病原菌が受動喫煙で“進化”?! 薬も効かなくなる?! 黄色ブドウ球菌の変質についての研究発表
病原性の菌としてよく名前を耳にする、黄色ブドウ球菌が、なんとタバコの煙で強力になってしまう、という研究結果が発表されました。
もちろん受動喫煙にも当てはまるでしょう。
黄色ブドウ球菌はタバコの煙で“進化”し、薬剤への耐性を強める:研究結果
=『WIRED』2019.08.14 WED 18:00=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“タバコには4,800以上の化合物が含まれ、さまざまな害を引き起こすことが知られている……その“害悪”のリストをさらに更新せざるをえない結果が報告された”
“黄色ブドウ球菌はタバコの煙に晒されると、その厳しい環境に適応すべく突然変異率を上昇させることが明らかになった。結果として抗生物質に耐性のある……変異体を生じさせる率が高くなる”
“タバコの煙が免疫システムに及ぼす有害な影響については、盛んに研究されている分野である。免疫システムの低下による感染症、例えば肺炎球菌による侵襲性感染症や歯周病は、喫煙と強く関連することが明らかになっている”
“「……喫煙などで誘発される身体へのストレスが、過酷な環境へと適応しようとする微生物細胞の反応を促す、という……仮説を立てるのは理にかなっています」”
“黄色ブドウ球菌……は、人や動物の傷口(特に化膿したもの)や、皮膚、口内、腸内などに広く生息している常在菌……皮膚の感染、肺炎や、歯周病、心内膜炎などを引き起こすことが知られている。
……タバコの煙のなかでも注目すべき要素は「活性酸素」……高濃度になると殺菌作用をもつ……つまり細菌は、この厳しい条件に適応するため、タバコの煙に何らかの耐性をもつと考えられる”“実験では、タバコの煙が黄色ブドウ球菌の突然変異の頻度を加速させることや、抗生物質の一種……に耐性をもつ小コロニー(細菌の集落)の増加が報告されている……喫煙者の慢性感染症に関連することがこれまでの研究で明らかになっている。
「ある程度の効果は予測していましたが、タバコの煙がこれほどまで薬剤耐性に影響するとは予想していませんでした」と、ラーベイ博士は言う”“タバコの煙はヒトの免疫システムを低下させるだけではなく、より薬剤に耐性がある細菌を生存させることがわかった。研究チームによると、多くの汚染化合物はタバコの煙と同じ成分で構成されているという。彼らはこれから、排気ガスを含む多くの大気汚染が、鼻道の微生物にどう影響するかを調査する予定”
画像はイメージです(これは菌ではなくウィルスです)。タバコ葉につく「タバコモザイクウイルス」(ヒト感染はないそうです)。