喫煙者人口と、受動喫煙の被害者数との関係は?/ 受動喫煙被害を撲滅するためには?

 [本記事は、関係団体による執筆から、受動喫煙撲滅機構が編集したものです]

喫煙者の人数は昔より確実に減っていますが、受動喫煙被害者の数、被害を訴える声は、増えているようです。

矛盾のようにもおもえますが、なぜそうなのでしょうか……?
少し考えてみました。

喫煙者は減っている

まず、喫煙者数と喫煙率の変化を確認してみましょう。

公益財団法人健康・体力づくり事業財団 = 「厚生労働省の最新たばこ事情」成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査) より抜粋

上記の表のとおり、喫煙率は年々下がっています。

しかし、受動喫煙は、近年、深刻に問題視されています。
喫煙率と受動喫煙率に直接の相関関係はない、つまり、喫煙者が減ったからといって、受動喫煙がただちに減るわけでは、ないようなのです。 

受動喫煙被害の把握は

では、受動喫煙被害の数は、どのように把握されているのでしょうか?
じつは、何をもって「受動喫煙被害」とするかは、不明瞭なのです。
死亡者数に関しては、国立がん研究センターが発表していますが、受動喫煙被害は、なにも死亡や重症な発病に限るわけではありません。

受動喫煙によるトラブルに関しては、むしろ増えてきたように感じます。何故でしょうか?
考えられる理由としては――、

  • 今までずっと受動喫煙に対して我慢していた人が、世の中の流れに後押しされて、声を上げるようになった。
  • 喫煙が減り、受動喫煙の無い環境が増えたので、たまに吸わされるタバコの煙が目立って、気になるようになった。
  • 受動喫煙防止の話題が増えてきたため、意識し始め、煙にも敏感になった。
  • 受動喫煙による健康被害が自治体やマスコミなどで多くいわれるようになり、想像以上の健康被害があることを知り、怖くなって気にするようになった。
  • 子どもへの健康被害も明らかになり、自分の子どもや家族のことを考えると、今までは我慢できた受動喫煙の害が、看過できなくなった。

おそらく、このようなことが、根底にあるでしょう。(他にもあるかもしれません。ご指摘ください)

喫煙率を減らすより、 「場所の禁煙化」が受動喫煙撲滅への近道

私たちが行なっているような、受動喫煙をなくす動き・活動、というと、すぐに“禁煙の活動” “タバコの追放・撲滅” と思う人が大多数のようです。

たしかに、能動喫煙は、健康被害はじめ、健康保険料のムダ、労働時間の損失、さらには火災や清掃費用などなど、タバコ・喫煙そのものが、社会問題ではありますが――、

「受動喫煙という被害をとにかくなくしたい」と望む、受動喫煙のみを喫緊の問題としている多くの受動喫煙被害者からすると、喫煙者を減らして将来的に社会を良くすることよりも、「いま、自分自身の被害を無くしたい」、と思うのが、切実で緊急な考え、訴えです。

たしかに、喫煙者が減っていけば、あるていど受動喫煙も減るでしょう。しかし、前述の統計表と現実のギャップのように、必ずしも比例していません。

なぜなら、人が居る・来るところで、一人でも喫煙があれば、受動喫煙被害はあるからです。(住宅被害などは大半が一人の喫煙者からの被害です)

喫煙者の禁煙よりも“場所の禁煙”

100人の職場が2つあったとしましょう。片方は、喫煙率が非常に高い、もう片方は非常に低いか喫煙者ゼロの職場、としましょう。
これだけを言えば、「受動喫煙が少ないのはどちらか?」と問われれば、喫煙率が低い方、と思いがちでしょう。

しかし、高喫煙率の会社が全面禁煙であって、低喫煙率の会社が禁煙ではなく、来客も吸えるとしたら…?
現に、それらのような職場は、多数存在しています。

ゼロでない限り、被害はある

受動喫煙の被害とは、受動喫煙が、“「少なければ」よい・かまわない・被害がない”、ではなく、
かがされるタバコの煙はゼロでなければ、受動喫煙被害がある
というものです。

つまり、受動喫煙被害を即なくすために必要なのは、“長期的展望の喫煙率ゼロ”よりも、場所の禁煙、吸えない環境作り、と言えるのです。

受動喫煙撲滅機構は、それが活動の基本ですので=前述したように、能動喫煙も問題であることは当然、喫煙率ゼロを目指す活動に賛同しますが=、受動喫煙の無い環境・社会を進めるための活動、支援をしているのです。

受動喫煙被害を訴えていく必要!

当機構への訴えや、当機構はじめ各団体の例会に参加した被害者たちには、
「『タバコの煙はイヤだ!』と言ってもいいんだ!(と、わかった)」
と、目からウロコが落ちたように言う方が、多くいます。

そうです。「受動喫煙の被害にあっているのだ」と、「被害をなくしてください」と、声を上げていくことが、重要なのです。

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