法令違反の「全面喫煙可」営業・「喫煙目的店」が多発! 国のあいまいな判断に東京都が抗議!
「改正健康増進法」では、飲食店が飲食席で喫煙可能とする営業は、大規模店でなく、同法施行の’20年4月1日より前の開業であれば、認められています。
なお、東京都と千葉市では、それにさらに「従業員を雇っていないこと」という条件が付きますので、都内と千葉市内の飲食店では、従業員が何人もいる店は、禁煙営業にしなくてはなりません。
しかし! 完全に法令違反をする店が、無数にあるのが現状です。
行政は、何をやっているのでしょうか。くわしく調べた記事がありました。
規制に抜け穴?全面喫煙可な居酒屋が存在する訳
飲食店が「喫煙目的施設」として通る不思議
=『東洋経済ONLINE』2023/08/19 9:30=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“東京五輪・パラリンピック開催を契機に、健康増進法が改正され……さらに開催地である東京都では受動喫煙防止条例により、規制がより厳しくなった。健康増進法が経過措置で喫煙を認めている小規模飲食店でも、従業員のいる飲食店は、喫煙専用室(飲食不可)を設ける場合などを除き全面禁煙となった”
“ しかし、ここ数カ月で3回、都内で全面的に喫煙可能な飲食店に出くわした。都内では従業員がいる飲食店は喫煙不可であるはずなのに、複数の従業員がいるこれらの店舗で喫煙可能であること、また分煙すらしていないことに驚いた……これらの店には「喫煙目的店」のステッカーが店外に貼られていた”
記事は法について詳しくおさらいしています。
“役所、病院、学校などの第一種施設は敷地内禁煙、これら以外の事務所、工場、ホテル、飲食店などの第二種施設では屋内原則禁煙となった……違反者には罰則が適用されるようになったが、いくつかの例外が設けられた……たばこ議員連盟を中心とする規制強化慎重派の反発が大きかったからだ”
“第二種施設で喫煙できる例外は次の3パターンだ。
① 喫煙専用室を設けた場合
② 指定たばこ(加熱式たばこ)専用の喫煙室を設けた場合
③ 既存かつ経営規模が小さい店舗に限り、飲食可の喫煙室が設置可能”
“東京都は③の要件に加えて……従業員を雇っている店は原則屋内禁煙……都内で例外として飲食可の喫煙可能室が認められるのは、従業員がおらず、かつ客席面積が100平方メートル以下で、個人や中小企業(資本金5000万円以下)が経営する店舗のみとなった。これにより、都内の飲食店の約84%が禁煙にしなければならないということで話題となった”
“実は、第一種、第二種施設以外にも、「喫煙目的施設」というカテゴリーがあり、この施設内では喫煙が可能……そもそもは公衆喫煙所、店内で喫煙可能なたばこ販売店(喫煙コーナー等がある販売店)、シガーバーなどを想定……定義は「……対面によりたばこを販売し……飲食をさせる営業を行うもの」……「飲食」は、「通常主食と認められる食事を主として提供するものを除く」と定められている”
“前述の3店舗ともごはん、麺類などの主食に該当するものを提供している。定食屋などと違って食事が中心でないから、主食を「主として提供」してはいないということであろうか”
“ 厚生労働省の改正健康増進法施行に関するQ&Aでは、この意味を「ランチ営業を行う場合において、『通常主食と認められる食事』を提供することは認められるというものです」と説明……一方、「とうきょう健康ステーション」のQ&Aでは、「通常主食と認められる食事を主として提供するもの(=食事が主目的となる飲食店=一般的な居酒屋やレストラン等)は喫煙目的施設の要件を満たさない」としている”
“ このように「飲食」の定義には曖昧さが残る。現状、東京都内においては、主食を提供している前述の店舗は法律の趣旨に違反しているのではないだろうか”
“ そもそも前述のように、健康増進法上、喫煙目的施設は飲食店が含まれる第二種施設とは別のカテゴリーだ”
“ 東京都の受動喫煙対策の担当課……に問い合わせたところ、都も問題意識は持っている。同課は「~受動喫煙防止対策に関する飲食店の皆様へ~ 『喫煙目的施設』は、飲食や遊技等を目的とした施設は該当しません」というタイトルの文書を公表……そこでは、
「……飲食や遊技等、喫煙以外の行為を主な目的とする施設は喫煙目的施設に該当せず、喫煙目的室を設置することはできません。」
と記述されている”
しかし、改正法のあいまいさとの矛盾が、正しい法令施行の妨げに?!
都は、国に苦情を入れているとのこと?!
“ しかし、健康増進法の規定があいまいで、事業者指導がうまくいっていない……都が国の施策及び予算に対する提案要求をとりまとめた……厚労省に対する以下のような要望がある(P505より一部抜粋・再構成)。
喫煙目的施設の定義や要件を明確化するとともに、疑義照会へ速やかに回答すること。
……居酒屋等が、喫煙場所の提供を主たる目的とする『喫煙目的施設』を標榜する例が多数発生し、都や保健所等への情報提供や苦情が増加している。都は国に対し、繰り返し、喫煙目的施設の定義や要件の明確化を求めるとともに、関連する疑義照会を行っているが、その明確化がなされず、現場は苦慮している。喫煙目的施設の定義や要件については、法の規定の根幹を成す部分であり、保健所設置区市からも国が判断を示すべき、との意見が寄せられている。
多くの疑義が生じている喫煙目的施設の定義や要件、疑義照会への回答への迅速な対応、制度開始前から更新されていないQ&Aの整備など、全国統一的に適切な対応ができるよう、引き続き、国の技術的支援が必要である。
”
“ 東京五輪という世界規模のイベントもあり……急速に進んだが……開催から2年が経ち、「外の目」を気にしなくなり、国民の関心も低くなっていることが、こうした全面喫煙可能な店舗存在の理由であろうか”
“ 喫煙目的施設はシガーバーのイメージ通り、調理を伴わないスナック類等とお酒を出すだけの店舗に限定すべきだ。そうした施設の存在自体が、喫煙ルールを順守する効果も生み出すだろう。喫煙目的施設のあり方を改めて考えるべきだ”
画像は、当機構に近い店。飲食サイトの同店公式登録によると’20年4月以降の開業ですので、「喫煙可能店」にはできません。「喫煙目的店」は、主食になるものを出さない店なら法施行以後の開業も可能ですが、飲食サイトのメニューには「ご飯類」「麺類」もあるので、「目的店」にはできません。
改正法違反を取り締まる横浜市の健康福祉局に通報したところ、違反であるとして、注意・指導したとのことですが(7月6日回答)、8月末で何も変わっていないので、再通報しました。【追記’23.10/24】その後、担当課から「喫煙目的施設としての要件を満たして営業がなされておりますので…」との返信あり? 意味を問うと、夜のメニューから「ご飯類」「麺類」を外しタバコの対面販売も行うとの“約束”だったので、とのこと?【再追記’24.1/18】12月末に店に電話すると、夜も「ご飯類」「麺類」を提供し、タバコ販売は行っていない、とのこと。再々通報しました。
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