加熱式タバコ・電子タバコの受動喫煙は 石田雅彦記者が解説
おなじみ石田さんが、“新型タバコ”、おもに加熱式タバコの受動喫煙について各研究から検証、考察しました。
「新型タバコ」はどれだけ「空気を汚す」のか:最新研究から「受動喫煙の害」を考える
=石田雅彦 ライター、編集者 5/31(火) 12:17=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“加熱式タバコ、新型タバコの受動喫煙が問題視され始めている。有害物質の低減をうたう新型タバコだが、排出される煙からどれだけ有害物質が出ているのか、まだよくわかっていない。最新の研究から新型タバコの受動喫煙による害を推定する”
“ タバコ製品に占める新型タバコ(加熱式タバコ)の割合が増えている……2021年末には3割を超えている”
“最近の研究では、新型タバコの喫煙者の増加により、タバコを吸わない人の受動喫煙の機会も増えている”
“ 新型タバコの多くは、タバコ葉を燃やさずにニコチンが揮発する程度の温度に熱し、喫煙者はその蒸気のような煙を吸い込む……ニコチンはもちろん、アセトアルデヒドなどの発がん性物質が含まれ、喫煙者の遺伝子にも影響を及ぼすことがわかっている”
“ソウル大学などの研究グループによる、紙巻きタバコから新型タバコに切り替えたマンションに住む喫煙者を対象にした調査報告……喫煙者の51.5%が建物の外や内での喫煙頻度が増えたと回答し、禁煙マンションに居住していない調査対象喫煙者の30.4%が建物内での喫煙頻度が増えたと回答”
“ 大阪大学などの研究グループによる調査報告……新型タバコからの呼出煙……や副流煙(喫煙者が吸い込む以外のタバコ製品から出る煙)にさらされた人に喉の痛み、咳、喘息の発作、頭痛、胸の痛み、気分が悪くなるなどの自覚症状があり、従来の紙巻きタバコと同様の症状が出た”
“ 産業医科大学などの研究グループ……新型タバコの煙にさらされた人の尿を調べたところ、紙巻きタバコによる受動喫煙と同様にニコチンの代謝物であるコチニン、健康影響のバイオマーカー物質としてタバコ特異的ニトロソアミン代謝物(NNK代謝物)である4-(methylnitrosamino)-1-(3-pyridyl)-1- butanol(NNAL)などが検出”
“ 韓国の疾病管理庁などの研究グループが新型タバコ喫煙者の呼気中の揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds、VOC)をガスクロマトグラフィーで調べたところ、2-メチルフラン、ピリジンが検出されたという。研究グループは、新型タバコの受動喫煙の指標としてこれらのVOCを使うことができるのではないかと述べている”
“ 熊本大学などの研究グループ……タバコを吸わない父親の配偶者と子どもより尿中のコチニンなどのニコチン代謝物のレベルが有意に高かった。これにより、新型タバコでも受動喫煙が起きていて、配偶者や子どもは新型タバコからのニコチンにさらされていることがわかる”
“ 以上をまとめると、新型タバコでも受動喫煙が生じ、その煙にさらされると喉や頭、胸の痛みなどが起き、喫煙者の家族にも影響が出るということだ。新型タバコにも有害物質が含まれているのだから、その受動喫煙にも害があるのは明らかだろう”
記事にある産業医科大での、加熱式タバコから出る物質(エアロゾル)の、レーザー光による可視化画像。
[当サイト関連既報] ※他にもありますので、検索窓で引いてみてください。
受動喫煙・加熱式タバコも、PM2.5で感染・重症の危険性が ~ 石田雅彦記者が解説 ’21年2月
「加熱式タバコからの受動喫煙」1割の人が被害に 世界初の調査結果を東北大学が発表 ’22年4月
喫煙中古車は高く売れません…加熱式タバコも「独特のニオイ」 ’22年2月
加熱式タバコ・三次喫煙で職を追われた ’21年3月