まだあった喫煙車にNHKも驚きの報道…?

 先日紹介した関西の私鉄の特急列車の禁煙化について(→末尾にリンク)、
NHKの質問回答式ニュースで、「驚きです」とされていました。

 まだ残っていたの?たばこが吸える特急
  =『サクサク経済Q&A』(NHK NEWSWEB)2020/02/05=

 以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。

“いまや公共の場では禁煙が当たり前時代。狭い鉄道車内は当然、禁煙かと思いきや、1月末までたばこを吸える特急列車が走っていたのをご存じですか?”

“(Q)まだ座席でたばこが吸える電車があったとは驚きです”

“(大阪放送局の太田朗記者)「私も喫煙者なので乗車してみましたが、堂々とたばこを吸いながら車窓を流れる景色を見るというのは、なかなか気分がいいものでしたよ。」

(Q)う~ん、私はたばこが苦手なので、その気持ちが理解できないです。でもなぜ今まで運行を続けてきたのかが不思議です。

(太田記者)「近鉄は喫煙者のためのサービスとして運行を続けてきたと説明しています。もう1つ……私鉄のなかで近鉄は特急の走行区間が長いという特徴です。……古い車両には喫煙ルームがないため、喫煙車両を残し続けたというのです。」”

 過去と現在の違いについても。

“(太田記者)「昭和の時代は、列車内での喫煙は当たり前でした。かつてはたばこを吸う人が今とは比べ物にならないぐらい多かった事情があります……昭和50年(1975年)当時の喫煙者率は、なんと男性76.2%、女性15.1%、全体で44.5%とかなり高い割合だったのです……
新幹線では、昭和51年(1976年)に初めて禁煙車が登場しました……。東海道新幹線では平成19年(2007年)に全席禁煙の列車が運行を開始したほか、各地の特急列車も全席禁煙にする動きが相次ぎ、喫煙車はほとんどがすでに姿を消したというわけです。」”

“(Q)近鉄が運行を終了した理由も時代の流れということですか?
(太田記者)「……4月から施行される改正健康増進法が理由です……座席でたばこが吸える喫煙車両は運行できなくなるためです。
ただし、列車に喫煙ルームを設置することは認められています。
新幹線をイメージするとわかりやすいと思いますが、愛煙家たちは今後、列車やホームに設置された喫煙ルームでたばこを吸うことになります。」”

“(Q)近鉄の喫煙車両は今後どうなるのですか?
(太田記者)「網棚の上にある空気清浄機と座席のひじ掛けについている灰皿を撤去して、車内のクリーニングを行います。そして、禁煙車に生まれ変わって引退する来年春まで運行することになっています。
近鉄では、たばこを吸う人も吸わない人も快適な旅を楽しんでほしいと話していました。」”

 この記事の少し前、2月1日公開の同じNHKネット記事がありました。(NHKは早く非公開になるのでお早めにお読みください)
 この文がどうも引っかかるのですがどうでしょうか。末尾に示した当サイト紹介の他のマスコミ報道と比べてみてください。 

 近鉄 私鉄最後の喫煙車両が運行を終了
  =『NHK NEWSWEB』2020年2月1日 10時36分=

“全国の私鉄の有料特急のなかで唯一、座席でたばこを吸える喫煙車両を走らせてきた近鉄は、31日で喫煙車両の運行を終了しました。
近鉄は大阪と名古屋や伊勢志摩方面をむすぶ列車など、一部に座席でたばこが吸える喫煙車両を連結しています。
各座席には灰皿が備え付けられていて車窓からの景色を眺めながらたばこを吸うことができました。
こうした喫煙車両は私鉄の有料特急では全国で唯一でした”

“近鉄では……たばこを吸いたい人は特急の喫煙ルームや駅の喫煙スペースを利用してほしいと呼びかけています”

“……喫煙車両を利用した男性は「残念だが時代の変化でしかたがない。これからは喫煙ルームでたばこを吸います」と話していました”

 “唯一残っていた、座席で喫煙できる特急”を強調するのは良いのですが、
「景色を眺めながらたばこを吸うことができました」とは、前述Q&Aで記者が言っているのと同様、喫煙が良いことだったかのように取れます。「残念だが」という喫煙者の声もあげており、しかし禁煙化を評価する声は掲載していません。近鉄による喫煙所の利用の呼びかけも載せています。

 先のQ&Aでも“近鉄特急は区間が長い”としていますが、もっと長時間乗る飛行機はとうの昔に喫煙室もない完全禁煙となっています。

 報道側にそのような姿勢はなく執筆者の感覚でそう書かれたのかもしれませんが、多くの報道には、どちらを味方するかの姿勢や主張が盛り込まれるもの、ミスリード(誤誘導)をさせるものもよくありますので、“行間”を読み解く視点が必要です。


鉄道はみんなの夢です。(写真は「プラレール」の映像より)

[いままでの関連記事]
 新幹線が「全席禁煙」に! しかし残る問題が? ’19年6月4日

 近鉄特急が全席禁煙に~ただし車内に喫煙室を残します ’20年1月14日

 JR西日本が駅を“完全禁煙”にします? =広島・山口~新幹線ホームは? ’20年2月5日

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まだあった喫煙車にNHKも驚きの報道…?” に対して1件のコメントがあります。

  1. 受動喫煙は大人の問題です。 より:

    某世界戦略書にこうあります。
    「どんな情報も、我々の眼を通さずには公表されないだろう。全世界のニュースは、若干の通信社によって集められ、そこでリライトされ、はじめて各新聞社、諸官庁に流される。現在ある程度までそうなっているが、やがて全通信社が我らの支配下に属し、我らが許すニュースだけが伝達されるようになるだろう。(略)彼らは世界の事件を我らの色眼鏡を通して見るようになっている。」

    この書には諸説ありますが、日本のメディアはこの戦略書通りになっていると思います。日航機墜落事故も、各メディアの報道はばらばらのようで、実は右へならえ。墜落現場特定を遅らせるといった工作をメディアが行っていたのではないかと疑われるような情報もあります。

    ニュースに限らず、ドラマ、映画、バラエティ番組、主要メディアはミスリードと印象操作だらけです。CMなんて印象操作とイコールでしょう。麻薬はダメだといいながら、若気の至り的に麻薬でハイになって楽しそうな場面を映す・・・。
    気だるそうな大人の雰囲気といえばタバコ。不良少年といえばタバコ。刑事といえばタバコ。「あなたのキャラクターにはタバコが似合います」と刷り込んでいます。

    とある喫煙者を注意したところ「タバコ吸って何が悪いんじゃぁ~、われぇこっちこいやぁ~」とまさに悪役のセリフ。

    警察官に聞くところによると、「刑事は、ほぼ全員タバコを吸っている」という人もいれば、「タバコを吸う刑事は減ってきている。理由は、世代が代わっているから」という人もいます。

    親がタバコを吸っていると、子はそれ(親が子に受動喫煙させる状態)が当たり前で、自覚症状がない場合は、「自分は子供の時から受動喫煙させられているが、問題ない。受動喫煙の何が悪いのか分からない」と思うでしょうから、若い世代だからといって安心はできません。また、刷り込みと言うものは怖いもので、自分自身で「刷り込まれていることを自覚」することが困難なことです。

    タバコはまさにマインドコントロールで吸わされていると思います。喫煙者はまさか自分が「マインドコントロール」されて吸ってるとは思ってないでしょうし、タバコを吸ってない人も喫煙者が「マインドコントロール」で吸わされているとは思わない。
    マインドコントロールで吸わされていると思って喫煙者を見ると、笑いが出てきます。マインドコントロールとはいわないまでも「乗せられて」吸っているのは間違いないでしょう。

    それにしても、この引用記事はよくできてます。タイトルからして「まだ残っていたの?たばこが吸える特急」で、非喫煙者から見れば「まだ残っているなんて信じられない。はやくなくせ」の声に同調しているように思えるし、喫煙者から見れば「お、タバコが吸える特急まだあるのか!そこで吸おう」と思わせるような巧妙なタイトル。さすがです。非喫煙者の気持ちを「タバコが苦手なので、その気持ちが理解できない」と代弁しつつも、喫煙者には「タバコを吸わないお前には喫煙者の気持ちなんか分からんよ」と思わせるようにしています。

    非喫煙者が「その気持ちを理解できない」という背景には、当然、受動喫煙問題も含まれているはずです。そこに明確に触れてしまうと、非喫煙者の立つ瀬がなくなってしまうので、あえて触れないで、「苦手」という表現で誤魔化してます。非喫煙者からすれば、「苦手」という言葉に「自分がタバコを吸う事が苦手」という他に「他人のタバコの臭いや煙が苦手」という意味も含まれているのですが、喫煙者からすると「苦手」という言葉に「受動喫煙問題」なんて含まれていません。非喫煙者がタバコを吸っていないのは「苦手=嫌い」だからだと、非喫煙者の好みの問題と思うでしょう。吸わないのはお前の勝手、吸うのは俺の勝手だと。

    喫煙者でも「苦手」に受動喫煙の事が頭をよぎる人もいるでしょうが、すぐ捨て去ります。はっきり指摘されないのであれば、さっさと捨て去った方が気が楽だからです。そもそもまともに気にしてたらタバコなんて吸わないでしょう。

    記事の最後で、「近鉄では、たばこを吸う人も吸わない人も快適な旅を楽しんでほしいと話していました。」と近鉄の言葉を借りて、穏和な表現を用いつつ、非現実的な要求で結ぶのはどうかと思いました。

    ところで、喫煙者を注意したとき、受動喫煙問題(加害者意識)がストレートに喫煙者の心に届かないのを感じるのですが、その理由をふとした発言から、「この引用記事のような問題のすり替えが喫煙者の中で起っているのではないか」と思ったことがあります。

    喫煙者に「タバコは体に悪い」と言ったとき、私は話の流れからも受動喫煙の事を言ったつもりでしたが、相手は「俺は別に早く死んでもかまわないと思っている」と、どこか胸を張った感じで言われた事があります。その時は、うまく伝わらなかったかなと思いましたが、別の喫煙者と受動喫煙被害の会話中、喫煙者の健康のことには触れていないにも関わらず、「俺は誰にも迷惑をかけないように電子タバコを吸っている。俺は別にガンになっても構わない」と言われたことがありました。その時、どこかで受動喫煙の問題を、自分の健康の問題にすりかえているのではないかと思いました。

    タバコが健康に悪いというのは、昔から言われてきたことで、喫煙者もそのことを分かっていながら吸っている。「喫煙が自分の健康に悪いと分った上で、自分の健康を害してでも吸っているのだ。分っていることを言われると、腹が立つ。」「受動喫煙が問題なのは分っている。分っていることを言われると、腹が立つ。」同じ「分っていることを言われると腹が立つ」でも、前者と後者では意味合いがまったく違う。前者は、喫煙者自身の健康問題。いわば自業自得。後者は、他人への健康被害。完全に加害行為。「健康被害」という言葉は、喫煙者にとっては、「自分の」健康問題のことだと、咄嗟に思ってしまう。だからつい、「自分はガンになってもいいと思っている」などと、「自分の」健康問題の事を付け加えてしまうのではないかと。このような、すり替わりのために、いつまでも喫煙者は、「他人に」健康被害を与えている という認識が、すっぽりと抜けてしまうのではないかと。

    「受動喫煙させてるな」と喫煙者自身で気づいてしまった場合においても、「受動喫煙による健康被害なんて、俺の健康被害に比べたら・・・」とどこか自分は命がけで吸っているんだ、受動喫煙なんて、小さいこと気にしているんじゃないと、「他人の」健康被害と「自分の」健康問題を比べることで、無意識に「自己中心」的な言い訳してるのではないかと。自分の健康を大切にしない人は、他人の健康なんて大切にできる訳ありません。「俺の生きがいはタバコを吸うことだ!」と頑なにタバコをやめなかった人がいたのですが、最近、重病を患い、タバコを止めました。ドクターストップです。病気になればやめるんです。

    本当に、喫煙者かっこ悪すぎです。病気になってタバコをやめたことではなくて、「おれは病気になっても構わない」的な発言をするところです。命がけでタバコを吸ってるんだ!ってどうですかね?

    ちなみに、喫煙者に対する注意は簡単に済ませます。「受動喫煙させないで!すぐ消して!」消したら「二度としないで!」基本これだけです。

    受動喫煙新聞に「喫煙者の健康のことは触れないほうがいい」みたいな事が書いてあった気がするのですが、まさにその通りです。つい付け加えた事があるのですが、失笑されます。まさに「健康なんて気にするぐらいなら吸ってないわ」と言いたげ。そうでした。もう二度といいませんから。

    化学物質症の件で役所に要望を出しているのですが、受動喫煙でも有益と思われる情報や結果が得られるかもしれません。関連する記事があれば、コメントに絡めてお知らせしたいと思います。

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