屋外喫煙所の設置と、受動喫煙被害
[本記事は、受動喫煙撲滅機構の関係団体による執筆です]
屋内禁煙の大きな流れ
東京都では、2018年6月に受動喫煙防止条例が可決されました。これは国が審議した改正健康増進法より、厳しい内容となっています。
「事務所」は「第二種施設他」に含まれ、「原則屋内禁煙(喫煙専用室内でのみ喫煙可)」となります。
つまり、事務所や従業員を雇う飲食店では、面積にかかわらず屋内での喫煙は全面禁止となります(喫煙目的施設は別です)。
条例は、段階的に施行され、ラグビーワールドカップが開催される2019年9月1日までに学校や病院、児童福祉施設の施設内は禁煙となり、幼稚園、保育所、小・中学校、高等学校などの施設は、屋外喫煙所の設置も不可となります。
2020年オリンピック・パラリンピック開催前までには、罰則も含め全面的に施行となります。
屋内禁煙で、何が起こる?
受動喫煙防止の取り組みが進むに連れ、喫煙可能な場所が減っていきます。
事業所内に、喫煙専用室が無いところも多いでしょう。
そうなると、喫煙者が、屋外に喫煙場所を求めるケースが増えることが予測されます。
室内で喫煙できなくなったので、屋外に喫煙場所を求める、という流れです。
近くに喫煙場所が無いとどうなるか
喫煙者の行動範囲の近くに喫煙場所が無いと、どうなるでしょうか。
たとえ遠くても、きちんとした喫煙場所での喫煙をお願いしたいところですが、そうなるとも限りません。
近くに喫煙場所の設置を試みるケースが増える可能性が予想されます。
例えば、管理者や、または喫煙者自身が、オフィスの通用口の前などに、吸い殻入れを設置してしまうパターンです。
屋外でのルールは?
東京都においても、なお「“吸い殻入れが設置されていて、混雑していなければ” 喫煙できる」状態になっています。
詳しくは本コラム 「路上喫煙による受動喫煙被害」 具体例 を御覧ください。
つまり、誰かが、「この場所は混雑には該当しない」と判断して、吸い殻入れを設置すれば、喫煙可能場所となってしまいます。
先述の、オフィスの通用口に、吸い殻入れが設置されるパターンです。
そうなると、そこを通過する人や、そこの近隣に居住したり就業する人たちが、受動喫煙に悩まされることになります。
室内での受動喫煙被害が、屋外での受動喫煙被害に変化してしまう構図が生まれています。
「混雑する」の定義での争いは避けたいところ・・・
東京都においては、「混雑する」場所であれば、吸い殻入れがあっても、喫煙が禁止されます。
ですが、「混雑する」に該当するのかどうかを、喫煙者と言い争うようなことは、避けたいところです。
屋外喫煙場所の設置と、屋外喫煙の法規制が大事
そもそも、屋外なら受動喫煙被害が生まれないという事はありません。
「受動喫煙の被害が生じているから、そこでは喫煙できない」と、法的な根拠をもとに撤去を要求できるのが、望ましいのです。
十分な機能を備えた喫煙場所の設置と、路上の原則禁煙の法整備が求められます。
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