“職場の受動喫煙は企業にとっても危機” 連載[第3回]~ 田淵貴大医師インタビュー

 職場の受動喫煙問題のネット連載記事、第3弾が出ましたので掲載します。

 前回まで→受動喫煙を放置する職場の「そこにある危機」 ~ 第一人者・岡本光樹弁護士へのロングインタビュー
 受動喫煙撲滅の弁護士が歩んだ道( 続報『受動喫煙を放置する職場の「そこにある危機」』)

 今回からは、当サイトや『STOP受動喫煙 新聞』第27号でもおなじみの、田淵貴大医師へのインタビューです。

 【連載】改正健康増進法と職場の受動喫煙対策
 第3回 企業の受動喫煙対策 「特効薬」はトップの意識改革

  =『BUSINESS LAWYERS』2019年09月10日 10:10=

 以下一部抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。

“―― 相談の内容はどのようなものでしょうか。

 主に職場の禁煙化をどのように進めたらよいのか、というものです。企業が屋内禁煙に取り組むときには、いくつかの段階があり、それぞれに応じて相談内容も変わってきます。たとえば、室内でタバコを吸っている人がいる段階、喫煙所はあるが設備が不十分で煙が漏れている段階などです。屋内禁煙に取り組む企業からは、「屋外喫煙所はどこに設置すればいいですか」という相談もあります。

“―― ……日本の受動喫煙対策は現在どのような段階にあると考えていますか。

 一言で言って、遅れています。世界的には屋内禁煙が受動喫煙対策のスタンダードであり、ここが非常に重要なポイントです。しかし、残念ながら日本はそれを達成できていません

 実は、日本の受動喫煙対策は、世界的にも特殊な経過をたどっています。日本では屋内よりも先に路上での歩きタバコが各自治体の条例で規制されるようになりました 5。それでタバコ対策界の権威であるサイモン・チャプマン先生から「日本は奇妙な国」だと指摘されました。世界標準では屋内禁煙が最優先されているからです。

“―― 日本の受動喫煙対策が海外と比べて遅れている原因はどこにあるのでしょうか。

 1つには、トップの意識の問題があるかもしれません。地方自治体で次々に受動喫煙防止条例が制定されていますが、重要な牽引役としてトップの意識があげられます。企業も同じです。トップに屋内禁煙が働く人を大切にする方策だという意識があれば、職場はどんどん禁煙にできるはずです。

“―― 受動喫煙が避けられない環境の中で、声を出せず、仕事を辞めるわけにもいかず、暮らしていかなければいけない人が大勢いると。

 そうです。ですから、まずは屋内の職場の受動喫煙で困っている人を優先的に救うべきではないか、というのが僕の意見です。”

“僕が子どもの頃、父は毎日パチンコに通っていたそうです。パチンコ店はタバコの煙が充満している状態でした。父は何年もパチンコを続け、タバコの煙を吸い続けたのです。そして、しばらくして舌癌を発症しました。
……
 父はタバコを吸いませんでしたが、パチンコ店では受動喫煙にさらされ続けていました。能動喫煙だけでなく、受動喫煙がさまざまな病気を引き起こすことは科学的に実証されています。父の癌の原因が受動喫煙だけだとは言えませんが、1つの原因であっただろうと推測します。受動喫煙であっても、発癌性物質への曝露量が多ければ、もちろん癌が起きます

 

[田淵貴大医師の関連ニュース]
 加熱式タバコの問題を暴く本が出ました ~ 田淵貴大医師(大阪国際がんセンターがん対策センター)著’19年3月14日
 受動喫煙は“「対立」でなく「共感」へ”…!? 講演報告記事’19年8月23日

『STOP受動喫煙 新聞』第27号 – 2019年(7月)夏号

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“職場の受動喫煙は企業にとっても危機” 連載[第3回]~ 田淵貴大医師インタビュー” に対して3件のコメントがあります。

  1. パンダ より:

    私の職場も、ユカタンさんの状況と似ていました。
    喫煙室はドアを開けっぱなしでした。
    そして喫煙室のある部屋は、研修なども行われるため、研修者も受動喫煙に遭っていました。
    また、研修者のところで喫煙したくない人は、給湯室に来てタバコを吸います。
    それもタバコを吸いながら、長い時間携帯電話で話していて、何本も喫煙しているので、給湯室でお茶を飲みたいと思っても、レンジを使いたいと思っても、受動喫煙を受けるのです。
    今考えたら、タバコの有害物質がマグカップや至る所に付着していて、それを飲み込んでいて、汚い環境にいたんだなぁと思います。
    全く受動喫煙を防止する環境では無かったです。
    そして、受け入れてくれているのは有り難いのですが、みんなと一緒ではないといけない雰囲気で、なかなか避ける事も出来ず、そのため受動喫煙に遭い続ける時間が長くなるのです。
    そして、仕事が終わっての飲み会は喫煙店になりました。
    タバコに慣れていないので、急に有害な物が大量に入ってきて、体が悲鳴を上げたのだと思います。

    1. ユカタン より:

      コメントありがとうございます! 
      パンダさんの職場も相当な被害だったんですね! 
      喫煙者ばかりが揃いに揃えば本当に何にも言い出せなくなります。
      食堂の喫煙室のみならず、ホテルでの館内もまた別のスタッフが集まる部屋からタバコの臭いから垂れ流し状態でした。
      そのことに対して、お客様からのアンケートでも指摘されているのにも関わらず何にも改善されません。
      唯一の、休憩時もドリンク好きなの飲めるシステムも喫煙者と同じ空間に居られず、一人お手洗いに消えておりました。
      そうやって半年間粘りましたが、やはり心身ともに無理が来て過敏性腸症候群にまでなり、退職をすることになりました。
      これで考えが過敏過ぎるだけだと言われれば切ないですよね。

      1. パンダ より:

        ユカタンさんとてもお辛かったでしょうね。
        辛いのは喫煙者ではないという事です。
        非喫煙者や被害者が一番辛いと思います。

        非喫煙者って居場所が無くなるんですよね。
        特にトップが喫煙者だったら、喫煙者の採用が多くなったりするので、益々非喫煙者の居場所が無くなって、喫煙も許さないといけなくなるんですよね。

        そして喫煙者を嫌がると攻撃に遭いやすいんですよね。
        だから嫌でも受け入れるしか無くなるんですよね。
        過敏という言い方は良くないです。
        普通の人はならないが、あなたが神経質だから病気になると言われているように聞こえます。
        普通の人はそのような環境に居れば、どこかしら不調が出てくるに決まっています。
        嫌な言葉ですね。

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