「『社会に定着』と“愛煙家”擁護」されていた職場の受動喫煙、「過去の遺物」となったか?

 経営など仕事・労働に関する業界紙サイトで、職場(事務所)での受動喫煙の今昔についての興味深い記述がありました。(「日本禁煙学会」の情報配信で知りました)

 途中までしか読めませんが、読めるところだけでもとても良い指摘です。

 【人事学望見】第1328回 事業場内の受動喫煙防止 紫煙のこもる職場では働けない
  =『労働新聞』2022.03.24=

 以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。

“ 現行の求人票には、受動喫煙対策に関する記載欄が設けられている。……全面施行された改正健康増進法とリンクしている。「もうもうと紫煙が立ち込める」職場は過去の遺物となったが、そこへ至る道のりは平坦でなかった

社会に定着と愛煙家擁護
 ひと昔前、新入社員がヘビースモーカーの隣の席に配属されると、わが身の不運を呪うほかなかった……先輩は、1日中、自分の席で紫煙を吐き出し続けている。苦情をいう度胸はないだろうし、仮にあったとしても、相手が耳を傾けてくれるはずもない

“ この時代、嫌煙の権利を声高に主張する人間は、「ちょっとエキセントリック」で、社会常識に欠けるとみなされがちだった。古い判例では、「喫煙は、個人の嗜好として長きにわたり承認されてきたところであり、非喫煙者も、若干の寛容さを持することも依然として期待され、このような喫煙に対する世の大方の見方も、看過すべきでない」(名古屋市教員嫌煙事件=名古屋地判平10・2・23)と述べたものもあった”

“法整備の経緯を振り返ると、3つの節目が存在する。

 第1は、平成14年の健康増進法の制定だ(平成15年施行、栄養改善法を改称)。そのなかで受動喫煙防止が努力義務として定められた。

 第2は、平成26年の安衛法改正だ(平成27年施行)。こちらは労働者を使用する事業者に対し、受動喫煙防止のための措置を講ずるよう求めた(努力義務)。

 第3は、平成30年の健康増進法改正だ(令和2年全面施行)。オリンピック開催が追い風となり、ついに喫煙に関して強制力のあるルールが法定されるに至った

 過去の職場は、本当にそんな感じで、私もずいぶんケンカしたものです。
 古くから活動に参加した人には、職場で被害にあってタバコの問題を意識し始めた、という人が多くいました。(近年の活動参加者は、住宅被害経験者が多くなっています)

 しかし、現在、はたしてすべての職場で「過去の遺物」となったのでしょうか……?

 喫煙可能の飲食店や、運送業で車内で吸える企業での同乗者、屋外の作業など、「職場」「勤務先」の受動喫煙はまだあるはずで、それどころか明らかな法律違反である事務所内の喫煙容認もあるとの問い合わせもありました。(以前の記事に書きました→建設会社も勤務中「完全禁煙」、約100事業所の喫煙所を撤去 = 清水建設)

 いちおう禁煙でも、喫煙所が近いとか漏れるなどの中途半端な“分煙”被害も聞きますし、仮に敷地内全面禁煙の職場でも、朝・昼後の喫煙者からの三次喫煙もあります。

 もう、職場は、喫煙者専用の事業所と、吸わない普通の人専用の職場と、分ければよいのではないでしょうか。

法制定後の求人票

 
[当サイト関連既報] ※他にもありますので、検索窓で引いてみてください。
 求人票に、“職場の受動喫煙への対策の有無”が明記されるようになりました ’20年2月

 3年で倍以上になった職場の全面禁煙・・・しかしまだ被害者は2割以上も…! ’21年8月

 「仕事中 禁煙(タバコ休憩不可)」 は、法的に問題なし! ’18年8月

 「喫煙者は採用しない」は法的にも問題なし(弁護士見解) ’18年10月

 単なるサボリの喫煙室、廃止・社内完全禁煙化は正当 = 社労士「“労働条件の不利益変更”に当たらない」 ’21年6月

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