「罰金」と「過料」「科料」のちがいは? ~条例による罰則のほとんどは「過料」です

 条例での罰則の用語、意味についての情報です。

 よく、“受動喫煙防止条例などに違反すると、「罰金」を取られる” と言われたり書かれたりしていますが、じつは厳密・正確に言いますと、たいていの条例では、罰金ではなく「過料(かりょう)」です。
 「遅刻したら罰金だからね」というような、国や自治体ではなく民間・個人間のルールで言うぶんにはかまわないでしょうが、法律用語では、「罰金」とは刑事罰のひとつとして使われているので、条例の「過料」を罰金というと、ちょっと違うことになります。

 マスコミ報道でも、過料の条例なのに罰金と書いていることがあるので、当サイト記事への引用・リンクの際は気を付けているのですが。

 法律家がわかりやすく示した記事がありました。
 このような記事で、例として「路上喫煙」が、冒頭から、見出しにもあげられる時代になったのですね。

 路上喫煙などで処せられる「科料」、「罰金」とは何が違う?
  =『マネーポストWEB』2020年10月29日15:00=

 以下、要点抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。

“【相談】……電信柱に「路上で喫煙すると2000円の科料に処せられます」との張り紙を見かけました……この「科料」と、いわゆる「罰金」の違いは何ですか。……
【回答】
 罰金も科料も、死刑や懲役などと並んで刑法が定める刑です。罰金の下限は1万円以上であるのに対し、科料は1000円以上1万円未満で、罰金よりも軽い刑となります。”

“ 張り紙の路上喫煙違反の科料とは、路上喫煙禁止の条例によるものですが、地方自治法に基づき……国民に義務を課し、違反者には2年以下の懲役、もしくは禁錮、100万円以下の罰金、拘留、科料の刑や5万円以下の「過料」を科する条例を制定できます”

“「過料」は……刑事罰ではなく一種の秩序罰……「過料」は、裁判所の非訟事件という手続きで決定されるので、その場で争うことができます。確定した「過料」を支払わないと、一般の民事裁判の判決同様、強制執行で支払いを強制されます”

“条例違反の「過料」の支払いを怠ると、税金と同様の手続きで徴収されることになります”

 さて、“「刑事罰」ではなく「秩序罰」”、「非訟事件という手続き」といった専門用語が出てきましたので、ほかのサイトを検索してみましょう。

 過料と科料=「身近な法律問題」(「西野法律事務所」サイトより)=
 過料 =フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』=

 つまり、刑事罰である罰金や科料は、裁判所を通してからの徴収ですが、「過料」ならその場で徴収することができるものです。

 ほとんどの条例は、刑事罰でない「過料」としており、引用記事冒頭【相談】の「2000円の科料に」は、「過料」ではないかとおもいましたが、以下の一覧を見ると、目黒区では刑事罰として、科料より重い「罰金」にしていますので、「科料」のところもあるかもしれません。(「行政命令発布を経て」とあります)

 路上喫煙禁止条例 =フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』=

 この全国の路上喫煙禁止に関する条例一覧は、参考になりますね。

    
 各地の罰則表記(渋谷区と足立区は会員提供)。渋谷区は「過料」。しかしその掲示のそばでこうも……。
 足立区はどちらとも書かず「罰則」としています。
 茨城県守谷市は2万円と高額です。

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