「改正健康増進法全面施行」後の今
[本記事は、受動喫煙撲滅機構の関係団体による、2020年6月の執筆のものです]
4月1日から改正健康増進法が全面施行
2020年4月1日から、健康増進法が全面施行されました。
この法では、喫煙可能場所が制限され、マナーからルールへと変わりました。
“望まない受動喫煙”の被害に苦しんでいた人々にとっては、待ちに待った全面施行となりました。
これにより、多くの人が集まる病院や役所、学校、鉄道、飲食店などの施設が原則屋内禁煙となり、喫煙禁止場所で喫煙した個人には、最高30万円の罰則が科せられることになります。
改正のポイント
政府広報オンラインにわかりやすく載っています
(1)「望まない受動喫煙」をなくす
「屋内」での喫煙が原則禁止になります。(2)受動喫煙による健康への影響が大きい子ども、患者などに特に配慮します
子どもなど20歳未満の人、患者等が主たる利用者となる学校や病院等の施設では、屋内だけでなく敷地内でも喫煙が原則禁止になります。(3)施設の種類や場所にあった対策を実施します
施設の種類、場所ごとに、敷地内禁煙・屋内禁煙にすることや喫煙できる場所に標識を掲示することなどが義務づけられます。
受動喫煙の健康被害が公に認められ、ルール化・制度化されたことは、大いに評価できます。
今までは、受動喫煙被害を訴える側が、わざわざ受動喫煙の危険性を説明する必要がありましたが、今後は、受動喫煙は健康被害を引き起こす危険なものであり、規制対象であることを前提に、話をすすめられます。
今後は逆に、受動喫煙を問題としない、健康被害を認めようとしない人のほうが、“受動喫煙に健康被害がない”ことを説明する必要があるでしょう。
条例施行後の問題点
条例が施行され、大型飲食店や公共施設などでの受動喫煙被害は減っていくと思われます。
施行された今、今後の改善に向けて注意すべき点が2つあります。
1.ルール違反
2019年より段階的に施行されてましたが、常に、その抜け道を探し出し、ルールを無視したり、形骸化させようと、やっきになる人が、数多くいました。
今後は、ルールを守らない人々を厳しく取り締まる方法も考えていかなければなりません。
2.受動喫煙被害のスライド
また、受動喫煙被害が、場所とタイミングを変えて残っているのではないかという危惧があります。
1.喫煙場所の減少とルール違反の増加
喫煙者が自由にタバコを吸える場所は、減りました。
堂々とタバコを吸える喫煙所についても人々の監視の目が向けられるようになっています。
喫煙所自体の不備、周囲への悪影響などもあり、喫煙所を管理する側へ苦情が多く寄せられ、多くの喫煙所が閉鎖されています。
喫煙場所が減ったことで、タバコを吸える場所が限られてきました。
それでも、ルールを守る喫煙者は良いのですが、不自由に耐えかね、ルールを守らない喫煙者も、少なからず出てきているようです。
禁煙である駅の周辺、飲食店やコンビニの店先、路上、公園などで喫煙する人の姿が多くなりました。
※当機構が通報し、改善した事例
運転手の路上喫煙に申し入れ、企業が対策を約束してくれました ①
運転手の路上喫煙に申し入れ、企業が対策を約束してくれました ②解決編
違反者がいたらその場所の管理者(社)や、自治体に通報することを、毅然とした態度で臨みたいところです。
2.① 受動喫煙のスライド – 家庭内での喫煙の増加
屋外やオフィス、店舗での喫煙をあきらめて、かわりに自宅での喫煙を増やしている人も多いようです。
確かに、自宅における喫煙は、ルールが定められていないケースも多く、自由に喫煙を楽しめる空間という捉え方ができます。
注意)すでに東京都では、「東京都子どもを受動喫煙から守る条例」において、たとえ自宅であっても、喫煙に対する制約があります。
ですが、自宅での喫煙は、同居者の受動喫煙被害を引き起こします。
また、その場合(自宅で受動喫煙被害が起きている場合)には、被害が長期化する傾向があります。
※当サイトでの支援の事例
家庭内での受動喫煙・三次喫煙(サードハンドスモーク)で、高血圧など深刻な症状が出続けて……
2.② 受動喫煙のスライド – 急増する近隣トラブル
また、自宅での喫煙が、近隣住民の受動喫煙被害を引き起こすことがあります。
集合住宅では、特にその傾向が強いです。
受動喫煙の健康被害の認知が深まるなかで、受動喫煙被害を止めるべく、動き出す被害者も増えています。
当機構への相談も、急増しています。
受動喫煙がきっかけで近所同士のトラブルが増えていることは現実であり、今後ますます増えることが予測されます。
※受動喫煙での近隣トラブルでお悩みの方は、当機構までご連絡ください。※入会を前提とします。
ルール違反に対しては?
千葉市の取り組み
条例の違反者などに関する投書や通報は、各保健所が相談窓口を設けて対応していますが、ここではスピード感があり簡単にできる対策として千葉市の取り組みを紹介します。
千葉市では4月以降「受動喫煙SOSシステム」を導入しました。これは、LINEで違反者の日時や場所を報告。市の対策室のパソコンに転送された情報を精査した職員は、条例違反の疑いがあれば必要に応じて現地を調査。場合によっては罰則を科すこともあるというものだそうです。
その各報道→受動喫煙被害をカンタンに通報できるシステムが開始!=千葉市
また、受動喫煙の健康被害から家族を守ろうという主旨で、妊婦や子どもと同居する人を対象に、禁煙治療費の一部を助成する取り組みも始まりました。
違反者の取り締まりだけでなく健康被害にあっている人々にとっても心強い味方となりますね。
自宅や、住宅での受動喫煙被害に対しては?
自宅や住宅での受動喫煙被害は、喫煙者のライフスタイルそのものが話題になることも多く、受動喫煙被害を止めづらい傾向が強いです。
この際に大事なのは、卒煙など、喫煙者のライフスタイルに焦点を当てるのではなく、あくまでも受動喫煙被害に焦点を当てることと、
感情的に、加害者を責め立てないことです。
受動喫煙撲滅機構には、被害者からの相談を受け続けており、回答ノウハウ、解決例も蓄積されています。
単独での解決に不安があったり、うまくいっていない場合には、ご相談ください。※継続相談は、入会(=『STOP受動喫煙 新聞』の定期購読契約)が必要です。