まだまだ受動喫煙の健康被害を知らない人が多いのが現実です

 [本記事は、受動喫煙撲滅機構の関係団体による執筆です

休日の昼間、テレビを見ていると……

ちょっと前のことですが、テレビを見ていましたら、興味をひかれる内容がありました。
出演者は、誰もが知っていると思われる人気のあるタレントたち。いま話題になっていることについて、それぞれがコメントをしている番組です。

その中で、受動喫煙対策の一環として、2019年5月から大手企業や全国展開のファミリーレストランが完全禁煙となるという話題が出たところ……、

喫煙者だというA氏:どうして?最近急にこんなことになって・・・
(筆者のツッコミ→いえいえ、急なことでもないでしょうが・・・)

今は非喫煙者というB氏:今はタバコをやめたが、時々誘惑に負けそうになる。

同じく今は非喫煙者のC氏:前はタバコを吸っていたが今は止めている。今は吸いたくなることはない。

喫煙者か非喫煙者か不確かなD氏:昔は、周りの大人はみんな吸っていた。しかも、その人たちは、今もみんな元気にしている。・・・
(そうおっしゃる方多いです。Dさんは受動喫煙の健康被害のことをご存知のようです。なのに、これを言うのですか。まあ、このような意見が多いことは分かっていましたが・・・)

番組ではその4名の話を受けて、「今の話題は、禁煙(卒煙)を推奨する話というより、タバコを吸う場所を限定するというテーマでは」という説明(そういうニュアンスだったかと思います)が、他の出演者からありました。
そうなのです。本来は、ここから話を発展させてほしかったのです。

受動喫煙被害の認識しにくさ

上記のやり取りを見ている中で、改めて「受動喫煙による健康被害の認識が、一般にはいかに難しいか」を再認識しました。

刃物による裂傷や、タバコにしてもヤケドであれば、誰でも因果関係をはっきり認識できます。
刃物が当たったから、皮膚が切れた。タバコの熱で、ヤケドをした。
とてもわかりやすいです。

一方、「通常の」受動喫煙による健康被害は、裂傷やヤケドほど認識しやすくはありません。

※ここで「通常の」としたのは、喘息や重度の受動喫煙症や化学物質過敏症などの症状をお持ちの方々は、受動喫煙によって即座に健康被害を発症するからです。話の焦点を絞るために、そのような疾病をお持ちでない人を前提に話を勧めます。

このことはタバコによる健康被害にも言えることですが、
 健康被害の出方には、個人差がある、
 健康被害が発生するのは、喫煙開始から、時間的に未来になる
 発生した健康被害も、喫煙や受動喫煙だけが原因ではなく他の要因の可能性も否定できない場合が多い
という点が大きいと思います。

喫煙習慣があっても元気な人、受動喫煙に遭い続けても元気な人も、いるにはいます。
喫煙を開始しても、受動喫煙の被害に多少遭っても、翌日に健康被害が発生することは、一般的には少ないでしょう。
肺ガンが発症しても、確かに、それは喫煙や受動喫煙が原因ではない「かも」しれません。

しかし! だからといって、受動喫煙の健康被害を否定する根拠にはなりません!!

科学と公平性

ここで大事なのは、個人の体験談や、非専門家の意見に振り回されるのではなく、
科学的で、公平性、客観性のある調査や報告に目や耳を向けることです。

例えば、日本医師会では、喫煙の健康被害として「日本人では20歳より前に喫煙を始めると、男性は8年、女性は10年も寿命が短縮します。」と明言しています。
これは、科学的な手法で確証を得られたから、書いていることなのです。

受動喫煙に関しては、
国立研究開発法人国立がん研究センターが『受動喫煙による日本人の肺がんリスク約1.3倍-肺がんリスク評価「ほぼ確実」から「確実」へ 』 と発表を行っています。
これもまた、科学的な手法によって「確実」であると判断できたから、書いているのです。

自分自身の体験や、他人の体験談だけで、これらのような結論に達することは極めて困難だと思います。

テレビでの発言は影響力がある

受動喫煙対策についての話題が出ることは大歓迎ですが、話の論点が少し違うのではないかと思える、何とも残念なコメントばかりを聞かされました。

喫煙者にとっては、「禁煙」と言われただけで内容を確かめようとせずに拒否する気持ちが芽生えてしまうようです。また、「禁煙」という言葉だけでは、喫煙者どころか、非喫煙者にさえも何ら共感を得ることができない場合があります。

なぜその場所を禁煙にしなければならないのか、という詳しく明確な説明があれば、受け取り方もだいぶ違っていたと思います。

受動喫煙対策については、発信はされるようにはなったが、まだまだこの程度の取り上げ方なのです。
受動喫煙は被害に遭っている人にとっては重大事態ですが、そうでない人にとっては、他人事でしかないようです。

しかし、どんな小さなことでも、受動喫煙対策に関する情報を発信し続けていくことが重要なのです。
有名人のテレビでの発言は大変な影響力があります。今後は、ぜひ受動喫煙の問題・その本質を正しく理解した人の発言、正しい番組構成を、切に望む次第です。

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まだまだ受動喫煙の健康被害を知らない人が多いのが現実です” に対して3件のコメントがあります。

  1. パンダ より:

    昔は喫煙者が多かったので、私のように生まれた時から喫煙者のいない家庭で育った人も少ないのかも知れません。
    きっと勤めていれば誘惑もあったと思います。
    嫌な思いもしたかも知れません。
    それでも喫煙者にならなかった、「意志の強い両親」に感謝します。
    そして、誰も傷つけなかった事に心から安堵しています。

    しかし、他人からの受動喫煙で受動喫煙症になってしまいました。
    喫煙者の家族が喫煙者寄りの考え方になるように、私は喫煙者の気持ちは特に理解出来ません。
    喫煙者の方は何を大切にするべきか、今一度考える時なのかも知れません。

  2. 窓を開けて換気したい より:

    このような機構、ホームページがあったことを知りませんでした。
    これだけ世論は受動喫煙防止を訴えているのにも関わらず、喫煙者には届いてないように思います。
    なぜなら我が家への受動喫煙は全く改善されないからです。
    食後やお料理の最中には換気したいのですが、階下喫煙者の一服と重なるらしく、換気も思うように出来ません。
    深夜や早朝換気しようにも、階下は常に換気扇を回してるのか、常に弱いタバコ臭が漂っており南の窓を開けることができず、北側の窓を開けても風は通らないので、お風呂場の窓を開けたり玄関を開けて風を通したり、環境の良いところに住んでいるのに、空気が汚染されていてはどうにもなりません。
    受動喫煙したくないな〜。管理会社も嗜好品で部屋で吸っていることを注意は出来ないとの回答で、窓を開け換気扇で撒き散らしているのに本当に迷惑です。
    穏やかに生活したいです。

  3. パンダ より:

    タバコを止めても誘惑に負けそうになるのですね。
    このような番組は、発言者を一人減らしてでも、専門家を入れて話すべきですね。
    元喫煙者でも過去に喫煙をしていた訳ですから、寛容な考えになってしまいます。
    このような影響力が喫煙者減少の歯止めになってしまうのだと思います。

    今は国を上げて禁煙を呼びかけています。
    それは犠牲者がいたからです。
    亡くなった方がいたからです。
    そして今も喫煙に苦しんでいる被害者がいるからです。

    昔より医療や研究がされて来ているから、タバコが体に悪いという事が明確になったのです。
    昔の常識が、今の非常識になっている物は沢山あります。
    タバコも例外ではないと言う事です。

    喫煙者はタバコは有害だと認めるべきです。
    国も専門家も、日本だけでなくFCTCも喫煙や受動喫煙が有害だと言っているのですから、喫煙者がどんなに言い張っても事実は変わりません。
    現実から目を背けたいのは分かります。
    しかし、現実を受け止めないと前には進めません。
    現実を受け止め、タバコは他の人の健康を奪うと認めましょう。
    そして禁煙外来に通いましょう。

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