受動喫煙への対策その2 – マンション・アパートなど集合住宅での受動喫煙
[本記事は、受動喫煙撲滅機構の関係団体による投稿です]
受動喫煙被害が発生する典型的な、そして、被害者の多いパターンが、マンション・アパートなど集合住宅での受動喫煙被害です。
マンションにおける受動喫煙被害は、急増しています。
※なお今回は、同居者の喫煙による受動喫煙は、取り上げません。
※本文章は、法令や判例に応じて内容を変更する場合があります。
受動喫煙への対策その1 – 職場での受動喫煙 も、御覧ください
マンションの特徴
まず前提として、日常生活の中で、窓は開け閉めします。
ベランダに洗濯物を干すこともあります。
また、換気扇や、24時間換気を通じて、外気が入り続ける構造になっています。
縦に長い
マンションは、縦に長い構造をしています。
そして、タバコの煙は、上昇します。
そのため、下層階の住人のタバコの煙は、上層階の居住空間にたやすく侵入します。
たとえ窓をしめていても、24時間換気や、換気扇の作動、窓を開け閉めした際に、容易に室内に侵入します。
また、下層階の住人だけでなく、通路、道路で喫煙した際の煙もまた、上昇し、容易に部屋に侵入します。
隣家が近く、受動喫煙被害が長期化しやすい
マンションは、壁を隔ててすぐにお隣の部屋があります。
タバコの煙が、ベランダと廊下を通じて、隣家の窓へ入り込みます。
集合住宅は、その形状から、受動喫煙被害が発生しやすいと言えます。
また、隣人の喫煙によって受動喫煙被害が発生している場合は、その隣人の居る限り受動喫煙被害が継続することが多く、被害が長期化、重篤化しやすいと言えます。
また、通路に喫煙所や灰皿が設置されてしまうと、通行人による受動喫煙も、長期間に渡り発生します。
受動喫煙被害を止める方法は?
さて、どうやって受動喫煙の発生を止められるでしょうか。
受動喫煙被害の発生を止めるためには、受動喫煙が発生しなければよいのですから、構造的・ハードウェア的な改良を施して、タバコの煙の流出や流入を止める方法もあります。
ですが、マンションの構造を大きく変えることは、通常、困難です。
また、もし仮に打てる手があるとしても、その手間と費用を誰が負担するのかという問題が残ります。
現実的な手段は、喫煙者のタバコの煙が外部に出ていかないようにすることです。
理論上は、喫煙者の部屋に、外部へ一切煙の出ていかない装置や設備を設置したもらう方法もありますが、これも、あまり現実出来では有りません。
通常は、喫煙者の喫煙スタイル(ベランダでの喫煙、通路での喫煙、窓を開けての喫煙)が問題になります。
受動喫煙回避のための根拠を探す
受動喫煙は、健康被害を引き起こすものですから、一切発生させていはならないものですが、
他人にそれを求める際には、根拠が必要になります。
現時点(2019年)においては、マンション内での喫煙を、一律に禁止する法令はありません。
それでは、何を根拠にすればよいでしょうか。
マンションの規則を確認する
まず確認したいのは、マンションの規則です。
そもそもマンションの規約として、何かしら、喫煙に対する制約があれば、それを根拠に改善策を講じることができます。
〈参考〉 ベランダ喫煙は「マンション使用細則モデル」で禁止されています
全面禁煙の場合
マンション全体で、そもそも禁煙が定められている場合には、それを根拠に、喫煙の停止を求めることが可能でしょう。
なお、喫煙者に喫煙停止を求める際には、自分で直接申し出るのではなく、管理組合・管理会社に指摘させましょう。
なぜなら、禁煙ルールのあるマンションでの喫煙の停止は、あなた個人の要望ではなく、あくまでも規則違反を指摘・是正し、規則を守らせるための行為だからです。
共用部分だけが禁煙の場合
マンションにおける受動喫煙被害において、大半を占めているのは、このベランダでの喫煙ではないでしょうか。
通常ベランダは、廊下同様、共用部分と定められていることが多いのです。
喫煙に関する規則がない場合
受動喫煙は、健康被害をもたらします。
受動喫煙が発生しないため、また、発生してしまった際に手を打てるよう、規則の変更へ向けて働きかけましょう。
通常、「受動喫煙は絶対悪である」という点においては、反論は出ません(喫煙ではなく、受動喫煙を対象にした話題です)が、
健康増進法(の改正)によって、法的に配慮義務が有ることを、改めて、管理組合の担当者と一緒に確認すると良いでしょう。
(喫煙をする際の配慮義務等)
健康増進法の一部を改正する法律案(平成30年3月9日提出)
第二十五条の三何人も、喫煙をする際、望まない受動喫煙を生じさせることがないよう周囲の状況に配慮しなければならない。
その際、実際に被害が出ていることを具体的に伝えるほうが良いので、事前に下記に留意し、記録を用意しましょう。
働きかけを有効に進めるために
被害の実態を記録する
いつ、どこで、何が起きたのかを、記録しましょう。
健康被害を客観的にする(医師の診断書を得る)
すでに健康被害が発生している場合、医師の診断書を用意するのは、有効な手段です。
詳しくは、「受動喫煙症」 知っていますか?(受動喫煙による病気・症状) など関連する記事を御覧ください。
感情的にならない・攻撃しない
受動喫煙対策を進めるにあたって、先方を、感情的になって責めない、攻撃しないことは、とても重要なことです。
それは、相手が管理組合の担当者であっても、喫煙者であっても一緒です。
受動喫煙の被害に遭ったことは悲劇ですし、怒るのも当然です。
ですが、それを先方にそのまま伝えるべきではありません。
改善に向けて、冷静に、粛々と進めましょう。
むつかしい場合は、相談を
実際に受動喫煙の問題に取り組んでみると、
先方の担当者が不勉強で、そもそも法令を把握していなかったり、
自分(組合、組織)に、受動喫煙対策の義務等があることを認識していないことも多いです。
そのような場合、面倒であるという安直な理由で申し出を無視したり、正当な根拠もなく拒絶してくることがあります。
受動喫煙撲滅機構では、電話や、定例会で、受動喫煙被害者の相談を受けることがよくあります。
個人で申し出を行ったが無視され、当機構と相談し、再度手を変えて申し出を行い、奏功した相談者もいらっしゃいます。『STOP受動喫煙 新聞』第28号 – 2019年・秋号
お困りの際は、ご相談ください。
※相談は、会員制です。入会(購読)フォーム『STOP受動喫煙 新聞』 電話 045-228-8523
学習・相談 定例会
≪参考≫
住宅被害の方は、当サイト公開の関連記事を読んでおけば、参考になります。 (以下は一部です。他にもありますのでカテゴリーや検索窓で調べてください)
住宅や職場などでの受動喫煙被害への対策はあるか?
ベランダ喫煙の健康被害に法的措置・損害賠償の請求は
住宅・タバコ問題解決.net (当サイト「リンク」にもあります)