受動喫煙撲滅の弁護士が歩んだ道( 続報『受動喫煙を放置する職場の「そこにある危機」』)

 当サイト8月8日受動喫煙を放置する職場の「そこにある危機」~ 第一人者・岡本光樹弁護士へのロングインタビューでの引用記事の続編です。

 【連載】改正健康増進法と職場の受動喫煙対策
第2回 プロボノ活動の枠を超え 議員の道を選んだ弁護士が「2020」に描く夢

 =『BUSINESS LAWYERS』2019年08月08日 10:40=

 例によって以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。

“受動喫煙の相談に応じる個人ホームページを立ち上げ、法律の専門家の立場から受動喫煙に苦しむ数多くの相談者をサポートしてきた岡本光樹氏。
2017年に都議会議員選挙に立候補し、見事初当選を果たした岡本氏は、2020年4月1日に全面施行される東京都受動喫煙防止条例の制定に大きな役割を果たしました”

“――タバコ問題に関心を持たれたきっかけはどのようなものだったのでしょうか。

大学4年生のときに司法試験に合格して、高校時代の友人が合格祝いを開いてくれたんです。宴席に行くと、私以外の友人全員が喫煙者になっていました……タバコと接することの少ない環境で育ってきた私は、ただただ驚きました。お祝いの主役であるはずの自分が、モクモクとするタバコの煙の中で、翌日まで続くほどのひどい喉の痛みを我慢しなければならない。そうしたことが一度ならず、繰り返しありました。

法律事務所への就職活動では、自分は喉が弱いということを話したにもかかわらず、喫煙する弁護士から受動喫煙を強いられたこともありました。そんな事務所への就職はお断りしましたが

これから社会に出て行くうえで、タバコを避けて通ることはできないということ、そして、喫煙しない人間も他人のタバコの煙を吸わされてしまう状況が当たり前のように存在し野放しにされていることを認識し、私は強い違和感を覚えたんです。私自身、そんな苦痛を受け容れることに同意した覚えはないにもかかわらず、社会では、当然のようにありふれた光景となっている。法律を学んできた者の素朴な受けとめ方として、それは理解しがたいことでした”

“受動喫煙に苦しんでいる方々を目の当たりにして、私のような一過性の受動喫煙よりもはるかに深刻な実態があることを知りました。……受動喫煙問題を中心に扱う弁護士はいませんでしたので……自分が取り組むしかないと決意しました。私は「労働者の人権」という観点から、受動喫煙に関する相談を受けるようになりました”

“「受動喫煙の相談に応じる弁護士のHP」は2006年の弁護士登録後、まもなく立ち上げました。……飯田橋の定例会に来ることができる相談者はごく一部で、受動喫煙で苦しんでいる方は日本中にいると思いましたので、ホームページを作って全国どこからでもメール相談を受けられるようにしようと”

 ※「飯田橋の定例会」=東京都の「無煙社会をめざす会」定例会のこと。各地の会の案内はこちら

 つづいて、都議になった経緯も。

“自民党が再び政権を取り、タバコ対策は遅々とした状況に戻ってしまいました。……2016年10月および2017年3月に塩崎恭久厚労大臣がかなり厳格な案を出していたことから、これに期待して……署名活動やメディアでの発言をしていました。しかし、自民党内からの反対が強く、見通しが不透明な状況となりました……国政より都政に働きかけたほうが実現可能性があるかもしれないと考え、小池知事が立ち上げた政治塾「希望の塾」に参加……しばらくして、……小池百合子東京都知事が、受動喫煙対策の法制について国でできないなら東京都でやる、と宣言します。……タバコ対策の主戦場は国ではなく東京都になると確信し、面接での言葉を思い返して翻意……立候補の覚悟を決めました”

“「働く人を守るんだ」というのが、私の活動の原点であり、そのことは都議会で何度も発言してきました。小池知事が、条例のなかに「働く人を受動喫煙から守る」という観点を明確に盛り込んでくださったことも、やはり議員になったからこそだと思っています”

 今後の活動の展望と目標について。

“まずは、2020年4月1日の改正健康増進法と東京都受動喫煙防止条例の全面施行に向けて、周知徹底と遵守の確保を……また、東京都や千葉市のように「働く人を守る」という観点から、健康増進法の既存飲食店の例外措置を補う条例の制定を全国各地に広げていきたいですね”

“さらには、現在の受動喫煙問題のなかで最も相談件数が多くなっている近隣住宅における受動喫煙被害の相談について解決策を……改正健康増進法では、屋外・家庭内を問わず、広汎な一般的義務として、喫煙者の配慮義務が新たに導入されました。また、全面禁煙の集合住宅についても、もっと増えていく必要があると思います”

 写真は都議に就任されたころの岡本さん。都庁にて、『STOP受動喫煙 新聞』’17年9月「特別号」10月第20号記事の取材時。

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受動喫煙撲滅の弁護士が歩んだ道( 続報『受動喫煙を放置する職場の「そこにある危機」』)” に対して1件のコメントがあります。

  1. ユカタン より:

    最近よく考えること、それは、受動喫煙をなくしていく事と、禁煙運動の違いについてです。
    わたしとしては、違いがハッキリしていると思います。
    受動喫煙をなくしていく取り組みなのに、
    禁煙運動をやっていると思われては、損な場合もあるとも思います。
    禁煙運動なら、別に禁煙運動としてやっていけばよいのです。

    受動喫煙をなくすというのは、喫煙者にとっても、かなりの配慮が必要になります。
    タバコ煙害が漂うなどあってはなりません。
    受動喫煙を回避する側には、受動喫煙にならないで済むような、環境が整えられるようにするのがよいと思います。

    結局、受動喫煙被害者をつくるのは、あちこちの喫煙所のタバコ煙害垂れ流しや、禁煙箇所での違反喫煙という、悪いとしかいいようのない喫煙だと言えます。

    しかし、「喫煙は嗜好品だから」などと悠長なことをいっていられないとも思います。
    喫煙者には、一通りのタバコ煙害と受動喫煙について、しっかりと学習しなおす時期でもあると思いますよ。
    そうでないと、いつまでたっても、禁煙箇所で隠れてタバコを吸うなどといった堂々巡りみたいなものになるだけです。  

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