ベランダ喫煙を法的に禁止させるには
受動喫煙問題についてよく取り上げている法律サイトに、また新しい記事がありました。
在宅勤務で増えるベランダ喫煙に「ほんまやめて」と怒りの声…法的には?
=『弁護士ドットコムNEWS』2021年01月14日 10時23分=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“そもそもベランダでたばこを吸うのは、ほとんどが自宅内に煙を入れないためだが、においは近隣に広がっていく。洗濯物に移って、臭くなることもあるだろうし、受動喫煙のおそれもあるかもしれない。
ツイッター上では「ほんまやめてほしい」という声も多数あがっている。はたして、ベランダで喫煙することは法的に問題ないのだろうか”“まず、分譲マンション(区分所有マンション)について考えます。区分所有のマンションには「建物の区分所有等に関する法津」(区分所有法)が適用されます。
マンションのベランダ(バルコニー)は「共用部分」と言われるものですが、この共用部分について「各共有者は共用部分をその用法に従って使用することができる」ことになっています……ベランダについては「専用使用権」が設定されていることが多いので(マンション標準管理規約14条1項)、原則として、専用使用権者が自由に使うことできます。つまり、喫煙してもよいということです。
ベランダでの喫煙禁止(火器禁止)を定める場合には、管理組合の総会において、規約または使用細則を設定したり、変更したりして、明確に規定する必要があります”
“――もしも、規約などで、喫煙が禁止されていない場合はどうすればよいのでしょうか?
……喫煙者の行為が、この「共同の利益」に反するほどにひどい場合には、区分所有法……の規定によって、対処することも可能かもしれません。しかし、迷惑している人が特定の一部の人に限られる場合には、この手段は使えません。
したがって、一般法である民法を使うことになります……不法行為の規定により、喫煙者に対して損害賠償請求することになります。
――ベランダでたばこを吸う隣人に「やめて」と求めることはできるのでしょうか?
喫煙の行為そのものは、「個人の自由」(憲法13条)ですので止められません。被害者に損害が生じているとすれば、金銭的な損害賠償を請求することになります。これによって、他人に迷惑をかけるような形態での喫煙行為の自粛が促されることが期待されます”
“――賃貸マンションの場合はどうなるのでしょうか?
賃貸マンションの場合、区分所有法は適用外です。喫煙者に対して、たばこを控えるよう直接申し入れてもいいですが、トラブルになるのを避けたい場合には、賃貸人(大家)や管理会社に伝えて、喫煙者に対してたばこを自粛するよう指導してもらいましょう。喫煙者がたばこをやめない場合には、分譲マンションの場合と同じように民法709条、710条の不法行為によって損害賠償請求することができます。
……賃貸人(家主)や管理会社がまったく動かないようなら、事情によっては、これらに対する請求も考えてみましょう”
“健康増進法(受動喫煙防止法)の対象となる施設で喫煙する際には、望まない受動喫煙を生じさせることがないように周囲の状況に配慮すべきことが定められましたので、今後、裁判所は、対象外のマンションでの受動喫煙を防止する方向で判断することが予想されます”
写真は、被害者が自宅のベランダから、隣の喫煙者宅のベランダを撮ったもの。よく見ると天井にヤニが染みこんでいます。(既出、なおその例は『STOP受動喫煙 新聞』第28号(’19年10月)で、解決した手記として掲載)
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