〈マンションで加熱式タバコを規制した例〉加害者 “悪いと思っていなかった” 加熱式タバコの勝手な思い込み……など、「集合住宅受動喫煙」の解決への重要点! / ベランダとバルコニーとテラスの違いは?
今回の当サイト記事は、後半の要点まとめ部分を“保存版”として、被害解決にご利用ください。
マンションでの階下からの、「加熱式タバコ」の受動喫煙の話です。女性向けサイトで、不動産管理会社員・マンション管理士が書いています。
そのマンションでは、ベランダ(バルコニー? この表記の違いについては後述)での「火気厳禁」の規約はあっても、加熱式タバコは該当しないということだったので、苦労のすえ規約に盛り込むことに至った、良い事例です。
加害住民は悪気がなかったようですが、それには加熱式なら受動喫煙がないとのよくある勝手な思い込みがあるようです。
築10年マンションの4階に“漂う臭い”…40代女性が悩んだ3階住民の“勘違い”「問題ないと思っていた」
=『TRILL(トリル)』2026.5.30=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“窓を開けたとき、どこからともなくタバコのにおいが漂ってきて不快な思いをした経験はお持ちではないでしょうか……加熱式タバコを巡る居住者同士の認識のずれから、マンションのルール改定にまで発展したエピソードを紹介します”
“マンションの4階に暮らす40代女性のCさん……真下の3階にあるバルコニーから、加熱式タバコ独特のにおいが頻繁に漂ってくるように”
“加熱式タバコは紙巻きタバコのような副流煙は出ませんが、フレーバーを含む蒸気が周囲に拡散する仕組みです。暖かい空気は上昇するため、Cさんの自宅までにおいが届いていた”
“管理会社へ相談すると、担当者から規約の現状を踏まえて「現行の使用細則では火気の使用を禁止していますが、加熱式タバコは規定上カバーされていない状況です」と”
“担当者は、「理事会への議題化をご希望でしたら、提案書の作成や必要書類の準備はこちらでサポートします」と対応してくれました”
“担当者が下階の居住者に状況を伝えると、相手は驚いた様子……「自分のバルコニーで吸うのは問題ないと思っていた」「煙が出ない分、配慮できているつもりだった」……認識にずれがあることが浮き彫りに……家族に配慮して外で吸っていましたが、上階への影響までは意識が及んでいなかった”
“その後Cさんの希望により、管理組合の理事会でルールの見直しが議論……理事の中にも加熱式タバコの利用者がおり、話し合いは平行線をたどりました。しかし、紙巻きタバコによるベランダ喫煙のにおい被害について判断を示した名古屋地裁の判例も参考にされ、議論が前進”
“総会での決議を経て、使用細則に「バルコニーでの紙巻き・加熱式・電子タバコ等の使用を控える」という一文が明記されました。下階の居住者は窓を閉めた室内で空気清浄機を併用しながら吸う形に切り替え、関係性は時間をかけて落ち着いていった”
“マンションのバルコニーは専有部分(個人が所有する部屋の内部)ではなく、専用使用権(特定の居住者が使える権利)のある共用部分にあたります……管理会社や管理組合を通じて、当事者間の状況確認や規約整備を進めていくのが現実的”
“マンションを購入する際は……管理規約や使用細則を確認し、喫煙や騒音などの生活ルールがどう整理されているかを把握しておくと、入居後のトラブルを防ぎやすくなるでしょう”
“参照:ベランダでの喫煙に対し、 損害賠償命令が出された事例/名古屋地方裁判所 平成24年12月13日(大阪市マンション管理支援機構)”
【追記】
その後、同じサイトで、同じ件ではないかと思われる、加害者側の視点の記事がありました。
「加熱式タバコだから大丈夫」”異臭通報”につながった30代夫婦の末路【一級建築士は見た】
=『TRILL(トリル)』2026.6.15=
“「『紙巻きじゃなくて加熱式だから煙も少ないし、ベランダなら問題ないでしょう』と思っていたんです」
そう話すのは、都内のマンション(築10年・約65㎡・3LDK)を約6,800万円で購入したLさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。夫が加熱式タバコの愛用者で、入居時から自宅では基本的に、ベランダで吸う習慣に”“GWに入ったある日、管理組合から書面で注意が……「上の階の住戸から、洗濯物に臭いがつく・窓を開けられないという苦情が寄せられています」”
“加熱式タバコは紙巻きと比べて煙の量は少なく、副流煙も大幅に減るとされています。しかし、煙が見えないことと臭いがしないことは別の話です。加熱式でも、たばこ葉の成分やニコチンを含むエアロゾル(蒸気)は発生しており、洗濯物に臭いが付着したり室内の空気を不快にしたりします。
5月は気候が良く窓を開ける家庭が増える季節です。冬は閉じていた窓が開け放たれることで、臭いの被害は一気に顕在化します”
“マンションのベランダ喫煙が問題視される建築的な理由のひとつが、24時間換気システムの存在……2003年の建築基準法改正により、シックハウス対策として住宅には24時間換気システムの設置が義務付け……ベランダで発生したエアロゾルや臭いは、上階の住戸の給気口から吸い込まれることがあります。窓を閉めていても臭いが侵入してくるのは、この給気口経由のケースが多い”
“損害賠償が認められた裁判例があります。2012年の名古屋地裁判決では、紙巻きタバコのベランダ喫煙による煙害について、慰謝料5万円の賠償が命じられました。
判決のポイントは、たとえ自分の専有部分や専用使用権のあるバルコニーであっても、他の居住者に著しい不利益を与える方法での使用は許されないというものです。マンションのバルコニーは「専用使用権のある共用部分」であり、所有権と同じ感覚で自由に使えるわけではないことが確認された判例”“書面を受け取ったLさん夫婦は、すぐに行動を変えました。自宅での喫煙は完全に室内に切り替え、書斎を喫煙場所として換気扇を回しながら吸うルールに。脱臭機能付き空気清浄機も導入しました(約3万円)。上の階には管理組合を通じて書面でお詫びを伝えています”
“管理規約に「ベランダ喫煙禁止」の条文がなくても、自由に喫煙できるわけではありません。区分所有法第6条では、区分所有者は「建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為」をしてはならないと定められており、近隣に苦情を生む喫煙はこの条文に抵触する可能性があります。
喫煙者がマンションに住むこと自体に問題があるわけではなく、室内に喫煙スペースを確保し、換気扇の下や脱臭機能付き空気清浄機を活用するなど、家族の健康や近隣への影響を最小限に抑える工夫を重ねることが大切です”
ちゃんと「エアロゾル」と書いているのが立派と思いきや、「蒸気」とも書いています。エアロゾルは目に見えますが蒸気は肉眼視できません。加熱式タバコでの吐く息は目に見えますので、よくマスコミでも書かれている「蒸気」ではなく「エアロゾル」が正しいのです。
それよりも問題なのが、結論の部分、「換気扇の下や脱臭機能付き空気清浄機を活用」とありますが、換気扇から近隣にタバコ臭が流れる被害を多く聞いています。換気扇が他の住居と全く違う方向に向いているならまだしもたいていの集合住宅では近隣と隣接しています。室内で喫煙するなら、窓も換気扇も閉め切り、喫煙後1時間は開けないこと、とすべきです。なお、空気清浄機でも完璧には除去できません。
「近隣への影響を最小限に」も問題です。「最小限」なら良いわけではありません。受動喫煙は「ゼロ」でなくてはいけないのです。
住宅で受動喫煙に遭った際の心構え
この記事からはいくつもの良い示唆が学べます。
当機構へもこういった被害の相談が非常に多いので、この記事の事例および管理会社担当者や記事の執筆者の説明の、重要な点をあげておきます(以下は当機構まとめ)。被害のある方は以下をしっかり認識・意識してください。
1. 加熱式タバコでも、悪臭が発生し、上階へも悪臭が及ぶ。(そもそも、この加害者は“家族に配慮して外で吸っていた”というのですから、悪臭・有害成分が出ることはわかっていたはず、勝手な言い訳です)
2. 集合住宅の使用細則・規約で、ベランダ・バルコニー等が火気禁止となっていても、加熱式タバコは対象外(というか「想定外」)である場合がある。
3. そのような規約の不備があった場合、「理事会への議題化」を管理会社に手伝ってもらい、規約化を進めることができる。
4. 理事に喫煙者や、家族に喫煙者がいる人が居ると、規約化が進みにくいことがあるが、受動喫煙の被害を正論として主張すれば規約改正は可能である。
5. 集合住宅のベランダ・バルコニー・テラス等は、室内とは違い、その居住者に使用権はあっても「専有部」ではなく、「共用部」である(廊下や階段に準ずる)。
※室内喫煙であっても、外にニオイや有害成分が出て他の住民に迷惑となれば問題です。6. 転居のさいは、新居を決める前に、そこの「管理規約や使用細則を確認し、喫煙や騒音などの生活ルールがどう整理されているかを把握しておく」こと。
「加熱式タバコだから」または「加熱式に変えたからいいだろう」という短絡人間がよくいます(管理会社にも)。1.の、屋外で、上の階までも被害が及ぶという事実を認識しましょう。
5.の、ベランダは共用部であるので、“何をするのも自由”ではない、ということ、そして、窓や換気扇から外へ悪臭を出しているなら、ベランダ喫煙と同じ、ということです。
さらに、被害者には、問題が解決せず、結局、引っ越すことになった、という人も多いのですが、転居先でまた受動喫煙にあっている、という人もよくいます。
6.の、管理規約などがしっかりしているかの入居契約前の確認、そして、「もし受動喫煙の被害があったら、管理担当は解決まで確実に対応してくれますか」、を念を押して確認し、返答が怪しかったら「そんなところだったら契約しません」と言って断りましょう。※「禁煙です」とか「対応します」と言うなら、一筆書いてもらうか録音しておきましょう。
なお、見事に管理規約に“受動喫煙の禁止”を盛り込むことに成功した例があります。本紙43号や当サイトで紹介していますのでお読みください。(以下の「[当サイト関連既報]参照)
「ベランダ」と「バルコニー」は違います
ところで、「ベランダ」と「バルコニー」の語が混在していますが、たいていのマンションは屋根のある「ベランダ」しかないところが多いのに、かんちがいなのか高級感を持たせたいのか「バルコニー」と言っているところがよくあります(この記事のマンションの例が本当のバルコニーなのかは不明ですが)。
違いについて、「プロが教える」わかりやすい記述がありました。
バルコニー、ベランダ、テラスの違いって何?
=『プロが教える! 家を建てる人のための家づくりBLOG(ブログ)』2022年9月7日=
わかりやすい図を示してくれています。

[当サイト関連既報] ※他にもたくさんありますので、検索窓やカテゴリーで引いてみてください。
43号=’23年・夏号=発行 「マンションの受動喫煙を禁止とする規約成立」など役立つ情報を多数掲載 ~ 唯一の“受動喫煙問題”定期刊行紙『STOP受動喫煙 新聞』 ’23年7月
“受動喫煙の可能性がある喫煙は禁止” マンション規約が新たに “喫煙者側が証明すべき” ’23年12月
“受動喫煙が無いよう配慮”は法で義務づけられています / 「加熱式タバコ専用室」の問題 ’19年3月
ベランダ喫煙者の言い分に「部屋で吸え」の回答多数 ’19年2月
ベランダ喫煙の健康被害に法的措置・損害賠償の請求は ’19年10月
ベランダ喫煙は「マンション使用細則モデル」で禁止されています ’20年1月
ベランダ喫煙を法的に禁止させるには ’21年1月
ベランダ喫煙の撲滅を~地方紙が特集 解決の方法について弁護士が考察 ’20年12月
窓を閉めていてもダクトから受動喫煙?! “換気扇下の喫煙はベランダ喫煙と同じ”、不可としたマンションも ’23年5月
ベランダ喫煙の法律での制限は? “規約で禁止でなくても、他者への受動喫煙は禁止です” ’24年6月
受動喫煙は25m先まで発生、ベランダ喫煙が大問題なワケ ’22年5月
加熱式タバコ「紙巻タバコより安全とは言えない」「燃やすことで新たな有害物質が大量に」「農薬が少ない・無いタバコでも有害」 調査まとめブログより ’26年4月
普通の人の73%以上が加熱式タバコの受動喫煙を不快と回答、4割が発症も! ’24年民間調査 ’24年10月
あらためて加熱式タバコの受動喫煙の健康被害! 安全と思い込む人間心理 さらに紙巻タバコにはない毒性分も! ’25年9月

