる……どんな車の中でもタバコを吸うのはやめたほうがいい”

画像は、記事に出ている産業医科大学の実験結果を示す、研究代表の大和浩教授による『STOP受動喫煙 新聞』47号の論説より。

 
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狭い車内での受動喫煙は危険! 自家用車での禁止の法令あるも、まだ企業など各所で続く被害 ~ 石田記者が解説” に対して1件のコメントがあります。

  1. 受動喫煙問題は、大人全員の問題です より:

    喫煙運転および移動中の車内喫煙は本当に危険です。
    通行量の多い車道は、ただでさえ排気ガスが酷いのに、喫煙車両に出くわすと最悪です。
    高速道路で、前に走る車から受動喫煙の被害を受けました。
    喫煙車両の後続車両は、次の瞬間には喫煙車両のところにいます。
    実質、喫煙者と同乗しているのと同じ状態になります。
    車道なので回避することも困難で、運転手が受動喫煙症や化学物質症の発症者の場合、大変危険な思いをします。
    喫煙車両の後続車両に赤ちゃんがいる場合、非常に危険だと思いませんか?
    現行法でも、警察は十分、法的根拠を持って取り締まれるはずです。
    一刻もはやく、適切な対応をしてもらいたいです。
    国会議員などの立法機関も、警察が取り締まりやすいような法律を、早急に成立させるべきです。
    作るべき法律を作らず、受動喫煙問題を放置している立法機関は、不作為の罪(為すべき責務を果たしてない)にでも問うべきだと思います。
    警察も、喫煙者を庇護するあまり、国民の安全が守られていない現実を認識し、対応を改めるべきです。

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