ベランダ喫煙の撲滅を~地方紙が特集 解決の方法について弁護士が考察
いまだにある、ベランダ喫煙による他の住民への被害。地方紙が取り上げました。
この報道をフェイスブックの禁煙グループにあげたところ、静岡県民の方から、
「地方なので、喫煙の害についての意識が、都市部よりも遅れているように思います。
静岡県で圧倒的な発行部数の静岡新聞に記事が出た事を、県民としてうれしく思います」
とのコメントがありました。(FB「Smoke Free 2020 Tokyo Olympics」)
ベランダ喫煙 階下からの煙とにおい気になる【NEXT特捜隊】
=『静岡新聞NEWS』2020/11/28 08:31=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“日常の困り事や疑問を取材、調査する静岡新聞社「NEXT特捜隊」に……女性会社員(37)から悲痛な訴えが寄せられた”
“ 階下のベランダでたばこを吸った場合、煙はどのように漂っていくのだろう。……森本達也教授・医師に聞いた。
たばこに含まれている微粒子状物質(PM2・5)は屋外で風のない時、10メートル先まで広がるという。上階と下階の間は3~4メートルほどだから十分に届く範囲だ。福岡県の産業医科大産業生態科学研究所の実験では、たばこの煙はサッシを閉めていても、レールの隙間から室内に入るとのデータもあるという”“ 森本教授は「ベランダ喫煙は周囲への立派な迷惑行為です」と言い切る”
“「たとえ非喫煙者でもほんのわずかな煙を吸っただけで、体へのリスクは高まります」と受動喫煙の影響を訴える”
では、その規制・制限はできるか、記事は詳しく取材し述べています。
“改正健康増進法では、職場や飲食店などは原則禁煙となったが、住宅は規制対象に入っていない。住民のベランダでの喫煙行為は規制できないのだろうか。
県内で約60棟のマンションを管理する不動産会社に聞いた。「規約に『他人の迷惑になる行為はしないで』と記していますが、喫煙行為禁止までは定めていません」”“女性のケースでは、取材を進める間に管理会社が間に入って話し合いが行われ、ベランダ喫煙は収まった”
“ 生活のトラブルに詳しい佐藤治郎弁護士(静岡市葵区)は「階下住民との直接交渉は絶対に避けるべき」とした上で「頭ごなしに『吸うな』と言うより本数を減らすとか、時間帯を限定するとか、条件を出してはどうでしょう」と提案する。さらに「ほかの住民に呼び掛け、規約を変えてしまうのも手ですね」と指摘する”
“「においに敏感になり、自分の部屋にいても落ち着かない日々が続きました。もうあの頃には決して戻りたくありません」。女性の言葉は重い”
受動喫煙は“迷惑行為”です
記事に、「規約に『他人の迷惑になる行為はしないで』と記していますが、喫煙行為禁止までは定めていません」と、不動産業者が言ったとあります。
この話は、当機構への相談者からも、管理会社にそう言われた、との話をよく聞きます。
しかし、問題は、「喫煙行為」そのものではなく、こちらに受動喫煙・被害が及んでいる、という「迷惑行為」なのです。
話を、“タバコ・喫煙の問題”にもっていっては(もっていかれては)いけないということです。「有害な悪臭が、他室に及んでいる」ということに、的を絞ってください。
この弁護士のいうことにも、良い点と疑問点があります。
「住民との直接交渉は絶対に避けるべき」――「絶対に避けよ」とまではいいませんが、集合住宅なら、基本、管理者に責任として解決をさせることを、私たちは相談者に勧めていますので、これはいちおう賛成です。(管理者が逃げている場合が多く、直接いったほうが早い・効果的との選択もあります)
「頭ごなしに『吸うな』と言うより……」、これも、前述の「話をタバコ・喫煙の問題にしない」、つまり「喫煙の是非を問わない」、ということから、賛同できます。しかしそれに続く、
「本数を減らすとか、時間帯を限定するとか、条件を出しては」は、ちょっとちがいます。減らしても煙が来たら甚大な被害となります。
時間帯については、「以前はこちらが不在のときに吸われていたのでわからなかったが、(在宅勤務や生活の変化などで)喫煙者と在宅時間が重なって、被害があると気付いた」という話もよくあります。自分が確実に居ない時間ならかまわないという選択もあるでしょうが、しかし、不在時で締め切っていても煙が部屋まで流入したなら、それが室内にこもったままになっていたり、壁などに染み付いて「三次喫煙」となったりしたら、もはや被害の継続から意識も体も鋭敏になっている人にとっては、深刻な被害となりえます。
“喫煙の譲歩案”は、あまりありません。
1.屋外のどこか離れた場所に行って吸うこと、
2.室内で吸うなら、換気扇も窓も完全に閉め切って吸うこと(それでも漏れたら、外へ行くこと)、
しかないと思えます。
なお、「ほかの住民に呼び掛け、規約を変えてしまうのも手」は、大いに賛同できます。が、味方を募るのはなかなかむつかしいのが現状です。
【追記】’23年、規約の改正に成功した例が出ました。当方の相談者が苦労して成立させたものです。
『STOP受動喫煙 新聞』43号掲載
マンションで受動喫煙撲滅の規約が新たに! 自室も「近隣に受動喫煙被害を与えること」は禁止に ~ 兵庫県明石市 ’23年5月
マンション“近隣に受動喫煙の被害を与えない”規約改訂が、再度大手紙で取り上げられました ’23年6月
[当サイト関連既報]※他にもありますので、検索窓で引いてみてください。
ベランダ喫煙は「マンション使用細則モデル」で禁止されています ’20年1月
住宅・ベランダ喫煙は撲滅を 報道に反響続々 ’18年11月
“ベランダ喫煙は許せない” アンケート調査 ’19年10月
ベランダ喫煙の健康被害に法的措置・損害賠償の請求は ’19年10月
ベランダ喫煙に、慰謝料は?! ’18年6月
ベランダ喫煙“ホタル族”に賠償金の判決!~ロシア ’19年1月
ベランダ喫煙「理解できない」過半数 多い? 少ない? ’18年11月
隣人のベランダ喫煙、注意すべきか?[お悩み相談] ’19年10月
隣人からの受動喫煙! 解決法は? ’20年8月
住宅や職場などでの受動喫煙被害への対策はあるか? ’19年8月
『STOP受動喫煙 新聞』の住宅問題の掲載号=第8号(2014年10月) / 第9号(2015年1月) / 第10号(2015年4月) / 第11号(2015年7月) / 第20号(2017年10月) / 第27号(2019年7月) / 第28号(2019年10月) / 第31号(2020年7月) / 第32号(2020年10月)
※9号・32号に、前記報道にある“閉めていても、煙はサッシのレールの隙間から室内に入るとの産業医大データ”が画像とともに掲載されています。