東京オリンピック・パラリンピックを契機に「スモークフリー」受動喫煙対策を!

 [本記事は、受動喫煙撲滅機構の関係団体による執筆です

オリンピック開催地においては、「タバコのないオリンピック」が求められていることをご存知でしたか?

タバコのないオリンピック

IOC(国際オリンピック委員会)は、「タバコのない」オリンピックを掲げています。

「タバコのない」オリンピックの歴史と、WHOとの関係、そして、開催国には何が求められているのかを整理してみましょう。 そして同時に、なぜ、IOCやWHOが受動喫煙の防止を求めているのかを、再度確認しましょう。

 

タバコのないオリンピックの歴史

IOCは、1988年のカルガリー大会以降、「タバコのない(タバコフリー, tobacco-free)」オリンピックを掲げており、 事実、1988年以降オリンピック開催都市では全て、受動喫煙防止法や条例が制定されています。

開催年 開催都市 根拠・制定年 開催都市決定年 内容 罰則
2004 アテネ 法2000 1997 【禁煙】
医療施設、飲食店、職場等
2006 トリノ(冬季) 法2005 1999 【禁煙】
医療施設【分煙】官公庁、教育施設、飲食店等
2008 北京 市条例2008 2003 【禁煙】
医療施設、教育施設【分煙】官公庁、飲食店等
2010 バンクーバー(冬季) 州法2008 2003 【禁煙】
公共施設、職場、飲食店等
2012 ロンドン 法2006 2005 【禁煙】
公共施設、飲食店等
2014 ソチ(冬季) 法2013 2007 【禁煙】
官公庁、医療施設、教育施設飲食店等は対象外
2016 リオデジャネイロ 州法2009 2009 【禁煙】
公共施設、飲食店等
東京都福祉保健局 第1回受動喫煙防止対策委員会(参考資料4)より抜粋

WHOとの合意

特に、2010年7月21日の、「WHOとIOC(国際オリンピック委員会)の合意」において、改めて「タバコのない(タバコフリー)オリンピック」が掲げられ、より具体化され、今日まで続いています。 ※厚生労働省「受動喫煙防止対策の現状について」 ※WHO Tobacco Free Olympics

その中では、理念・定義とともに、実際にどうやってタバコフリーのオリンピックを開催するのか、指針が示されています。

喫煙率の高い中国では?

日本より喫煙率が高く、“喫煙大国”といわれる中国での北京大会開催においても、その北京市でも受動喫煙防止条例が制定されました。 このとは、世界中に大きな衝撃が与えました。(『STOP受動喫煙 新聞』11号1面に詳報)

※なお、中国の喫煙率は、(以下2015年発表では)47.6%で、日本は33.7%です。 WHO 2015年 Prevalence of tobacco smoking

タバコのないメガイベントのためのガイド

また、WHOが、2010年に定めた「タバコのないメガイベントのためのガイド」も把握しておかねばなりません。 オリンピックと名指しはされていませんが、オリンピックの旗の写真が掲載され、オリンピックが対象に入っていることは明らかです。

原文 A guide to tobacco-free mega events 日本語訳については、日本禁煙学会が公開しています。 メガ・イベントをタバコフリーにするためのガイド – 日本禁煙学会

なぜタバコフリーなのか!

そもそも、なぜタバコフリーにしなければならないのかは、Rationale [3,4] に明記されています。

• The overwhelming medical evidence states that second hand smoke (SHS) causes serious disease, disability and death. • Banning SHS is a matter of respecting Human Rights. • Scientific evidence shows there is no safe level of exposure to SHS. ・受動喫煙は、死亡と障害をもたらす深刻な原因である。 ・受動喫煙の禁止は人権保護の問題である。 ・受動喫煙には安全な許容レベルがないことが科学的に証明されている。

受動喫煙は、「死亡と障害をもたらす」有害なモノであるから、防がねばないということです。

受動喫煙の健康被害は科学的に証明されており、少しなら平気(安全な許容レベル)ということありえません!

「タバコフリー」のためには何をする必要がある?

「タバコのない (タバコフリー) オリンピック」「タバコのない (タバコフリー) メガイベント」は、喫煙者を健康被害から防ぐ目的もありますが、同時に、受動喫煙防止が極めて重要な目的になっています。

オリンピックの開催地においては、受動喫煙が起こらないように、徹底した受動喫煙の対策が求められているのです。

具体的には?

「タバコフリー」が求められていますが、「タバコフリー」とは、「スモークフリー」を包括した意味なので、会場の「スモークフリー」が求められています。

タバコフリーとは、スモークフリー(100%スモークフリーの環境)に 下記を加えます。 ・ タバコの宣伝販売促進スポンサー活動の全面的禁止 ・ イベント会場あるいはイベント主催者の管理する領域でのタバコとその関連製品の販売禁止 ・ 一般市民にタバコに関する情報提供、教育、行動学習を提供する ・ いかなる形においてもタバコ産業とのつながりをもたない Differences between a Tobacco-free/Smoke-free event

スモークフリーについて

「イベントの開催都市を選択するための最重要基準」の最初に、「100%スモークフリー方針を作り徹底させる。法律で定めることが望ましい」と明記されています。

そして、WHOは、「(屋内)完全禁煙以外では、健康被害を防げない」と明言しています。 ※Policy recommendations on protection from exposure to second-hand tobacco smoke

スモークフリーということは、「法律で」屋内の「完全禁煙」を徹底するということになります。

オリンピック開催を期に、法律で屋内完全禁煙をさだめることが、求められているのです!

日本の動きは?

日本でも、会場内の全面禁煙が「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」により発表されています。

敷地内完全禁煙

「競技会場敷地内を加熱式たばこも含め、完全禁煙」とされました。

・競技会場における禁煙対策 大会期間中、競技会場敷地内を加熱式たばこも含め、完全禁煙とする方針を 2019 年2月に発表した。大会を「たばこのないオリンピック・パラリンピック」とし、観客を含む全ての大会関係者の健康と安全を守るため、周知徹底に努めることとした。 第32回理事会資料

ついに、2020年のオリンピック会場においては、敷地内完全禁煙が導入されました。

オリンピック以外では?

ようやくオリンピックでは敷地内完全禁煙が導入されましたが、公共機関や、そのたイベントではどうでしょうか? WHOが言うところの「メガイベント」は、オリンピックに限りませんし、そもそも小さなイベントであっても、その理念や方針は尊重すべきだと考えます。 各種イベントにおける全面禁煙に向けた法整備は、まだまだ不十分なのが現状です。

レストランや公共施設では?

オリンピック選手や、観戦のために、多くの外国人が日本を訪れます。 オリンピックの開催地として、会場では完全禁煙が導入されましたが、会場以外にはそのルールは及びません。

多数の人が利用するホテルや飲食店などの施設では、基本的には禁煙、もしくは分煙となることが予想されますが、現実にはドアの開閉などがあることから、分煙で受動喫煙を完全に防ぐことはできないといってよいでしょう。

また、このような施設では、未成年者も数多く働いているので、基本的には全て禁煙とすることが原則のはずです。

2020年東京オリンピックまでに、日本でも国際水準の受動喫煙防止法や条例の制定が不可欠です。

飲食店で喫煙が可能なのは、国際的に見て、極めて異常だという感覚を、改めて持ち、オリンピック・パラリンピックを契機に、国際水準の受動喫煙対策を推進すべきだと、あらためて感じました。

東京オリンピック・パラリンピックを契機に「スモークフリー」受動喫煙対策を!”に1件のコメントがあります。

  1. パンダ より:

    「受動喫煙は、死亡と障害をもたらす深刻な原因である」

    やっぱり受動喫煙症患者は「障害者」ではないのですか?

    人間が生きるために必要な空気が汚染されて吸えないのです。
    食べなくても1週間は生きる事ができます。
    空気を吸わなければ数分で死にます。
    人間「食」より「空気」の方が大切です。

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