受動喫煙を防げていない「分煙」

 本記事は、受動喫煙撲滅機構の関係団体による執筆です

「分煙」だから大丈夫なのかと思ったけど・・・

受動喫煙については、一切受け付けない気持ちがあっても、どうにもならない場合もあります。
今回は、「分煙ですから」との説明を受け、大丈夫かと思ったら、受動喫煙被害に遭ってしまった方の体験談です。
※2019年のおはなしです
※実体験の一部に修正・変更を加えています

「分煙」の飲食店での受動喫煙

「分煙」とされているお店があります。

十分に時間があれば、よく探して、「分煙」のお店は避けたり、受動喫煙があると気づいた際に店を出ることができますが、
時間がない場合などは、やむを得ずに入店を決断する場合もあります。

最初は大丈夫だったが

先日、友人たちと楽しい時間を過ごした後、帰宅の電車までまだ少し時間があるという友人と一緒に、すぐに入れる店を探した。

幸い、駅の近くに雰囲気の良さそうな店があったので入ってみた。

ドアを開けると、「いらっしゃいませ。おタバコを吸われますか?」とスタッフさんが笑顔で対応してくれた。

心の中で「あっ・・・」っと。
「喫煙席」の表記は気づかなかったけれど、喫煙可能なお店だったよう。

意を決して、「タバコの煙が苦手なんですが・・・」と申し出ると、
「分煙しておりますから大丈夫です!」と、明るく返事してくれた。

「分煙と言っても、どんな分煙なんだろう? 大丈夫かな?」と不安になったけれど、
友人もいて、他のお店を探し回る時間もないし、
店員さんも大丈夫だと言ってくれたし、、、と考えながら、
「じゃあ、お願いします。」と返事をすると、禁煙席へ案内された。

念のため、友人と「(タバコのニオイは)大丈夫?」と確認し合いながら、ゆっくり中へすすむ。

周囲を見回すとタバコを吸っている人も見当たらないし、タバコのニオイも感じない。とりあえずホッとする。

そのまま、話に夢中になった。

タバコのニオイが漂ってきた・・・

ところが、しばらくするとどこからか、タバコの臭いと煙が漂ってきた。

どうやら、私達の席からは死角になっていて見えないが、大きな柱の向こうの喫煙席で、誰かがタバコを吸い始めたようだ。

さっきまでは、楽しく談笑していたけれども、いまはタバコが気になってしまう。

自分自身、タバコの煙が嫌だけども、さて、友人がタバコをどう思っているかが気になる。
自分から「お店を出る?」と切り出したほうが良いのだろうか?
それとも、友人も我慢しているのだから、私も我慢したほうが良いのだろうか。

我慢と配慮が、頭を埋め尽くしてしまう。もう会話どころではない。

楽しい時間が、終わってしまった……。

喫煙者への不満は、もちろんあります

私たちは、望まない受動喫煙中。

さっきまではタバコの煙はなかったのに、今は受動喫煙被害に遭っている。

正直、タバコを吸ってほしくないな・・・と思う。

でも、お店は「分煙」となっていて、
その喫煙者は、お店が指定した喫煙席で吸っているのだから、その喫煙者が悪いとも言い切れない気がする。
「タバコをやめてください」と、申し出るのは、筋違いなのだと感じる。

なぜなら、ここは「分煙」の店だから。

結局、もうこれ以上タバコの煙が我慢できなくなってきたため、自分から「そろそろ帰ろうか?」と切り出して、早めに退出し、友人とも別れました。

お店の選択を誤ったことへの後悔と、やり場のない怒りが残りました。
友人は、どう思ったのでしょうか。

私は何を間違ったのでしょうか?
それとも、あの笑顔の店員さんにダマされたのでしょうか?

この怒りは、どこに向ければ良いのでしょうか?

このお店の問題点

何点もの問題がありますが、いくつか整理してみます。

1.入り口に、喫煙席があることが明記されていない

2.受動喫煙が防げていない

3.スタッフが受動喫煙にさらされている

1.入り口に表記がない

受動喫煙被害を起こしている「分煙」も問題ですが、そもそも店の入り口に「分煙」の表記が無いのは問題です。
喫煙室への標識の掲示義務について
健康増進法の改正により、2020年04月より掲示が義務付けられますが、法整備を待つまでもなく、わかりやすく掲示するべきです。

 
静岡県と東京都の表示義務の告知。

2.受動喫煙が防げていない

この店では「分煙」という受動喫煙対策を行っているようですが、そもそも、同一空間での「分煙」では、受動喫煙を全く防げません。
仕切りや、風圧装置などでも、防げません。喫煙した人の出入りがあれば、結局漏れるからです。

つまり、この店の「分煙」は、名ばかりの受動喫煙対策であり、正しい受動喫煙対策としては認められません。

2020年04月以降は、「喫煙専用室」のみで喫煙が認められるようになります。※既存特定飲食提供施設の例外あり

これは、「喫煙は別室で」行う必要があるということを意味し、
それ以外の部屋においては、室内完全禁煙ということになります。

ですが、このように仕切りも壁もない状態での「分煙」を採用している店は、とても多いのが現実です。

3.スタッフが受動喫煙にさらされている

禁煙席にタバコの煙が来ているということは、あのスタッフさんは、勤務時間中ずっと、受動喫煙の被害にさらされています。

明るく「(禁煙席なら)大丈夫です!」と説明していましたが、そもそもそのスタッフさんは、受動喫煙の健康被害を理解しているのでしょうか。

2020年4月以降は、違法に

健康増進法の一部改正により、2020年4月以降は、このような店は違法になります。(客席100㎡超の既存店と小規模でも新店の場合)

ぎりぎりまで待って対策を行うつもりでしょうか。
それとも喫煙所の設置場所や費用の関係で動きが取れないのかもしれません。
ですが、その時は、確実にやってきます。

受動喫煙という言葉が世間に広く知られるようになってきたことは喜ばしいことですが、
なぜここまで受動喫煙対策が重要なのか、という核心が、まだまだ浸透していないような気がします。

受動喫煙は、大変な健康被害をもたらすものです。

単に、タバコが好きだ・嫌いだ、気になる・気にならない、という個人の好みや感情だけで受動喫煙撲滅に取り組んでいるのではないのです。

完全禁煙の飲食店の探し方

下記、当サイト記事で、完全禁煙のお店を検索できます。
上手に利用できると、楽しいひと時を得ることができ、余計なことに気をもむような経験はしなくて済みそうです。

受動喫煙のない飲食店の探し方

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