“適切な「喫煙場所」”とは…?

 [本記事は、受動喫煙撲滅機構の関係団体による執筆です

 今回は、前回公開、受動喫煙防止に、「禁煙の場所」にも「喫煙場所」にも、明確な表示が必要です の続きです。

受動喫煙対策に有効な喫煙場所は?

ルールやマナーを守らない喫煙者もいますが、多くの喫煙者はルールとマナーを守って喫煙をしている、との前提で話を進めます。
禁煙エリアの指定は、受動喫煙被害の発生を防ぐ効果があります。しかし自治体や施設などの管理者は、それと同時に、適切な喫煙所の設置・喫煙場所の指定が必要と考えます。

「喫煙所」設置・「喫煙場所」指定の目的はいろいろありますが、今日において最も重要なのは、受動喫煙の防止であることは間違いありません。

国会・衆議院 第二議員会館地下一階(2010年)

 

喫煙所の場所と形

設備が不十分な「喫煙所」は、煙の流出を防げなかったり、三次喫煙を引き起こしたりと、多くの問題をはらんでいますが、
今回は、屋外において喫煙可能な場所、喫煙ができる場所として指定され、吸い殻入れなどが設置されている「喫煙場所」に着目したいと思います。

喫煙場所には、禁煙エリア内に設置される場合と、禁煙エリアではないけれども設置される場合の両方があります。

特徴は、密閉空間や排気といった設備で受動喫煙を防ぐのではなく、専用の空間を設け、非喫煙者・煙を避けたい人との距離をとることによって、受動喫煙被害を防ごうとしている点です。
屋外において、十分な距離が取られていれば、受動喫煙はいちおう防げますので、適切といえる場所での喫煙指定は、やはり、受動喫煙の被害を防ぐ効果が期待できるといえるでしょう。

ですが、不適切な場所を喫煙場所に指定した場合、受動喫煙被害が防げないばかりか、かえって助長することすらあります。

受動喫煙を発生させる危険性がある

喫煙者が、喫煙場所として指定されているエリアで喫煙しているのに、受動喫煙被害が発生することがあります。

広い公園や広い敷地の中で、被害者があえて喫煙場所に近づいたという話ではありません。
公園に入っただけ、ふつうに敷地内を移動しただけで、受動喫煙被害に遭ってしまうことがあるのです。

具体的には、どのような喫煙場所で、受動喫煙が発生しているでしょうか。

駅前の喫煙場所

たとえば、駅前の喫煙場所は、喫煙者にとって都合がよいと同時に、受動喫煙が発生しやすい典型的な場所です。

駅のホーム、電車の中は禁煙ですから、喫煙者にとっては、電車から降りて外に出たら、一服したくなると思います。

喫煙場所が、駅を出て、人々の動線から確実に離れた場所に指定されていれば、直接の受動喫煙は発生しません。(その後のサードハンドスモークはここではおいておきます)

喫煙者の視点からすると、改札を抜けたあと、すこしでも近くに喫煙場所が欲しいことでしょう。
また、空間、設備の都合で、駅のすぐ近くにしか指定できないというそこの管理者(自治体や駅など)の都合もあるでしょう。
事実、駅のすぐ外に単に灰皿を設置して「喫煙所」と指定している駅も多くあります。

ですが、駅のすぐ近くということは、喫煙場所が人々の動線に近いことを意味し、駅を利用する多くの人が、喫煙場所からの受動喫煙被害を受けてしまいます。

そして、受動喫煙を避けるには、 大きな迂回を余儀なくされます。迂回できないところもあります。

公園の喫煙場所

公園内の喫煙場所も、受動喫煙を引き起こすことがあります。

十分に広い公園の、まず人が通らない離れたところに喫煙所が設置してある場合、誰もが公園を楽しむことができます。

一方、都会の狭い公園においては、「近隣に適切な場所が見当たらない」ことを理由に、強引に(または適当に)公園内に喫煙場所を指定したと思われるケースが散見されます。

このような場合、どうしても受動喫煙が発生してしまいます。
受動喫煙を避けるには、その公園の利用そのものをあきらめる場合もあります。

結果的に、その公園自体が、まるで大きな喫煙場所となっていたりします。
公園の公益性が守られていません。

※下記写真の公園の場合、それなりに広いので、受動喫煙被害は発生しないほう(マシなよう)です

便利な場所の奪い合い

喫煙者にとっては、駅の近くや、職場の近くなど、アクセスの良い場所に喫煙所が欲しいことでしょうが、

一方、そのような場所は、一般の人も頻繁に通り、休息に訪れる場所でもあります。
喫煙しない一般の人にとっては、その場所は受動喫煙の発生しない場所であって欲しいのです。

両者の利害は衝突し、場所の取り合いの構図が生まれています。

優先順位は確定しているはず

ここで、あらためて確認しておく必要があるのは、「受動喫煙は防がなければならない」ということです。

「なんとかして喫煙場所を設置する」ではなく、まずは、受動喫煙の防止を第一に考えるべきです。
受動喫煙が発生しない場所にしか、設置は許されません。

「喫煙者に配慮するか」の問題ではなく、「受動喫煙を防ぐこと」が、前提です。

迂回すればいい、、、は間違い

さらに、受動喫煙を回避するために、理不尽な労力を強いるのも間違いです。

 

電車を利用し、駅を出ると、喫煙場所が近すぎて受動喫煙に遭う。大きく迂回を余儀なくされる・・・のは、間違いです。
受動喫煙の発生しない場所を、喫煙場所に指定しなければなりません。

公園が狭いから、どうしても受動喫煙が発生してしまう・・・のも、間違いです。
受動喫煙が発生しないことを前提に、喫煙場所を選定する必要があります。

常識的な行動の中で、受動喫煙被害を受けない場所の中から、喫煙場所を選定しなければなりません。

 なお、当機構サイトや『STOP受動喫煙 新聞』でもおなじみの大和浩教授の検証によると、屋外の囲いの無い喫煙場所からは、25m離れていても受動喫煙がある、とのことです。

→『STOP受動喫煙 新聞』第20号に写真・図解データ掲載

結局、実際のところ、屋外のいいかげんな喫煙所は、ない方がよい、という結論になると思います。

“喫煙者のため”というより、吸わせたいタバコ業界のため、に設置されていることが多いようです。

 参考→当サイトニュース ほとんどの人はタバコ臭に敏感! / 400万円の喫煙所が税金で建てられることに?! ほか

被害のコエが寄せられています

事実、当機構へは、具体的な駅名・出口を添えて、受動喫煙を引き起こしてしまっている喫煙所・喫煙場所への相談が寄せられています

 川崎駅西口の迷惑な喫煙所。これに対しては受動喫煙撲滅機構が申し入れを行いましたが…… バスターミナルの酷い喫煙所で受動喫煙に 市役所への要望と、回答

 

皆様のコエをお待ちしております。

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“適切な「喫煙場所」”とは…?” に対して4件のコメントがあります。

  1. パンダ より:

    ユカユカさんへ

    私も喫煙者は有害物質を吐き出さず全て飲み込めばニコチンの有効利用ができ、周囲に迷惑もかけず経済的だと思ってます。
    出来るのであればですが・・・

    食べ物に付着するというのは受動喫煙撲滅機構のシャボン玉の動画で表されています。
    喫煙者が食べ物にシャボン玉が付いたら食べれないのに、タバコの有害物質だったら食べれるというのはその人の感覚の問題だと思います。

    喫煙者はタバコの有害物質を汚い物、有害なものという認識が薄いです。
    だからと言って灰皿に捨てられたタバコと一緒に、食べ物を入れて食べれるかと言ったら誰しも汚いと思うでしょう。
    目に見えない有害なものはたくさんあります。
    見えないから、今現在健康に影響が出ていないからと言っていれば、いずれ何かしらの病気になる可能性の高いものだと分かったので禁止されているのです。
    それが理解できない人が喫煙者です。

  2. パンダ より:

    ユカタンさんへ

    シミ、シワ、浅黒くなる現象は喫煙者のみに限りません。
    受動喫煙でもなりますよ。

    私は受動喫煙中に肌が浅黒くなり、瞼が痒くアトピーの症状が出ました。
    もちろんクレンジングも洗顔も毎日丁寧にしていました。
    毎日見ている家族が気付き言われるほどなのでかなり浅黒かったのだと思います。
    受動喫煙をしなくて良い環境になり、少しずつ浅黒さが無くなってきてアトピーも治りました。
    受動喫煙も肌にとても悪いので気をつけてくださいね。

    1. ユカタン より:

      パンダさんコメントありがとうございます!ここは私にとって駆け込み寺みたいなものです。悲しい現実ですが、それでも様々な声を聞いては、自分の事のように腹が立つやら残念やら複雑な気持ちでした。何よりも少しはマシな環境になったようでよかったですね!        

  3. パンダ より:

    私の地域の道の駅には入口に喫煙所があります。
    風が強い地域なので喫煙所の方から風が吹いている場合は他の入口からも入れません。
    どうして入れないかというと、喫煙所の窓もドアも開いているからです。

    喫煙者はなぜ自動車の運転中でも、喫煙所でも窓を開けたがるのでしょうか?
    タバコが好きで止められず吸っているのに不思議なものです。
    なので喫煙所からまとめて濃い有害物質が流れてきます。
    喫煙所があっても出入りする人全員が完全な受動喫煙状態です。
    喫煙所が無い方がまだ薄い有害物質であり、遠くからでも吸っている事が分かるので少しは避けることが出来ます。

    風向きは常に一定ではありません。
    風下に喫煙所の設置をするというのは何を基準に風下というのか分かりません。
    その敷地内の風下でも隣の敷地の風上ですし、風向きが変われば風上です。
    受動喫煙の観点から、野外の喫煙所は設置すること自体出来ないはずです。

    受動喫煙症は食べ物に付着していても症状が出る場合があります。
    呼吸器系の受動喫煙症は食べ物に付着していると、飲み込むとき有害物質を吸ってしまい症状が出ます。

    道の駅は新鮮な野菜や魚など置いてありますが、喫煙所が有ることでそれらが汚染されてしまします。
    また、喫煙所がある事で吸ってすぐに店内に入れるので喫煙所同様の濃い3次喫煙を受けてしまうのです。

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