受動喫煙で訴訟、敗訴しても「何度も提訴する」は有効か?

 本欄でもたびたび引用させていただいている、法律情報サイトで、過去にこのような記事がありました。

 タバコとは書いていませんが、“隣家の排煙のトラブル”ということなので受動喫煙かもしれません。※2018年の記事です。

 なるほど、負ける可能性が高い受動喫煙の訴訟でも、何度も提訴しなおしてプレッシャーを与えるという考えもあるのですね。
 しかし、実際にはどうなのでしょうか。

 「死ぬまで毎年、訴えてやる!」 いやがらせ訴訟にひそむ「リスク」とは
  =『弁護士ドットコムNEWS』2018年08月17日 09時52分=

 以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。

“近隣トラブルで訴訟を検討している人が……「死ぬまで毎年提訴し続ける」と、弁護士ドットコムに相談を寄せた……毎年、同じ件で訴訟を起こすことは可能なのか……「嫌がらせ訴訟」は罪に当たらないのか。池田誠弁護士に聞いた”

“「理屈上は可能です……口頭弁論終結以降の新しい事情から生じる新しい権利関係には確定判決の効力は及びません……ご質問の例では、あくまで口頭弁論終結後の事情をもとに訴訟を起こすのですから、既判力には抵触しないと考えられ、理屈上これを制限する理由はないことになります」”

“理屈上、ということは、実務においては違うのでしょうか。

「たとえば……『具体的な健康被害は出ていない』と判断されて請求が棄却されたとすると、その後の新たな排煙で健康被害が発生したと主張しても、新たな証拠に基づいて健康被害の発生を主張しない限り、事実上、以前の判断が尊重され、同じ判決が下される可能性が高いと言えます」”

“負けることは覚悟の上で嫌がらせで訴訟提起すること自体は許されるのでしょうか。

「そうとは言えません……過去の裁判例では『……主張した権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠くものである上、同人がそのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知り得たのにあえて提起したなど、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く場合』に、訴訟提起自体が不法行為にあたるとして提訴者に対する損害賠償請求を認める余地を示しています……

……相手方に『死ぬまで訴えてやる!』などと通告することは、刑法の脅迫罪にもあたり得ます。

……訴訟提起が制限されることにはなりませんが、事実上前訴(前に提起された訴訟)が尊重されて意味がない上、民事・刑事両面で相談者の法的責任が追及される余地があります……」”

 ということは、同じ内容ではなく「新たな証拠に基づいて」、脅迫行為にならないように提訴するなら、それがさまたげられることはない、ということですね。

 受動喫煙にあっていて、「裁判を起こしたい」という声は多いのですが、行なった例はそれほど聞きません。われわれに情報が届かない訴訟もどこかであるかもしれませんが、しかし勝っていれば、マスコミでとりあげられることが多いとおもいますから、その報道がないということは、現状、提訴はいくつかあったとしても敗訴が多いのかもしれません。

 しかし、これだけ多くの被害があるのですから、今後は変わっていくと思います。

 

しっかりした証拠集めをしましょう。

 
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