住宅や職場などでの受動喫煙被害への対策はあるか?
今回の記事は、保存版です。
受動喫煙被害は、あらゆる場面で多々・数々とありますが、
特に、“避けがたい”“継続する”、という点からみて、もっとも深刻なものは、
住宅と、職場の受動喫煙でしょう。
前回6月25日の 住宅受動喫煙の全国調査~ ニュースの、末尾に示した“対策”の続き、詳細を掲載します。
どのような対策があるか?
では、現在、そのような受動喫煙被害には、どのような対策が考えられるのでしょうか。
前回掲載の調査でも、「我慢する」や、窓を閉めるだけといった消極的な対策が多く見られましたが――、
当機構や禁煙運動の活動者らが長年、声を聞いてきて、いままで考えられてきた、解決に向かう助言を列記してみます。
「闘う」か「逃げる」か「あきらめる」か
まず、受動喫煙被害に対しては、
“逃げる・避ける” “我慢する・あきらめる” の他には、
“闘う” (=申し入れなどを行う)、しか、選択がありません。
そのことをじゅうぶん理解・意識する必要があります。
(これはその他の問題に対してもいえることでしょう)
「闘う」といっても、きびしいこと、攻撃的なことではありません。やさしい申し入れやお願いでも、闘うことの一種です。
なお、それには、客観性が必要です。
それぞれの意味と必要性を考えてみましょう。
まず「逃げる」という選択について、路上喫煙などは、逃げた方が早い場合もあります。しかし、今後のためや世のため人のため(喫煙者本人のためにも?)、注意する=広義で闘う=場合もあります。
飲食店なら、入ってから喫煙店と判った(または禁煙店でもどこかから臭ってくる場合も)というときにすぐ出てしまうのが、逃げるに相当するでしょう。
この場合、店に「タバコ臭いからやめます」と伝えれば、逃げる+闘う、と言えます。
家なら引っ越す、職場なら転職、となりますが、しかしこれらは路上や飲食店と違って、容易にはできません。
そこで、「我慢する」人が多いのでしょうが、それではストレスがたまり、大病につながる可能性もあります。
次にその「我慢、あきらめる」ですが、たとえば私の場合、我慢するのは、闘って解決するまでの一時期間や、喫煙所の調査や撮影に行く時くらい、ととらえています。
なぜなら、我慢を長く続けると、病気になりますし、なんの解決にもつながらず、社会の公益にもならないからです。
「逃げる」に戻りますが、転職も、禁煙のところを選べばよいかというと、そうもいかない場合があります。
職場は禁煙でも、喫煙所からの漏れを頻繁に受けたり、また喫煙してきた同僚や訪問者からのサードハンドスモーク(三次喫煙)があったり、さらには職場の関係者から、喫煙場所やお店に付き合わされる・業務として行かされる場合もあるからです。
転職の際は、事前に、
1.“どこまで許容できるか”の自分の基準を決め、
2.職場の状況を細かく確かめておく、
必要があります。
☆禁煙の職場探しの苦労の実例は以下のニュースで報告しています。→職場の禁煙・受動喫煙対策はどう変わるか? 「改正健康増進法成立」を産業紙が解説
職場は禁煙であっても、喫煙場所に行かされることもありえます。
職場での受動喫煙 その3 「社内行事での受動喫煙」
その他、パソコン画面右のカテゴリー「職場」や、検索窓で関連情報をお調べください。
職場の解決の例→職場受動喫煙で和解勝利! 「労働審判」440万円支払い確定
しかし、住まいの場合となると、もっとむつかしくなります。
「禁煙住宅」は、なくはありませんが非常に少なく、しかたなくよさそうな物件を探し回ることになりますが――、
たとえば、下見の時は大丈夫とおもったが、住んでみたら被害があったという例、また、しばらくは問題なかったが、喫煙者が越してきて……、という例が、よくあります。
なお、禁煙をうたっているマンションでも、受動喫煙に遭い、管理者に訴えても何もしてくれない、という話も複数聞いています。
もとより、引っ越しの費用も労力もバカにはなりません。
仕事の場合でも、転職がなかなかできない状況の人も多々あります。
そこで、「闘う」=申し入れを行う、という選択をした人たちが、私たちに連絡や活動への参加をしてくるわけです。
いままでの活動のなかで出された、解決へ向かう方法の例を以下に示します。
“タバコくらい”と軽くみないこと
体調がどんどん悪くなっていった例を多く聞いています。
私はまず、
「『少しのニオイくらいなら…』『自分が神経質なのかも』
などとは、決して思わず、
『こちらは何も悪くない被害者だ。加害側や、管理責任者が手を打つべき』
との意識と姿勢を持ってください」
と伝えています。
一般の悪臭被害や騒音被害その他と同じこと、それ以上の健康被害があるものです。
下手に妥協する姿勢を出さないことです。
管理者に、具体的な行動を、厳しく要請
受動喫煙の加害発生には、基本、その施設や団体の管理者や運営者に要請をします。
これは路上喫煙所やお店や施設に対してもそうで、受動喫煙があれば、運営者や管轄の自治体に言うことです。
喫煙者には、基本、直接なにも言わないほうがよいようです。改善しようとしない人が多いようですし、あとで嫌な思いをすることもあります。扉を汚されたなどの嫌がらせ行為の発生も数件聞いています。
(なかにはすぐ素直に非を認め、配慮する喫煙者もいるようですが、それなら管理側が注意しても同じことです)
ただし、管理者のない一戸建て同士や、職場でも小規模で管理者の喫煙による被害だったりすると、厄介、むつかしいところです。
戸建てなら町内会などがあれば依頼してみる、無記名で申し入れを投函する、ということも考えられます。(文書は必ずていねいな文で。攻撃的だと説得力がなく、文面によっては脅迫に問われることもありえます。口頭の場合も丁寧に言いましょう)
なお、悪臭がひどすぎる、悪質な場合には、警察を呼んだという例、警察署に相談に行ったという人の話も数件聞いています。
ただ警察も、地域や、対応した人によって何もしない場合から、ちゃんと注意しに行ってくれた例もあるそうです。よく気を付けてお願いする必要があります。
110番も可能ですが、少量の煙で頻繁に呼んでいたら、逆に問題者扱いされることに注意しましょう。
(管理者に何度も、深夜でも電話するなどで、逆に訴訟も辞さないと内容証明を送られた例もあるそうです)
話を「タバコ」に持っていかないこと=「喫煙をやめろ・卒煙しろ」とは言わないこと
被害を聞いても、「喫煙は自由なので」という人が多くいます。
しかし、実際に被害があるのですから、これは「受動喫煙の被害・人権侵害」なのです。
テレビを見るのは自由ですが、大音量で迷惑をかけたら、被害です。生ゴミやペット等もしかり。
管理者に依頼する際も、喫煙者に直接話すしかない場合でも、「タバコをやめろ(喫煙習慣をやめろ)」とは、言わないことです。
「喫煙は個人の嗜好・自由だ」となります。かえって意地を張られます。
「タバコ」をなくす運動をやっているわけではありません。受動喫煙被害をなくすことが最優先です。
話を「タバコ・喫煙(喫煙者の能動喫煙)」にもっていかず・もっていかされないよう、被害を強調しましょう。
「吸うことを非難するつもりはありません。迷惑のかからない場所に行くか、煙が漏れない措置を講じたうえで、好きなだけ吸っていただければ」
と話を持っていきましょう。
吸ってもよい場所を提案したり(屋外や、こちらから離れた部屋で、など)、換気扇をつけない・窓を開けないなど措置の案を提示してやるのもよいでしょう。(ただ「やめろ」ではどうしてよいかわからなくなり、前述タバコをやめろと同様に聞こえ、また中途半端な措置になることがあるため)
記録を取ること
しかし、管理者に言っても、“のらりくらりと” または “そこまでは責任がない” などと、逃げる例が多くあります。
できるだけ、被害発生の証拠・記録などを残し、それを示して、
「管理者には、環境を整える責任がある」「法に反している」(後述)と厳しく伝えましょう。
なお、申し入れの時は、なるべく証拠が残る文書やメールで、会話の場合はすべて隠し録音をすること、が必要です。相手が約束をしたのに反故にした場合、暴言を吐いた場合など、のちに証拠となります。
受動喫煙症の診断書を
厳格な申し入れには、「受動喫煙症」の診断書や、タバコによるアレルギーなどの診断書をとってそのコピーを提出すると、より説得力があります。
受動喫煙症の診断医のなかには、解決した例を聞いている方もいますので、お話を聞いてみると参考になるでしょう。
「受動喫煙症」 知っていますか?(受動喫煙による病気・症状)
受動喫煙は「法律違反」
’19年1月には、改正健康増進法の一部が施行され、
住宅でも路上でも、受動喫煙の発生は、法の精神として違反になると決められました。
これについては、当サイトニュースでも記者によるルポの引用も含めてあげています。→ “受動喫煙が無いよう配慮”は法で義務づけられています / 「加熱式タバコ専用室」の問題
該当する通知を示します。
『「健康増進法の一部を改正する法律」の一部の規定の施行について(受動喫煙対策)』
2ページ目(画像右)の「3 喫煙をする際の配慮義務に関する事項(第25条の3
第1項関係)」がそれです。(画像はクリックで拡大します)
これは厚労省のサイトからダウンロードできます。[健康・医療]「受動喫煙対策」を開き、ずっと下へスクロール、絵図がなくなってコールセンターより下のPDF資料集「その他」の二番目のPDFです。
その二日後、1月24日には施行されています。(以下の画像の最下段)
これを盾に、問題発生者・責任放棄の管理者には、迫ることができます。
(罰則はありませんが、法律違反は違反です。いずれ罰則も追加されると思います)
受動喫煙問題に詳しい弁護士は、いつも、このことを示すべき、と力説しています。
“代わりに動いてくれる人はいません”
ここでひとつ、注意しておきたいのは、
問題解決へ「自分に代わって “タダで簡単に動いてくれる人” は、いない」、
ということです。
例会へ来たり当機構に電話やメールをしたりしてくる人のなかには、そのあたりを勘違いしているような人が、よくあります。
受動喫煙でなくても、労働問題や近隣問題、ハラスメントや犯罪被害者、はては冤罪など、世に理不尽な問題は多くありますが、その解決へ向かって闘う人は、かなりの苦労や出費をしているものです。
当方などへの相談のひどい例では、「管理者に申し入れしてくれ」「警察沙汰になったので、同伴してほしい」という例が数件ありました。いずれも、活動の参加者でも『STOP受動喫煙 新聞』購読者でもないどころか、電話やメール一本で、名前も名乗らなかったり偽名だったりの人でした。
ここまでの例は数人ですが、私たちの知恵を絞った助言にメモも取らず、さまざまな提案に対しなんでも“そんなのは無理だ”と答えたり、うわのそらで聞いているような、やる気がないような人は、けっこういました。
本気で解決したいとおもうなら、以下のように、活動に参加してください。
情報収集・仲間との集い=知恵と自信をもらう
きびしい闘いが予想される場合は、当機構その他団体の、例会やイベントなどの活動に参加してください。
同じような被害者はたくさんいます。もっとひどい例もあります。お互い、情報と勇気を与えあいましょう。
まず情報は、当サイトの各記事や他団体のサイト、『STOP受動喫煙 新聞』『禁煙ジャーナル』などをしっかり読んで得ておいてください。
『STOP受動喫煙 新聞』バックナンバー
他団体リンク
住宅・タバコ問題解決.net「地域の団体に相談」
☆以上は、活動で“手探り”のなか、現状考えられる方法です。その他にもよい案や、解決に向かった例がありましたら、ぜひお知らせください。追加や修正をしていきます。
みなさん、闘っていますか?
[tVOCについて]
当サイト読者、機構会員です。
受動喫煙加害者が加熱式タバコの場合、tVOC の測定も必要です。よく、最新情報を確認していますか?(紙巻タバコは、pm2.5を測定)
tVOC =総揮発性有機化合物となります。
特定の個体、または液体から放出される数百種類ものガス。
人間にとって有害なものもあり(ホルムアルデヒドなど)、人間の呼吸のように自然に存在し、放出されるものもあり、窓を開けることでガスレベル低下。
私の測定器購入後の感想です。ある程度、観察しないとタバコに対する測定値の判別が出来ませんでしたが、比較・学習しました。(私は、pm2.5を含めて合計10項目を測定)
また同じ高い測定値でも、タバコ以外の各行為によってグラフの形が違うなど、自分で発見しました。
闘うには、[武器]と[戦略]が、必要です。
以上が、[美しき活動家]の測定器観察日記です。御参考までに・・・
みなさん、闘っていますか?
[成功事例]
当サイト読者、機構会員です。
私は、マンション隣人による受動喫煙被害を、以下の手順で、発生から約4ヶ月でほぼ解決しました。
1. 受動喫煙症の診断書を取得(日本禁煙学会 理事長 作田先生による)
2. 某弁護士の先生に有料相談、その場で代理人受諾の約束を自力でとりつける(弁護士事務所所在地:千代田区霞ヶ関エリア)
3. 岡本光樹弁護士に2回直接相談。
4. 自室等にて、PM2.5の測定開始(24H全自動)
他の項目も同様に測定(1.tVOC 2.温度 3.湿度 4.AQI 5.pm10 6.CO 7.NO2 8.O3 9.SO2)
5. マンション管理会社の担当者と個人的に連絡を取り合い、打ち合わせを重ねて好意的協力を得る。
6. 受動喫煙撲滅機構から、アドバイスを受ける。
7. その他(警察官2名による喫煙者宅室内の立入、等)。
裁判も考えていましたが、
上記の結果、その前に相手がおとなしくなりました。
以上が[美しき活動家]の受動喫煙[撲滅]活動です。御参考までに・・・
この、逃げる、あきらめる、闘うの中に、「考える」というものが、私の中には常にありました。今もあったりします。
建物の中、喫煙者が一人ではないことが、すごく厄介だといえます。
住人によって、自身にどのような被害がある受動喫煙かでも違います。
もっともっと声をあらわにする。あげやすいように問題を取り上げるのがモットーです。
本当に難しいです。