職場での受動喫煙 その3 「社内行事での受動喫煙」
[本記事は、受動喫煙撲滅機構の関係団体による執筆です]
正確には「職場・事業所」ではありませんが、
“社内行事”(=仕事に関連する集まり)においても、受動喫煙の被害は発生しています。
通常の職場が完全禁煙であったとしても、仕事関連での、断れない・断りにくい、別の場所で、受動喫煙の被害を受ける可能性がある、ということです。
「社内行事」にも、会社による公式行事と、個人主催などの非公式行事、またどっちつかずのもの、と、様々なパターンがあります。
とくに非公式行事においては、その責任者があいまいであることが多くあります。
結果、受動喫煙を我慢しなければならない雰囲気になるのが、問題です。
どんな場面で?
・社内旅行
・飲み会、忘新年会
・イベントなど
・その他、昼食などに誘われる、取引先とのお付き合い、なども視野に入れておきましょう。
事業者に義務はある?
事業者には、受動喫煙防止の義務(従業員の「安全配慮義務」)が課されていますが、社内行事においては、どうでしょうか?
よく「職場の」と言われていますが、職場に限るのでしょうか?
改めて、「労働安全衛生法 第七章 健康の保持増進のための措置」を見てみますと、以下のように定められています。
(受動喫煙の防止)
第六十八条の二 事業者は、労働者の受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。第七十一条第一項において同じ。)を防止するため、当該事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずるよう努めるものとする。
事業者の義務は、室内や職場に限られるわけではありません。「労働者の受動喫煙を防止」なのです。
勤務時間中に行われる公式行事に関しては、事業者に受動喫煙防止の努力義務があるといえるでしょう。
勤務時間外の行事にも、会社のルールは適用されるか?
職場にルールとして禁煙が定められているとして、そのルールは勤務時間外の行事にも適用されるでしょうか?
会社のルールは意味をなすのでしょうか?
現状、残念ながら、休日に行われた同好会などにおいて、他人の前で喫煙したからといって、懲罰の対象にするのは、難しいでしょう。
そのため、社外にまで及ぶ厳格なルールはないふつうの職場では、休日などでも、上司などの喫煙による受動喫煙を我慢させられる構図が存在しているのです。
これもハラスメントの構図といえます。しかし現状、法律や条例などですぐに防止できる状態では、なさそうです。
仕事関連行事の受動喫煙被害に関しても、一日も早く、法整備を進めていく必要があります。
改めて、喫煙者・管理者の配慮が問われます
タバコのニオイ、煙がストレスになる人は、大勢います。
口には出さなくても、
「タバコのせいで、参加することが苦痛になっている仲間がいる」
かもしれないことを、忘れてはいけません。
タバコが苦手な人は、無理をして参加しても、楽しい時間が持てません。
その時間だけでも、禁煙のルールがあれば、気にせずに参加できるようになります。
はっきり理由と、意思表示を
「タバコが嫌で参加したくないけど、それを言いにくい」
……「言えばわがままなどと思われるかも」「『禁煙の場所なら』といったら嫌な顔をされるかも」
……などとあれこれ心配して、がまんして参加したり、「今日はちょっと」などとウソの用事や仮病を言って欠席する人が、よくあるようです。
しかし、我慢して受動喫煙を浴びるのは、突然アレルギーや受動喫煙症になる可能性もあります。
また、姑息(一時しのぎ)な、嘘を言っての逃げは、私たち受動喫煙撲滅の活動の経験から考えたところ、長い目で見ると「つきあいの悪い人」などと思われて、損になるようです。
今どきは、職場の禁煙は当たり前、“嫌煙権” も広く認知されています。
堂々と、「私はタバコの煙がダメなので」と、早めにいっておいたほうが、よいと思えます。
また、受動喫煙症の診断書を取っておいて、必要に応じて見せることも、有効かもしれません。
→「受動喫煙症」については、当コラム 「受動喫煙症」 知っていますか?(受動喫煙による病気・症状) をお読みください。
動画を使って研修をしましょう!
受動喫煙撲滅機構は、受動喫煙被害が起こりやすい一つの典型例として、「歓迎会」を捉えました。
歓迎会において、どのように受動喫煙が生じ、被害者がどのように感じ、我慢をしているのか。
特に、喫煙者が上司である場合に、どのように振る舞うべきなのか? を盛り込んだ、
動画を公開しております。
どうぞ、社内研修などにご活用ください。