部屋をタバコで汚した場合の「責任」と退去時の「相場」

 先日、賃貸住宅の部屋で喫煙した場合、退去時に高額な請求がある、という記事を紹介しましたが、室内喫煙は退去時に高額になります ’23年4月
 これを当機構のFBにあげたところ、閲覧者から詳しい情報が投稿されましたので、紹介します。

 不動産業者のサイトのようです。

  タバコのヤニ汚れや臭い・焦げ跡をつけてしまった場合の責任・退去費用の相場
  =『オフ賃貸』=

 以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。

“喫煙しヤニ汚れにおい・焦げ跡をつけた場合、法的には借主に「原状回復義務」があります。原状回復義務とは「借りたものを元に戻す義務」……他人のものを汚したり壊したした場合は元に戻す義務があるということです”

“軽度なものであればルームクリーニングで解決できますが、状態がひどい場合は壁紙の全面張替えなどが必要となります。そうなると退去時の費用負担が大きくなりがちであり、退去時にもめる要因として主要なものとなります”

“通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗(通常損耗)」と「時間経過による劣化(経年劣化)」の場合は借主側が原状回復義務を負わないとされています。通常損耗と経年劣化の意味は以下の通りです。
通常損耗
……物件を普通に使用して通常発生する損耗……家具・家電を置いてカーペットが凹んだり小さい傷がついてしまうことも……民法ではこういった通常損耗については借主の原状回復義務に含まないと規定しています。
経年劣化
……時間が経過することによって発生する自然な劣化・損耗……日光によってクロスが変色したり、フローリングが劣化する場合……経年劣化は借主の責任ではないので原状回復義務に含まれません。”

“タバコのヤニ汚れやにおい・焦げ跡は借主の行為によるものなので経年劣化はあまり借主責任の有無判断にはなりません。しかし、借主責任の範囲・修理金額の負担割合に影響することですので経年劣化についても理解するようにしましょう”

“喫煙によるヤニで室内・壁紙クロスが汚れてしまった場合やたばこのにおいが付着した場合は借主に原状回復義務があると考えられます。ガイドラインにおいても、

喫煙等によりクロス等がヤニで変色したり臭いが付着している場合は、通常の使用による汚損を超えるものと判断される場合が多いと考えられる。なお、賃貸物件での喫煙等が禁じられている場合は、用法違反にあたるものと考えられる。

と記載されています。つまり、喫煙によるヤニ汚れは通常使用を超えると判断されるため、通常損耗を主張することで原状回復義務から逃れることは難しいということです”

“フローリングやクッションフロアなどに焦げ跡をつけてしまった場合は……補修責任を負わなければならないケースが多い……焦げ跡が深く広範囲となった場合は全部交換となる場合があります”

 では、弁償額は。

“室内で喫煙している場合、ヤニ汚れやにおいは広範囲に及ぶことがあります。軽度な汚れ・臭いならば壁紙・クロスなどの交換はせずにルームクリーニング・消臭作業で原状回復させることが一般的です。その場合の清掃費用の一般的な相場は以下の通りです。

 ワンルーム:約20,000~45,000円
 1LDK:約30,000~80,000円
 2LDK:約50,000~100,000円
 3LDK:約70,000~100,000円以上

“ヤニ汚れがひどく壁紙・クロスが変色してしまい清掃で対応できない場合は壁紙を全部張替えすることに……㎡あたり約750~2,000円程度”

 対処の方法について。元からあった汚れかどうか、入居時に確認しておかなくてはなりません。これはタバコを吸わない人こそ、前の入居者が喫煙者だったら濡れ衣を着せられるかもしれないので、入居時は要注意です。

“そもそもヤニ汚れや焦げ跡が入居前からあるものかを確認しましょう。当然ですが、入居前からあるヤニ汚れや焦げ跡などは借主に責任はありません……証拠のために、入居開始時には物件を詳しくチェックした上で写真を撮っておくことが大切です”

“退去時の管理会社・家主の立ち合いの前に自分でできるだけキレイに清掃しましょう。家具・家電の裏側までしっかり清掃したほうがよいです。掃除の効率を上げるため、荷物を全て搬出した後にクリーニングすることがおすすめです。大家さんや管理会社としても、借主で清掃している場合は別途ルームクリーニング費用や補修費用などの退去費用を請求しない場合も多いです”

指摘された場合は素直に謝る

喫煙によるヤニ汚れや焦げ跡は借主の責任になります。「たばこくらい誰でも吸うだろう!」と主張したところで、責任から逃れることは難しいでしょう。退去立ち合い時に指摘された場合は、素直に非を認めて謝罪するのも一つの対処法です。家主・管理会社の担当者も人であり誠心誠意謝れば許してもらえるケースもあります。実際、管理会社・家主側としても内心は揉め事を避けたいと思っています”

“原状回復義務で勘違いしてはならないのは「元に戻す」とは「借りた当時の状態に戻すことではない」ということです。上述の通り、建物には通常損耗と経年劣化という概念があり、居住・使用したり時間経過により価値が減少します。原状回復義務は建物(修繕対象物)価値の減少分について負うことになります”

“支払いを拒否したり請求を無視したらどうなるのでしょうか?……入居時に敷金(=保証金)を支払っている場合は敷金・保証金から修繕費用を差し引かれるため強制的に一旦は修繕費用を支払うことに……敷金・保証金無しの条件で賃貸契約を結んでいる場合、家主や管理会社から修繕費用を請求されることに……請求されているのに払わなければ、保証会社や連帯保証人に請求される場合があります……契約時に保証会社を利用せず連帯保証人がいない場合、支払わない場合は家主から訴訟を起こされるかもしれません”

 最後に、タバコ汚損についてまとめ。

“タバコによる退去費用の相場や対処法等について、大事なポイントをまとめます。

 喫煙によりヤニ汚れやにおい・焦げ跡を付けた場合、借主には退去時に原状回復義務がある。
 喫煙は借主の故意による行為で通常を超える損耗とされるため、通常損耗には該当しない。
 ガイドラインの内容よりも賃貸契約の内容が優先される。
 原状回復は借りた当時の状態に戻すということではなく、通常損耗・経年劣化を加味し価値減少分の内かつ借主責任の範囲で負担する。

喫煙場所は壁・天井にこんなに差があります(2016年、東京都日野市の議会棟)

 
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