受動喫煙症の相談と回答 ④ 「家でも症状が出るが、職場の受動喫煙のせいか」「『受動喫煙症』受診に意味はあるか?」=診察料と時間は?
当サイト内の「受動喫煙 健康被害のオンライン相談」に新たな相談が寄せられました。
多くありそうな事例、質問なので、紹介いたします。
相談:’19年4月
紙田朝子さん(埼玉県川口市) 30代【相談内容】
最近働き始めた職場の空気が悪く、気分が悪くなる事が多いと感じていました。職場の外とはいえ、ドアを開けたすぐのところで多数の社員が喫煙しており、
開閉時にすぐに副流煙が執務室に流れ込んでくる環境です。また、しばしばドアを開けたまま話し込んでいることもあり、やがて、日々頭痛に悩まされるようになりました。
ついに、頭痛に加えて呼吸のしづらさと、軽い身体が震えるような感覚、
軽い眩暈(めまい)を感じて不安に思い、検索したところ、
「急性受動喫煙症」なのではないかというところに行きつきました。まず教えていただきたいのは、帰宅後も頭痛などの症状が治まらないのですが、
これは、副流煙が原因では、ないのでしょうか。
タバコの煙がある場合にだけ症状が出て、
そうでない場合は緩和されるという記載があったので気になりました。また、急性受動喫煙症と診断された場合も、とくに治療薬や方法が無く、
その環境を避けるしかない、とのこと、そうであれば、
診断を受ける意味があまりないのでは、(自主的に避けるしかない)
と思ったのですが、
診断されることに何か意味というか、
診断されたら何か得られるものがあるのでしょうか?
【受動喫煙撲滅機構からの返信】
「(公社)受動喫煙撲滅機構」・内藤と申します。
よくある事例です。医師を通さず、私からお答えします。
1.「受動喫煙が無い時でも症状が出るなら、原因は副流煙ではないのか」
受動喫煙に遭っていて、日々の体調が悪くなったのなら、当然、副流煙・受動喫煙が原因である可能性は大です。
人により、状態や程度によっては、帰宅して受動喫煙の無い環境になっても、症状がしばらく続くことはあります。
仮に、その症状には他にも考えられる原因(アレルゲンになるもの、ストレスその他も含む)があったとして、そちらが主因だったとしても、
受動喫煙が、病状をさらに悪化させる一因である可能性は大です。
2.「診断で得られるものはあるのか」
そのような職場には、すぐに改善の申し入れを行う必要があります。
その際に、受動喫煙症の診断書は、説得力になります。
取り返しのつかない状態になってしまった例も多数聞いております。
「タバコぐらい」と軽く思わない方がよいと思います。
受動喫煙症・被害実例・改善の申し入れ、に関しては、当サイトや『STOP受動喫煙 新聞』に何度も書いておりますので、読まれて、参考になさってください。
また、埼玉の方でしたら、同様の被害者や受動喫煙に詳しい弁護士が集まる飯田橋の「無煙社会をめざす会」はじめとした各団体の定例会や、イベントなどに来られることもお奨めします。(当サイト「リンク」「解決ネット[地域の団体に相談]」など参照)
ご健勝を祈ります。
【相談者からの返信】
お世話になります。
ご回答いただき誠にありがとうございました。非常に喫煙者の多い職場ですので、新参者の私が何かを訴えるつもりはなく、
急性受動喫煙症であるとすぐに診断されるのであれば、退職も考えるつもりでした。ただ、診断されるまでには時間も労力も必要だと感じましたので、まず質問させていただきました。
マスクをしてみるなど対策をしてみて、
職場の様子と体調を見て今後について考えようと思っています。お忙しい中ありがとうございました。
【機構からの再信】
受動喫煙症の診断書は、たいてい即日交付で、それほど費用も時間もかかりません。
受診した人たちにあらためて聞いてみましたが、
安いところでは初診料のみで診断書は無料から、聞いた範囲で最高は1万円でしたが、多くは2千円台~6千円台で、所要時間は予約すれば30分前後、予約しなかった人は待ち時間で半日かかった、など、医療機関や予約によって多少の差はあるようでした。
ねんのため、「日本禁煙学会」作田学理事長にも、全体的にはどうか、うかがってみましたところ、
「受動喫煙症の診断書は、紹介がない場合、
大病院では3000円から6000円ほどかかります(これは300ベッド以上と決まっています)。
診断書の費用は各病医院で決めていますので、様々と思います。
待ち時間は30分から1時間ぐらいで、診察時間は20〜30分です」「診断書を見せるだけで解決することもありますし、難しい時は弁護士さんに一筆書いていただければ、解決することもあるでしょう」
とのことでした。
関東には、多くの受動喫煙症の診断機関がありますので、埼玉にお住まいなら、交通費や移動時間も地方のかたよりましでしょう。
また、一般のアレルギー科や内科などでも、 (「受動喫煙症」という語句は書きませんが)
“受動喫煙により○○の症状が出ると思われる”
といった診断書を書いてもらった方も多くいます。
両方あれば、より効果的でしょう。
事業所には、従業員への「安全配慮義務」がありますので、
たとえ新人でも、一時雇用の人でも、
辞めずに闘えば、改善や慰謝料など、勝てる見込みはあります。
ただ、「そんなことは面倒、または気が引ける」
として、辞めるか、我慢し続けるか、の人も多く、
最終決定はご本人の判断です。
ただし、
それほど煙が激しく、症状も出ているなら、
マスクなどはほとんど気分的な軽減で防除効果はあまりないですし、
受動喫煙をがまんし続けた結果、大変なことになった例を多く聞いておりますので、
闘わないにしても、少なくとも就業場所を変えてもらう、
早々に転職するとしても、それまではせめて換気をよくしてもらう、
などが考えられます。
「しばらくは大丈夫でしょう」とは、私は言えませんし、
受動喫煙に詳しい医師らも、おそらく言わないことと思います。
ご健康を祈ります。
【相談者からの三信】
ご丁寧にご連絡いただきましてありがとうございます。いただいたアドバイスを参考に、真面目に転職を考えようと思います。
とても閉鎖的な会社で、上司に意見を言えるような環境とは真逆なので、
場所を変えてもらう、などもとても難しいのです。換気については、むしろ窓を開けることによって副流煙が入ってくるため、
気休め程度の空気清浄器(すでにあります)に頼るほかありません。マスクがあまり効果がない事は、ネット記事などでも確認していますが、
無いより多少はマシかもと思い導入してみました。
気休めかもしれませんが、直接浴びるよりは良いように感じています。アドバイスありがとうございました。
一般的なマスクは全く効果がありません。
経験上ホームセンターなどで購入できる業務用の防塵マスク(3M)は少し効果がありました。
しかし、会話や電話はマスクに籠り聞こえにくくなりますので、退職までに一時的に使用するには多少効果があると思います。