「北海道議会新庁舎に喫煙室」というニュースで何を思う

 [本記事は、受動喫煙撲滅機構の関係団体による執筆です]

北海道議会新庁舎に喫煙所を設置したい人達

北海道の、法を率先して守っていかなければならない立場にある議会が、新庁舎に喫煙室を設けることになり、論争が起こりました。

にわかには信じがたい決定です。

2020年1月に完成予定の北海道議会新庁舎は、当初予定になかった喫煙所が設置されることに決まりました。

 (当サイト関連既報→「北海道の恥」道議会の喫煙所新設にNHKが的確な批判報道 ’19年12月20日、他)

行政機関は屋内完全禁煙

2019年7月から、 改正健康増進法 が一部施行され、行政機関は屋内を完全禁煙にする必要があります。

なのに、なぜ議会に喫煙所を作ることができるのかと言うと、
北海道議会は、議事機関であり行政機関でないため、法律の対象外として建物の中に喫煙室の設置を強行する理論のようです。
※その後の展開で、喫煙室を設けるのは「自民党の控え室」の中になるようです。

現在の庁舎には喫煙所が3か所。しかし、喫煙所でない場所で喫煙をする職員がいるため、庁舎を訪れる道民や同職員の受動喫煙が以前から問題になっていた。

「現時点でたばこを吸っている方にすぐやめろというのは、なかなか難しい問題だ」とのこと。

  参照:2019/10/8 6:30日本経済新聞 電子版

しかし、準備期間は十分にあったはずです。
子どもの言い訳にも劣る発言ですが、これは佐々木俊雄議員会長の言葉です。

喫煙所については、寄付の意向を示している日本たばこ産業(JT)が設置コストを負担するという話です。
怪しい構図が垣間見えるようです。

喫煙所の管理費についても「タバコを吸う人が責任を持って負担する」ということですが、本当に負担することになるのかどうかも疑わしく、曖昧で分かりにくい発言ですね。

厚生労働省の2016年調査によると、北海道は成人喫煙率が全国で最も高いそうです。
道民の健康増進の施策を打つべき議会の、逆行しているとしか言えない決定は、道民への裏切り行為ではないでしょうか。

改築工事の基本コンセプトはどこへ行ってしまったのか

基本コンセプトは素晴らしいのに・・・

新庁舎の工事に関する「基本コンセプト」には、以下のように書かれています。

北海道議会公式HP「北海道議会庁舎改築工事 基本設計2017.03」 基本コンセプト から抜粋

③道民に親しまれる庁舎

全ての人が快適に使える施設

みんなが気軽に立ち寄る議会庁

みんなが気軽に立ち寄れるということは、子どもからお年寄りまで、誰もが不快な思いをすることなく、健康被害に遭わずに立ち寄れるということだと思います。
受動喫煙の被害に遭わないことは、当然のことなのです。

今回の決定は、この「基本コンセプト」が、守れていないのではないでしょうか。

喫煙所設置を強行する人は現実が見えていますか?

喫煙という生活習慣は、あくまで個人の趣味・嗜好でしょう。
しかし、その個人の嗜好が非喫煙者への健康被害をもたらしているのが現状なのです。
(実際、人に迷惑を及ぼすなら、「嗜好」ではありません。「嗜癖」です)

受動喫煙がこれほど大きく問題になっているにもかかわらず、自治体の議決機関である北海道議会が、わざわざ一部の喫煙者のために喫煙所を設置して、どうぞタバコを吸ってくださいというのは、ほとんどの人の理解を得ることができない、時代に逆行した行為です。

繰り返しますが、喫煙は一部の喫煙者の個人的な行為です。個人的な嗜好であれば、仕事場を離れた、受動喫煙の発生しない場所で、好きなだけ嗜むことが最良ではないかと思います。

反対意見が多い中、何故、喫煙者に対してこうも“手厚い待遇”をするのでしょうか。

喫煙者の中にも、庁舎内の喫煙所は不要と考えている人もいるかもしれません。この問題は、喫煙者の問題でなく、喫煙所設置を強行する人達が問題なのです。民意を無視してでも喫煙所を設置しなければならない大きな理由があるのでしょうか。

あるなら、是非お聞かせいただきたいです。

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