マンション“近隣に受動喫煙の被害を与えない”規約改訂が、再度大手紙で取り上げられました
マンションで“自室内の喫煙であれ、他家への受動喫煙は禁止”という画期的な規約改訂があった報道を先日紹介しましたが→マンションで受動喫煙撲滅の規約が新たに! 自室も「近隣に受動喫煙被害を与えること」は禁止に ~ 兵庫県明石市、また別の大手新聞のネット記事で取り上げられました。
どうするベランダのたばこ問題 マンションの「憲法」改定も一案
=『毎日新聞』2023/6/10 11:00=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“レベル3の急性受動喫煙症
たばこの臭いが女性の部屋のリビングに漂い始めたのは2021年7月、喫煙者の男性が隣に入居してから……室内で吸うようにお願いした。最初は「気をつけます」と応じてくれたが、状況は変わらなかった。繰り返し伝えると、男性は不機嫌そうにこう言った。
「配慮していますよ。本当にうちですか?」”
“ 管理会社に頼んで男性に注意してもらったが、状況は変わらなかった。窓を閉めても臭いが漂い、煙で目や喉、胸が痛んだ”
“「いつ臭ってくるのか」との不安感に襲われるようにもなった”
“ 日本禁煙学会は受動喫煙による健康被害について6段階の基準を設けている。女性は病院で、基準の3番目にあたる「急性受動喫煙症」と診断された”
改善されないので、管理側も立ち会っての何度もの交渉をしました。
“ 問題がくすぶり始めてから2カ月。マンション管理組合の理事、管理会社も立ち会って男性との話し合いの場が設けられた……男性は、ベランダでビールを飲みながらたばこを吸えることが楽しみでこのマンションの一室を購入したと説明。注意を受けたので妥協して、部屋の中で吸っているとした”
“大和浩教授らの研究では、たばこの煙は、窓を閉めても上階や隣の部屋の窓のすき間から煙が入ってくる、との結果が出ている”
“ 男性は窓を閉めて室内で喫煙することを拒否したが、最終的に喫煙場所は風の影響を受けにくい廊下に限ることで合意……だが、1年ほどたつと、女性の部屋に再び臭気が漂うようになった”
“ 22年末、再び女性は体調を崩し、6段階のうち4番目に重いとされる「慢性受動喫煙症」となった。10代の長女も急性受動喫煙症と診断された”
そこで、規約改訂の案にたどり着きます。
“「スモークフリーシティ」(たばこの煙のないまち)をPRする大阪府吹田市の職員に尋ねた。すると「他の住人も納得すれば解決できるかもしれない」と、アドバイスをもらった……管理規約や生活上の細かなルールを定めた「使用細則」を改定する手法だった”
“ 女性は受動喫煙に悩む上階の居住者と協力し、マンションの管理組合に受動喫煙症の診断書を提出。ベランダや駐車場など共用部分を禁煙とするよう細則の改定を申し入れた。さらに、「受動喫煙の被害を出さない」と明記することも提案した”
“ 「……ただ、騒音や悪臭と同じように、せめて周囲に被害を出さないよう努めてほしい」”
“ 3月、管理組合の臨時総会で細則の改定が決まった。女性の提案は全て反映された”
当機構ではこの方の相談を当初から受けてきたのですが、前回記事にも書いたように、規約改訂はそうすんなり決まったわけではなく、反対が出て消されかかったり、管理側の奇妙な書き損じを指摘したりといろいろあって、厳密にいえば「全て反映された」でもなく、“基本的に反映された”(じつはもっと厳しい案もあったが)というのが事実です。
『毎日』記事は次に社会的な例をあげています。
“ 暴力団排除条項や民泊の禁止など、集合住宅のありようは社会情勢によって変わっており、国の「標準管理規約」は都度、見直されている。これに合わせて、マンションの管理規約や使用細則を改定し、共有部分での禁煙を明記する動きが広がっている”
“ 共有部分だけでなく室内など占有部分も禁煙とする「禁煙マンション」も珍しくなくなってきた……東京都住宅供給公社は……20、22年に世田谷区で計3棟180戸を整備……20年の24戸には272件(倍率11・3倍)、22年の41戸には238件(倍率5・9倍)の応募があった。23年度は、杉並区と大田区でも導入する”
“ 敷地内を全面禁煙としたマンションやアパートは増えており、専用サイトでは全国の2500件超の物件が紹介されている”
最後に、まだ解決したわけではない現状が述べられています。
“女性は「以前よりは改善されました。でも……」と顔を曇らせる”
“喫煙者に理解を示す声は根強く……一部の住民とはギスギスした関係になってしまった。改定した細則を元に戻そうとする動きもあった”
“ 女性の部屋には今も、たばこの煙が流れ込んでくる日はあるとし、「引っ越して被害から逃れるのが賢い方法だとは思います。でも、それでいいのか。悩んでいます」”
【追記 ’23年6月16日】
遅れて一週間後の6月16日、同紙紙面にも掲載されました。『産経』の紙面掲載は東日本では一部地域でしたが、こちらは全国版です。
ただ、内容はところどころ短くなっています。
なお、この『毎日』記事のヤフー転載では、多数の共感・応援コメントがよせられていました。
コメント70件 ※ヤフーは早く非公開となりますので全文閲覧はお早めに、必要ならコピーを。以下は’23.6/12時点での主なもの(部分抜粋あり)。
“
石田雅彦 1日前
ライター、編集者
この記事のタイトルはちょっと違っていて、ベランダでの喫煙ではなく、専用部分の室内での喫煙によってタバコ煙が他の専用部分まで入り込んでくることの問題が浮上してきているわけです。ベランダ喫煙では、明らかに喫煙している姿が外からわかりますし、名古屋地裁では受動喫煙被害を訴えた原告が勝訴しています。
しかし、専用部分でこっそりタバコを吸っていたとしても否定されればそれを証拠立てる手段がなく、被害者は泣き寝入りをせざるを得ません。こうした被害は、全面禁煙をうたっている禁煙マンションや集合住宅でも起きていて、全面禁煙にもかかわらず専用部分でタバコを吸う喫煙者がいることが問題になっています。
集合住宅での専用部分からの受動喫煙問題は、諸外国でも起きていて、特に個人の権利意識の高い米国では、ニューヨーク州の低所得者向け公営住宅でプライバシーの侵害と受動喫煙被害の間で議論があるようです。”“ベランダ喫煙には困ってる人多いと思います。
自分の部屋の中で吸うのは嫌だから、ベランダで他の部屋に煙を垂れ流して吸うという自分勝手さには驚きます”“紙巻きタバコの販売禁止もそう遠くないと思いますよ。加熱式も微妙。
100メートル先の喫煙所の匂いも風向き次第では匂います。
この匂いを消すことは不可能だし、タバコ嫌いの人は喫煙してる人がいるだけで怒りに変わります”“匂いって人によって感じ方が違うから。喫煙者にはなんでもなくても、非喫煙者には敏感に感じ取れる。洗濯物の柔軟剤の匂いも同じ”
“部屋の中でも換気扇付けていたら同じですしね。本人は気づいていないんだろうなと思います。
副流煙の問題が無いタバコを作ってもらうしかないんじゃないですかね。
もう一つの解決案としては、1本100万円の税金をかけるというところですかね”“ベランダって、避難経路としての共用部分です。なので、ベランダ喫煙は、路上喫煙と同じ。だから、ベランダ喫煙で他の部屋に煙が入るということは、意図的に人の家に吹き込んでいることに等しい。
ちなみに、寝たばこ火災が減っているのに対して、ベランダ喫煙火災は増えています”“そもそもベランダが専有部分って認識が間違ってる
ベランダってのは普通は共有部であり廊下とかと同じ扱い
他の人間が入ってくることは基本的にないから勘違いする奴もいるかもしれんが非常時とかは普通に移動のために入ることが可能
仕切りがあるようなとこでも非常時は仕切りを蹴破って移動しろみたいな表示がされてるだろう
共有部での喫煙が禁止のマンションならベランダでの喫煙は廊下で喫煙してるのと変わらんルール無視の行為ってことだ”“ベランダからだけではない。隣の部屋の換気扇からのたばこの煙が入って来る。窓を閉めていても24時間換気の取り入れ口からも入って来る。たばこなどという物をいつまでも販売している国も問題がある。膀胱がんになって苦しむのは喫煙者とそのまわり。しかし、もくもく会などというふざけた国会議員の会があるぐらいだ、無理だろう”
“もうさ、ビニール袋被ってタバコ吸えよって思う。
車でタバコ吸うときは窓開ける奴とか意味不明だよ”“ニコチンで脳がやられている人は薬物中毒ですので、善悪を含め、判断力が落ちており、まともに対応できません。理屈で説明しても理解できませんので、先進各国と同様に、様々な方法で、何年もかけて、喫煙率を減らしていく対応策しかないのでしょう。
いまだにボケ予防になるとか、コロナになりにくいとか、ガンは関係ないとかいっている人を見ると、あわれで情けなくなります”“車の窓開け喫煙も併せてこの上なく迷惑
喫煙者はタバコを吸うのではなく、食べればよい。
ニコチンはじめ全て欲しい物質を体内に取り込める。非喫煙者も迷惑しない”“まあ、煙草吸うやつは馬鹿が多いから。
ルールも守れないなら、吸わないで食えよ”
[当サイト関連既報] ※他にもありますので、検索窓で引いてみてください。
窓を閉めていてもダクトから受動喫煙?! “換気扇下の喫煙はベランダ喫煙と同じ”、不可としたマンションも ’23年5月
“近隣被害”は騒音に次いで悪臭、その代表が受動喫煙 ’23年3月
ベランダ喫煙は絶滅へ ~ ’17年調査でもヒンシュク ’22年9月
住宅のタバコ問題、喫煙者がクサイと言われて困ってる? ’22年7月
受動喫煙は25m先まで発生、ベランダ喫煙が大問題なワケ ’22年5月
日本の家屋は空気が漏れる? タバコの煙・ニオイもやはり? ’22年1月
住宅での受動喫煙に“配慮をお願いするチラシ” ~ 大阪府吹田市 ’21年11月
※(「ベランダ喫煙」の問題とは、少し観点が異なっていると思いますが‥)
「喫煙所問題」で決定的に欠けている大前提!
喫煙者は「やめたい」と思いながら吸っている
―「喫煙所」(灰皿)を無くすことが最重要課題―
★そこに喫煙所があるから吸いたくなる―それが「喫煙者」の心理です。
★喫煙者の90%以上は、内心「やめたい」と思いながら吸っている。
ーー医学的&心理学的な内容を加味した設問をすれば、喫煙者の9割以上は
「やめられれば、やめたい」と答えるはずだーー
【故平山雄博士の名言】
=私(渡辺)もその一人でした。
昔、イギリスの登山家ジョージ・マロリーは、あるとき、新聞記者にこう尋ねられました。「貴男はなぜエヴェレストに登るのですか」と。――この質問にマロリーは「そこにエヴェレストがあるから」と答えたという有名な話があります。そうです。スモーカーは「そこに喫煙所があるから吸いたくなってしまう」ものなのです。
私も、46年前(1977年5月6日断煙)、最後の数年間は、1日に60本も吸っていながら、毎日「やめたい」「やめたい」と思いながら吸っていた苦い記憶があります。
「やめたいと思いながら吸わされている」多くの人はニコチン依存症であり、いまでは「病人」と認定されています。
では、なぜ多くの喫煙者は、喫煙所や灰皿、また、テレビや映画の喫煙シーンを見たりすると、すぐ吸いたくなってしまうのでしょうか。
ニコチンの依存性については、「身体的な依存」と「心理的な依存」に分類されていますが、喫煙者は喫煙所や灰皿の存在を認知すると「心理的な依存」状態を一層高めてしまうからなのです。――という経験(体験)を当時は重ねてきました。したがって、これら「喫煙所」(灰皿)の無い社会環境を整えていくことは、政府や自治体、民間企業経営者、そしてメディアの役目ではないでしょうか。
2023年6月16日