続報:受動喫煙で「胎盤剥離」倍以上に! その後も報道続々
妊婦の能動喫煙だけでなく受動喫煙も健康被害が生じることが各種研究でわかっています。(→末尾に過去の関連記事リンクを記載。)
3月に、日本の研究で、「胎盤早期剥離(たいばん そうき はくり)」が、受動喫煙も能動喫煙と同じ頻度で起きるとの記事を紹介しましたが、妊娠中の受動喫煙と重大な妊婦の病気との関連が解明=「常位胎盤早期剥離」
なぜか4月末になって『共同通信』があげたことで、全国各紙がそのコピーを載せました。
探すといろいろ出てきて、恐ろしい事実なので、おさらいします。3月の発表から順を追って、まずは大学の広報から。
妊娠中の喫煙・受動喫煙は胎盤に重大なリスクを及ぼす 全国8万人の調査から浮き彫りに
=東北大学「2025年 | プレスリリース・研究成果」2025年3月 5日 14:00=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“・妊娠中に喫煙を継続したことを起因とする常位胎盤早期剥離……の集団寄与危険割合(PAF)……は、全体の約2.8%……
・受動喫煙にさらされたことを起因とする常位胎盤早期剥離のPAFは、全体の約3.0%”“ 胎盤早期剥離は、赤ちゃんと母体双方の命を脅かす重大な病気です。これまで、妊娠中の喫煙や受動喫煙が、どのくらいの割合で胎盤早期剥離に寄与しているのかは明らかではありませんでした”
“妊娠中の喫煙と受動喫煙が常位胎盤早期剥離のリスクにどの程度寄与しているかを疫学的に分析……約8万2千人の妊婦のデータを用い、喫煙および受動喫煙による胎盤早期剥離のリスクの割合(PAF)を計算……妊娠中に喫煙をし続けたことを起因とする胎盤早期剥離のPAFは、全体の約2.8%であることがわかりました。また、喫煙経験のない妊婦でも、受動喫煙にさらされたことを起因とする胎盤早期剥離のPAFは、全体の約3.0%であることが示されました。つまりその原因がなければ、胎盤早期剥離がその分だけ防げることになります”
いちはやく報じたのは以下。プレスリリース(マスコミ向け発表)をそのまま載せています。
東北大、妊娠中の喫煙と受動喫煙が常位胎盤早期剥離のリスクにどの程度寄与しているかを疫学的に分析
=『日本經濟新聞』2025年3月5日 17:29=
ちょっと検索した範囲では次に早い、テレビ報道。
妊婦の胎盤はがれる病気 受動喫煙でリスク倍に 東北大学病院のグループ
=『khb(東日本放送)』3/5 (水) 18:10=
“ 妊娠中は自らの喫煙だけではなく、受動喫煙でも胎盤がはがれる病気を発症するリスクが2倍以上に高まるとの研究結果を、東北大学病院のグループがまとめました”
“ 今回調べたのは、常位胎盤早期剥離という病気とたばこの関わりです。妊娠中に胎盤が子宮壁からはがれる病気で、妊婦の0.4%から1%がり患する”
“ 喫煙によりリスクが高まることは分かっていましたが、今回新たに1日11本以上の喫煙で2.21倍、週4日以上の受動喫煙でも2.34倍にリスクが膨らむことが分かりました”
“「ひょっとしたら妊婦さんかもしれない。このたばこはもしかしたら妊婦さんお子さんの命を絶ってしまうかもしれない、というところに気持ちをまわしていただけると」”
二日後、調査に関与したらしい組織の記事が。先のプレスリリースとほぼ同文をまとめていますのでここではリンクだけを。
【プレスリリース】「妊娠中の喫煙・受動喫煙は胎盤に重大なリスクを及ぼす 全国8万人の調査から浮き彫りに」
少し後に、科学の記事に力を入れてそうなニュースサイトが詳しく載せたことは、冒頭の3月記事で紹介しましたのでこれもリンクだけを。
妊娠中の喫煙対策に加え、受動喫煙防止が母子の健康を守る鍵 東北大
=『NEWS SALT』2025.03.17=
ではどんな病気なのか。わかりやすく解説したサイトがありました。読むと恐ろしくなります。
胎盤がはがれる、常位胎盤早期剥離について
=「国立成育医療研究センター」=
“常位胎盤早期剥離って、何??
妊娠中、赤ちゃんの成長にかかせない酸素や栄養は、お母さんの体から胎盤を通してやり取りされています。この胎盤は、赤ちゃんが生まれた後に子宮の壁からはがれ落ちるものですが、出産前に何の前触れもなく突然はがれ落ちることを「常位胎盤早期剥離」と言います”“どうして起こるの?
母体の高血圧、妊娠高血圧症候群、前期破水、喫煙などが関連するという説がありますが、原因ははっきりと分かっていません。妊娠32週以降に起こることが多いと言われ、いつでも、誰にでも起こる可能性があります”“赤ちゃんはどうなるの?
胎盤が子宮からはがれると、赤ちゃんへの酸素と栄養の供給路が絶たれてしまい、赤ちゃんは危険な状態に……常位胎盤早期剥離になると、25~30%の赤ちゃんは亡くなってしまうとされていて、全周産期死亡(死産と早期新生児死亡)から見ても、約20%”“母体はどうなるの?
妊娠中に胎盤がはがれると、母体にとっても大量出血や止血異常など、高いリスクがあります。妊産婦死亡の主要な原因のひとつでもあり、母児両者にとって命に係わる重大な病気です”“腹痛が続くような時は病院へ!
……確定診断がとても難しいので、病気を疑って細心の注意を払って観察していきます”“一度はがれかけてしまった胎盤は、元に戻りません。
一度はがれかけてしまった胎盤は元に戻ることはないので、治療としては帝王切開で赤ちゃんを取り出し、できる限り早く妊娠を終わらせることになります”“3つのチェックポイント!
……妊娠中期をすぎたら、下の3つのチェック項目を確認してみてください。1つでも当てはまれば病院へ相談を!1.腹痛がずっと続いている
2.少量ではない出血
3.赤ちゃんの動きが感じられない”
その後、『しんぶん赤旗』が4月8日(火)に【総合】面であげました(ネット記事がないのでここでは引用なし)。
ようやく4月末になっての『共同通信』記事からのひとつ。「チームが30日までにまとめた」とありますので、3月5日の発表後もさらにまとめていて『共同通信』や各紙はそれを待っていたということでしょうか。
受動喫煙に妊婦の胎盤剥離リスク
=『カナロコ(神奈川新聞)』2025年4月30日(水) 17:02=
“ 受動喫煙にさらされた妊婦が、通常より早く胎盤がはがれてしまう「常位胎盤早期剥離」を発症するリスクは、妊婦自ら喫煙する場合と同程度だとの研究結果を東北大のチームが30日までにまとめた。喫煙がリスクを高めるとの報告はあったが、受動喫煙でも同様の傾向があることを示したのは初めてと”
“ 妊娠初期から週4〜7日、家庭や職場などで1日1時間以上の受動喫煙にさらされた約1100人の発症率は1・02%、さらされた経験がない約3万4千人では0・43%……計算すると、受動喫煙した妊婦は、しない人の2・3倍高かった。”
“1日11本以上のたばこを自発的に吸っていた約千人の発症率は1・3%、喫煙しない約7万7千人では0・45%。喫煙者の発症リスクは非喫煙者の2・2倍と計算された”
なお、『神奈川新聞』紙面では、翌5月1日に、このネット記事より終わりに一段落おおく続いていました。
受動喫煙を “しかたない” などと軽く考えていませんか……?
たとえ今、健康被害がなくても、あとで出てきたという例を多く聞いています。元気な赤ちゃんが生まれたとしても、成長するにつれ、なにか病状が出ることもあるのです。
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